1.不良解析の着目点

1.    不良解析の着目点

1. 1 観察と疑問

不良解析と言う仕事はいかに些細なことであっても、そこで起こる現象に常に目を向け、その現象の何が原因しているかを知ることが大切です。まず、「ありのままの状態を観察すること」がその第一歩になります。例えば、新しい割れか古い割れかは、割れと言う隙間の中に、アッセンブリ上に堆積したゴミが存在しているかどうかで判断ができます。不具合基板を本体から外す時に、誤って割れを起こした場合は、本人は分かっていても、第三者が見た場合は、誤って割ったのかは分からなくなります。誤って割ってしまった場合、割れの中に基板表面に堆積しているゴミは入っていません。

よって、「新しい割れ」の判断の1つとなります。

このようにゴミと言えども判断基準となります。したがって、観察前にゴミを吹き飛ばしてしまえば、判断ができなくなることもあります。ありのままを観察することは不良解析のスタート時の基本となるわけです。

観察しながら

「なぜ、ここにあるのだろう」

「なぜ、ないのだろう」

「なぜ、色が違うのだろう」

「なぜ、隙間があるのだろう」

と、単純なことでも、疑問を抱くことです。

不良解析では、常に「観察と疑問の繰り返し」がベースとなります。「単純でありふれた存在]、あるいは「あまりにも単純な現象」は見逃しやすいだけに、観察者が気付くのが実は大変難しいのですが、それを見破ることができるか否かが、解析担当者の実力となります。

はんだ付け部で起きる現象は、高校レベルの物理や化学の知識で十分です。数式や化学式ではなく、むしろ「現象」もしくは「変化」を理解しておくことの方が役に立ちます。

「液体は温度が高くなると、粘性は小さくなる」………(A)

「大きな物は、温度が上がりにくい」……………………(B)

というような単純な現象から、(A)は「粘性の小さい方に液体は流れる」、(B)は「大小の部品を加熱すれば、温度上昇に時間差が生じる」、と言う考えに展開することができます。

これが発想の転化ですが、解析の担当者は日頃の発想の転化の訓練は大切になります。それにより「現象を探す目」が養われてきます。例えばチップ電極に汚れがあっただけで、色々な不具合の発生を想定することができるようになり、不良解析が正確に効率よく行えるようになります。

ここで「なぜ、ないのだろう」と言う単純な疑問がどのように展開していくかを説明しますと、「あるべき所にない」と気付けば、「もともとなかった」か、「あったがなくなってしまった]かのいずれかになります。「あった物がなくなる」ことは移動の行為があったことになります。重さのある物が移動するのですから、何らかの力が作用したことになります。

力には「引く力」、「押す力」、「膨張する力」、「収縮する力」などがあります。それでは力はどのような状態から発生するかとなると、衝撃、振動、音、熱、気流、蒸発(ガス化)、表面張力(蓮の葉の上の水滴)、人の動作(早い動き、遅い動き、震え)などがあるわけです。不具合を起こした時に、「なぜ、ないのだろう」と言う単純な疑問により、力の発生源が音なのか、熱なのか、それが膨張する力に変ったのか、あるいは引張る力に変ったのか、を推理することができます。

つぎに、普通では音が割れにつながるとは考えにくいのですが、「なぜ?」と言う疑問がまた起きます。観察すると「どうも、正常品と比較して、不具合品の板は薄いようだ」。音は振動ですから、板が薄ければ音に共振して、局部に力が集中することになります。すなわち、板が薄かったことにより、「共振]という現象で力が加速したことになります。本来、割れるはずがなくても、加速する因子があると、その現象が強調されます。これが加速因子であって、加速因子は目の前に存在していながら、時として、あまりにも単純でありふれた存在が故に、観察者が気付かないことがあります。

加速因子としては、色、厚み、大きさ、材質の違い、時間差、異物の付着などがあり、これらに疑問を抱くには、何度も現物で検証する地道さが要求されます。このように「初期の観察と疑問はまさに基本中の基本」であって、これを怠って現物を切断したり、樹脂に埋め込んだりすると、正しい現象を把握することはできず、不良解析は失敗に終わります。

現象をとらえることについて説明すると、やに入りはんだによるはんだ付け作業で、少々大きな液体のはんだボールが基板上を移動したとすれば、カタツムリが歩いた跡と同じ現象になります。すなわち、液体のはんだボールの表面には溶融フラックスが存在しているからです。溶融はんだボールが僅かに動いたところには、基板面にフラックスが転着したのが観察できます。

写真1(a)にはんだボールを,写真1(b)は照明を変えてフラックスを強調して撮影したものです。すべてこのように顕著に観察できるとは限りませんが、フラックスの痕跡によりどのはんだ付け部の作業で飛来したかが分かります。

不良解析の担当者はこのように日頃の「観察と疑問」の繰り返しの中で、やがて鋭い観察の目が養われます。

外観観察では不良の原因が分かるレベルのところまで解析します。次に、必要に応じて断面観察を行い、成分分析で裏付けをとり、最終的に再現試験を実施して完結をみます。ただし、明白な事実が確認でき、不良の原因が確定できるならば、その時点で不良解析は終了し、ラインを立ち上げます。

 

1.    2 外観観察の仕方

 

モノ作りはいろいろな過程を経て製品になります。解析は目の前にある不具合品から、過去の生産過程に踏み入って推理を開始する訳ですから、現物をいかに正しく観察するかが重要となります。もちろん、正常品の観察、過去の記録、使用環境などの情報も重要であることは言うまでもありません。

基板上に不具合が発生した場合、まずその状態を観察すると、往々にして、正常なはんだ付け部の確認を忘れてしまうことがあります。正常なはんだ付け部を観察することにより、使用された基板の良否、部品の良否、はんだの良否、フラックスの良否などが分かります。これらの良否を総合することにより、設計のレベル、生産時の設備、工程などの管理、現場作業者のはんだ付けに対する認識のレベルなどを読みとることができます。

このような手続きを経ることにより、初めて「不具合部に限定した異常」として正しく把握することができます。このような手続きを踏まず、不具合部だけを追求すると、状態を正しく認識できなくなります。

そのために不良解析は不具合品全体の観察から始めなければなりません。

1.2.1 不具合品の全体を観察

まず、観察する場合は帯電防止用の手袋を必ず着用します。

 

(1)静的観察(写真撮影)と動的観察(ビデオ撮影)

撮影用の光源が重要となります。観察物の色彩を正しく表現する光源は太陽光が理想で、次に室内では写真撮影用のデイライトランプの300~500ワットの照明器具が必要となります。

静的観察は主に市場発生の不良解析として肉眼及び写真撮影(フィルムの場合はIS0400が適している)、動的観察は主に生産現場のはんだ付け不良の解析として、肉眼観察より正確になります。静的観察は状態の違いを知る手段として有効であり、動的観察は時間にともなう現象を見つけるのに有効となります。これらの観察を行うことにより状態把握の精度が高まるだけでなく、観察の見逃しを防止することができます。

(2)写真撮影の方法

写真撮影は必ずカメラを三脚にセットします。これは手ぶれを防止してピントを正確に出すためで

す。レンズは50mmのマクロレンズを使用します。必要に応じ、中間リングあるいはベローズをセットして接写撮影をします。撮影のポイントは、光のコントラストが出来上がった写真の良否を決めるということです。写真2(a)は直接撮影の状態で、2(b)はこの方法で撮影したものですが、QFPのリードが黒くつぶれて見えなくなっています。写真3(a)は間接照明で撮影している状態です。全体をトレーシングペーパーで覆い、QFPの手前に白色の反射板(この場合は発砲スチロール)を置いて撮影しています。3(b)に出来上がった写真を示しますが、QFPのリ-ドがはっきりと写っているのがよく分かります。デイライトランプを使用した場合は、間接照明なしでも明瞭に写ります。

間接光の撮影状態を写真4(a)に,仕上がった写真を4(b)に示します。

積み木ブロックを使用しますと、アッセンブリを汚すことなくいろいろな角度で撮影できます。写真5にアッセンブリをセットした状態を示します。この方法は実体顕微鏡で撮影する時も有効です。

 

(3)正常品との比較観察

アッセンブリを直接目視で観察し、さらに写真5アッセンブリの固定真撮影、ビデオ撮影を行って正常品と不具合品、さらに部品、基板の使用品と未使用品との比較をします。この時アッセンブリは6方向から観察し、不具合を部を合む広い領域、不具合部、不具合部の細部の順に顕微鏡観察を行います。特に、不具合部は角度を変え、照明を変化させて観察し写真撮影を行います。

基板を例にすると正常品の観察ポイントは、以下のようになります。

*全体的に色の変化、位置関係、搭載部品の状態。

*形の変化(基板の反り、部品の変形、リードの曲がりなど)

*異物の存在(ゴミ、汚れ、液体の付着した痕跡)

*表面の凹凸、きず、その他の状態の変化。

*はんだ付け部の状態

 

(4)不具合品の観察ポイント

正常品の観察を徹底して行うと、不具食品を観察した時に違いが分かりやすくなります。それは良く勉強して試験問題に取り組んだときと、勉強をしないで取り組んだときの違いがあります。正常品同様に全体の調査から始め、要領は同じです。ここの調査で不具合品製造当時に踏み入って検証することになります。使用されている基板、部品、フィレットの状態を緻密に調査して、使用した設備の管理及び技術のレベルがどうなっていたか、併せて不具合品の取扱いが適切であったかどうかを検証します。

1.2.2 顕微鏡による細部の状態観察

拡大観察をした時に、シャープな解像と現物の色彩を正しく表現してくれる装置であればなんでも良いことになりますが、観察はレンズを透して行われるのでレンズの球面収差や色収差のある画像は適しません。

(1)実態顕微鏡観察

一般には実体顕微鏡が使用されています。実体顕微鏡は不具合品を任意の角度にセットすることができ、照明角度も任意に選べるのでより豊富な観察ができ、不具合部からの情報を引き出すことに役立ちます。実体顕微鏡の観察にも被写体に対し、直接光観察と間接光撮影を使い分けることで観察力がつきます。前出の写真1a)の直接光撮影、1b)の間接光撮影の結果では、間接光撮影はフラックス残渣の状態が鮮明に撮影されています。

 

写真6に実体顕微鏡の間接光撮影の状態を示します。 トレーシングペーパーで円錐形の筒を作り、上端をカットしたもので直接光をさえぎり照明します。この方法で10円硬貨を観察した結果を写真7に示します。(a)は10円硬貨を普通に観察した状態、(b)は斜めにセットして写真6の方法で観察したものです。10円硬貨の表面状態がはっきりと分かります。

同様にステンレス製のクリップを観察したものを写真8に示します。直接光では一般には表面状態が分かりにくい材質です。間接光で表面の状態が観察しやすくなり、さらに照明の角度を変えることで横キズが強調㈱されたり、縦の圧延時のキズが強調(b)されたりします。この応用として、フィレットの表面の結晶状態、あるいははんだ割れの観察に有効です。

アッセンブリの観察をする場合、現場の作業も多くなります。そのために携帯する小道具があります。生産現場及び実体顕微鏡の観察などに使用する小道具を写真9に示します。ルーペ、ピンセット(バネの柔らかなタイプ)、ピン(または針)、極細の筆(毛の長さを2mm位にカットしたもの)、爪楊枝、砂消しゴム、積み木ブロック、キムワイプ紙、ブローアー(むしろカメラ用)、スパチュラ、フイルムケース(サンプル収納)、帯電防止ビニール袋(サンプル収納)、クロム酸銀試験紙(塩素、臭素反応)、イソプロピルアルコール(IPA)、精製水、クシ型基板、トレーシングペーパー、綿棒、カッターナイフ、1円硬貨、歯科用ミラー、はさみなど。

金属顕微鏡は普通外観観察ではあまり使用しませんが、めっき表面の状態を観察するのに有効です。

ただし、実体顕微鏡で表面の凹凸、異物の付着などについて十分状態を把握していないと、例えば、異物の付着が腐食のように見えたりして、思わぬ判断ミスをすることになります。写真10(a)は実体顕微鏡で撮影した金めっきの一部分で、透明に近い異物が付着していますが、なかなか分かりにくい状態です。同じ箇所を金属顕微鏡で観察すると写真10(b)のように腐食と誤解されかねません。

(2)CCDカメラ

CCDカメラはアッセンブリを直接観察するのではなく、モニターの画面に映し出して観察します。

画面が広くしかも複数の人が同時に観察できる点は不良解析の上で優れています。モニター画面の色彩は良いのですが、プリントアウトした写真の色彩は十分とは言えません。報告書に添付する場合、現物と色が異なる写真では報告書に説明文を付記して補足しなければなりません。

高倍率での解像力は金属顕微鏡を上回り、モニター画面上で2000倍以上の機種もあります。高倍率側になるほど、実物の色の再現は悪くなります。 CCDカメラは面積計算、長さ測定、厚み測定、記号および文字の写真書き込みなどの機能のついたものも市販されてきています。

今後CCDカメラはさらに進化し、不良解析のスピードアップが可能となるでしょう。

 

1.3 断面観察の仕方

断面観察は実体顕微鏡で全体像と色彩を観察し、次に金属顕微鏡、電子顕微鏡の順序で微小節の観察をすることが鉄則です。必要に応じEPMAで成分分析します。

1.3.1 断面観察用試料の作成

断面観察ではどの角度から切断するかが最も重要になります。そのためにも、徹底した外観観察で内部の状況を推定し、切断の位置、角度を決めます。必要に応じX線解析を行って確認します。次に、切断の際に熱をかけることなく、また、応力を与えることなく完了するのが理想的になります。それには最も適した切断機を選択することがポイントになります。金のこで切るのは危険です。

コネクターのソケット部の切断のような場合、切断機は切り粉がソケット内の空洞部に侵入すると除去できないので細心の注意が要求されます。また、試料の研磨では、例えば、ヨリ線のように研磨中に線が脱落して、研磨面に突き剌さる恐れがある場合は、手作業で研磨しなければなりません。

どのように優れた研磨機があっても、日頃、手作業の研磨の腕を磨いておくことは大切です。

次に手作業による試料の断面観察試料の作成手順を説明します。

①(以降チップについて)切断の際の応力が掛からないように、切断の位置は慎重に選ぶ。

②チップの周辺をファインカッターで切断し、アッセンブリから切り出す。

③切り出した全体を樹脂でモールドする。

④樹脂が凝固したのを確認して、チップ部品の断面観察近辺を樹脂とともに再度ファインカッターで切断する。切断位置ははんだ付け部の直前で止める(研磨することによりにフィレットが出る位置の切断がよい)。この直前で止めることは切断の最も重要な点になります。

⑤ガラス板の上にエミリーペーパをセットし、水を流しながら一方向から研磨する。一般には手前から向こうに押すようにし、試斜面の全面が平均してペーパーに当たるように研磨する。(往復研磨はしない)研磨後は研磨材を流水で完全に洗い流す(残ったまま次に移ると、粗い研磨材がそのまま持ち運ばれ、新たに傷ができます)。

⑥次に、研磨材の細かいペーパに水を掛け、付着している研磨材などの破片を洗い流してから、前回と直角の方向で、前回の研磨傷が消えるまで研磨する(この作業を怠ると、観察面のきずが取れなくなります)。

⑦このようにして、エミリーペーパーの#350、#500、#600、#800、#1000、#1200、#1500まで仕上げる。

⑧この後琢磨機でアルミナ研磨材などで研磨する場合、試斜面は軽く触れる程度で、時間をかけて研磨する。(慎重に作業しないと、はんだは柔らかい金属なので表面のはんだが流れ、綺麗な組織を見ることができなくなります)この作業のミスは多い。

⑧市販されているアルミナ研磨材の#100を指の腹につけて研磨し、はんだ表面が流れるのを防止する(この方法は充分練習してから実施して下さい)。

⑤試料を超音波洗浄して研磨材を除去する。金属顕微鏡で観察し、不十分な場合は再度研磨する。必ず超音波で洗浄しなければなりません

⑩このようにして、アルミナ研磨材で#250、#350まで行う。

⑨必要に応じ中性洗剤で洗浄する(水切りが良くなります)。

⑩洗浄後水分をキムワイプ紙を軽く当てて、水分を吸い取ってからブロワーで乾燥させる。

乾燥後、顕微鏡写真を撮ります。割れの原因が十分観察できたのであれば、細部の観察はこれで完了します。不十分であれば、さらに、試料を前記⑦から削り出して、割れの状態を観察します。

はんだ付け部の断面観察のための切断装置及び琢磨装置が市販されていますが、すぐ機械に頼るのではなく、経験が少ない場合は、メーカーの技術者と連絡を取りながら切断及び研磨の作業に当たることをお勤めします。また、日頃から、手作業の研磨の腕を磨いておくことは大切です。

1.3.2 断面観察のポイント

不具合の原因調査は、倍率が低いほど全体を評価することができます。倍率が高くなると、一部しか視野に入ってこないので全体が見えなくなります。したがって、電子顕微鏡だけでの不良解析は大変危険なので、絶対になさらないでください。断面観察に先立ち、実体顕微鏡で外観観察を完了させてから金属顕微鏡で観察するのが基本です。

断面観察で得られる主な情報を表1および表2に示します。

写真11は、噴流はんだ付けのフィレットのはんだを溶解して観察したもので、金属間化合物は溶けずアトランダムの方向に針状に析出しています。金属間化合物は比較的容易に生成されます。写真12は、はんだ付け部断面に生成された金属間化合物です。

 

1.4 分析機器

 

成分分析を行う上での設備の概略を説明します。

不具合部の化学分析では、そのままの状態でできる場合(電子顕微鏡、FTIR)と、溶剤に溶かして行う場合(ガスクロマト、イオンクロマトなど)があります。

溶剤を使用する場合は、溶剤の選定を誤ると正確な分析ができなくなります。一般には、ベンゼンは溶剤として優れた溶解力がありますが、人体に有害ですから、溶剤を使用する場合はドラフト内で作業するのが原則になります。作業環境の面からも室内の換気には十分配慮するよう心掛けなければなりません。

また、関連の取扱い資格が必要となります。

不具合の原因解明の場合はミスは許されませんから、事前に練習し、分析機器が正常か否かを確認しておくことは大切です。

分析する物質とそれに適した主な分析機器について表3に示します。

ガスクロマトグラフ、イオンクロマト、赤外分光光度計で得られた分析チャートを例を図1、2、3に示します。

(資料提供:㈱島津製作所)

 

 

 

 

Posted in Ⅰはんだ付け不良解析の着目点 | コメントは受け付けていません。

2.不良解析に役立つはんだ付けの着目点

2.1 立体的構造物とはんだ付けの障害

どのように小さな接合邦であっても、はんだ付けは立体的構造物を造る技術です。立体でとらえることで、熱の伝達の道筋が読めます。この道筋こそ溶融はんだの通り達になります。この通り達にはいろいろな障害があり、それがはんだ付け不良、市場での不具合の原因となっています。

これまで手掛けた多くの不良解析の結果、障害は、”温度(熱)”、”汚れ”、”力”の3因子に大別されることが分かります。

2.1.1 障害の1「熱の伝達」

噴流はんだ付け用基板のスルーホールを平面図で描くと、図4となります。これを立体で描くと図5(a)となります。回中Aのスルーホールの大きさはBより小さく、予熱ゾーンに入るとAは先に温度が上がります。したがって、AはBの熱の供給源となり、Bに向かって熱が移動します。結果としてAは温度上昇が遅れます。

一方、図5(b)では図5(a)と同じ大きさのスルーホールのAがありますが、これにはさらに小さなスルーホールBが接続されているので、Bが先に温度が上がりBから熱が供給されます。

 

したがって、同じ大きさのスルーホールであっても、温度の上昇に時間差を生じる結果となります。

回路設計では導体を長く引く場合があります。図5(a)のAはBに熱が奪われますが、図6に示したように、(a)から出ている導体が長く、基板上リフロー炉に侵入する先頭に位置していると、先に加熱されて熱が供給されます。この場合は図5(a)とは熱の流れが逆になります。

このように炉中をアッセンブリが通過するだけであっても、回路、部品、基板により熱の流れが変わります。熱の流れによりはんだ付け部の温度上昇に差が生じ、これが時間差となってはんだ溶融開始を遅らせることになってマンハッタン現象やリード浮きの原因にもなります。

 

2.1.2 障害の2「金属の熱伝導率」

はんだの通り道は金属があります。金属の性質の中でとりわけ熱の伝導率は、「熱不足、熱過多の原因」にもなる重要な因子となっています。黄銅は銅の約1/3の伝導率なので、黄銅のリード1本加熱するのと、同じサイズの銅を3本同時に加熱するのと熱容量は同じになります。したがって、銅をはんだ付けするのと同じ条件で黄銅にはんだ付けしますと熱不足が原因のはんだ付け不良になります。

このことは現場の作業者に限らず、回路設計あるいははんだ付け継ぎ手の設計をされる方も、理解しておかなければなりません。表4に金属材料の一般的な熱伝導率を示します。

このほか熱の伝導を妨げる金属側の因子は、金属表面の汚れ、酸化物、腐蝕生成物、蒸発物質(

化熱)、ゴミの介在)など等があります。

2.1.3 障害の3「はんだ付け部金属表面の汚れ」

はんだ付けされる金属材料の表面状態がどのようになっているかを知ることは生産性と信頼性の面からも重要になります。

私たちはほとんどの金属材料の真の肌を見ておりません。私たちが見ているのは、表面の酸化物と汚れになります。 10円硬貨は材質が銅なので、銅と言いますが、はんだ付けの立場で見れば表面は銅ではありません(写真13)。

 

 

 

 

 

 

表面を銅としてとらえるか、汚れとしてとらえるかは、はんだ付け性に直接関係するだけに重要になります。すなわち、表面を汚れとしてととらえれば、はんだ付け性は「障害」として認識され、改善しなければならないと判断できるようになります。しかし、現場では気付かない場合が多く、気付いても強く認識しないと、次の「改善」という行為に至りません。結果として、生産性と信頼性が向上しなくなります。図7は金属の断面を模擬的に描いたものです。

加熱をした場合、(a)は汚れと酸化物があるため、熱の伝達が悪く、(b)は熱の伝達が良いと理解できます。

同じチップ部品のはんだ付けでも、やに入りはんだでは、常に新鮮なフラックスがチップ電極の側面に供給されるので、電極部が少々酸化と汚れ状態になっていても、はんだ付け性は良好になります。 同様に、噴流はんだ付けでもフラックスは、はんだ付け部全面に塗布されているので、はんだ付けは良好になります。しかし、クリームはんだで改善しなければならないと判断できるようになります。しかし、現場では気付かない場合が多く、気付いても強く認識しないと、次の「改善」という行為に至りません。結果として、生産性と信頼性が向上しなくなります。図7は金属の断面を模擬的に描いたものです。

加熱をした場合、(a)は汚れと酸化物があるため、熱の伝達が悪く、(b)は熱の伝達が良いと理解できます。

同じチップ部品のはんだ付けでも、やに入りはんだでは、常に新鮮なフラックスがチップ電極の側面に供給されるので、電極部が少々酸化と汚れ状態になっていても、はんだ付け性は良好になります。

同様に、噴流はんだ付けでもフラックスは、はんだ付け部全面に塗布されているので、はんだ付けは良好になります。しかし、クリームはんだでは、印刷されたクリームはんだの表面にチップがは、印刷されたクリームはんだの表面にチップが載っているだけなので、はんだ付けされる電極側面にはフラックスが存在していません。したがって、前二者と比較するとクリームはんだは、はんだ付け性が悪くなります。金属の表面の汚れと酸化物は、このようにはんだ付け方法によって、はんだ付け性に影響が出やすくなります。

 

(1)汚れによるフラックス作用の低下

クリームはんだのようにフラックスは加熱により基板面から電極側面を這い上がって行きます。表面酸化物と汚れはフラックスで洗浄されることになっていますが、実際にはフラックスが這い上がって行くほど、フラックスの先端部は活性剤分が消耗し、しかも金属表面の汚れと酸化物を溶かし込むので、フラックスとしてのクリーニング作用は薄れてきます。

金属表面の酸化と汚れははんだ付け性ばかりでなく、クリームはんだの印刷量との絡みもあって、チップ浮き、チップ脇はんだボール等の不良の原因にもなります。

基板スルーホール内は洗浄が不十分になりがちです。イオン物質が洗浄不十分で残留した場合、汚染されていることになりますが、やがて写真14に示したように腐食に発展します。この基板を噴流はんだ付けしたのが、写真15(になります。このような原因で穴あきとなれば当然修正をして外観では穴あきは見えなくなりますが、スルーホール内部の腐食物質はフラックスでは除去できませんので、市場に出てはんだ割れ、多層基板では層間断線、フィレットが燃えるなどの事故に進展します。

(2)部品の酸化の追放

高密度実装になるほど僅かな酸化、汚れ、腐食が影響を与えるようになります。多くのはんだ付け専門書では「フラックスの作用」として「酸化物の除去」が記述されています。このため、「フラックスは酸化物を除去してくれるもの」と信じている方がいます。はんだ付け不良の原因には、フラックスの影響もありますが、あきらかにアッセンブリ上に搭載されている部品が原因の場合があります。特定の部品に限定してはんだ付け不良が発生しているのであれば、一般には、その部品のはんだ付け部が悪いと判断できます。その原因がはんだ付け部の酸化物によるものであれば、はんだ付け不良の改善として、まず、部品の酸化に照準を合わせなければなりません。

酸化の原因が受け入れ時にすでに確認できているのであれば、部品メーカーに改善させなければなりませんし、酸化が受け入れ後の保管状態で進行したのであれば、保管の場所、保管の方法を改善しなければなりません。はんだ付けの立場から、単に「はんだ付け性が良くなれば」と言う安易な考えで、はんだメーカーに対し、より強い活性力のあるフラックスを要求するのは誤りです。これは絶縁不良の原因にもなります。部品の保管に適している場所としては、次に列記するように、ゴミ、ほこり、水、発生ガス、光、カビ、虫などの影響を受けない場所が基本となります。

*雨風が直接侵入しない。

*直射日光にさらされない。

*床から少なくとも50cmの高さの棚の上。

*空調の風が直接当たらない。

*近くにゴミ箱がない。

*近くに水道、ガス湯沸かし器、石油系のストーブがない。

*薬品類が存在しない。

*できればクリーンルーム。

*保管場所では空気が停滞することなく、対流と換気が行われていること。

*実装ライン内での保管であれば、簡易クリーンルーム内か専用の収納庫の中。

 

保管上の管理は、

*専任の管理責任者を置き記録をつける。

*先入れ先出しの遵守。

*整理、整頓、清掃の徹底。

*誤って床に落下した場合の使用については、社内で判断基準を設けておく(長い時間床に放置しておくと吸湿の原因となります。特にコンクリートの床面には注意しなければなりません)。

写真16-21に示した一連の写真は入荷直後の未使用の部品です。酸化、異物の付着、変形など様々です。実装ラインではこれらがはんだ付け不良、部品浮き、はんだボール、剥がれ、部品ズレ、などの原因となり、修正の労力が増加します。はんだ付け不良は往々にして見逃される場合があり、市場に出ますと、はんだ割れ、発熱などにより導通不良となって機能が停止し、交通関係では暴走、人身事故、火災に及ぶ場合もあります。近年、保管も含め部品の状態の悪いのが目にとまります。

 

 

Posted in Ⅰはんだ付け不良解析の着目点 | コメントは受け付けていません。

Q14 QFPのリードでブリッジはどのようなメカニズムで起こるのでしょうか。

1.1 オーバー加熱が原因の場合

マウント後アッセンブリがリフロー炉に入ると、QFPのはんだ付け箇所では図aに示したように、リードでは先端から温度が上昇します。はんだはリードの先端から順次パッケージ側に向かって溶融が進行し、ここにはんだに流れが生じます。

この流れの中でフィレットが正常に形成される時があります。この時、加熱が終了すればブリッジの発生は起きません。正常にフィレットが形成された後も、加熱を続行すると溶融はんだの流れは止まりません。金めっきリードあるいははんだめっきリードのように、はんだの濡れの良い金属に起こる現象ですが、この流れはあたかも木が根から水分を吸い上げるように、一度形成されたフィレット部に存在する溶融はんだを吸い上げます。この結果、溶融はんだ部は体積を増して膨れ、やがて隣のリードの膨れた溶融はんだと接触してブリッジとなります。

これがオーバー加熱によるブリッジ発生のメカニズムになります。観察のポイントはリフローソルダリング後フィレットを観察した時に、ブリッジしていないリードの先端と比較して、フィレットのはんだ量が少ないのが特徴になります。酸化物の除去性に優れ、濡れ性の良いフラックスに起きやすくなります。

 

1.2 印刷ミス、マウントミス、予熱のダレが原因のブリッジ

クリームはんだが溶融する前の固体の状態でリード間でショートすれば温度プロファイルが適正であってもブリッジします。予熱のダレはクリーム自体の性質と印刷時の吸湿などが原因となります。

フラックス含有量が少なくなると、比重差(フラックス:はんだ=1:8.4)ではんだの絶対量が増え、ブリッジしやすくなります。

 

■今後、序章「Ⅰはんだ付け不良の着目点」 約18ページが未掲載でしたので、追加していきます。

また、現在日刊工業新聞社から販売されております「カラー写真で見る マイクロソルダリング不良解析 -基本現象からBGA不良を徹底追跡-」は好評発売中です。アマゾンからの購入が便利ですのでご検討いただければ幸いです。

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%BC%E5%86%99%E7%9C%9F%E3%81%A7%E8%A6%8B%E3%82%8B%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%BD%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E4%B8%8D%E8%89%AF%E8%A7%A3%E6%9E%90%E2%80%95%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E7%8F%BE%E8%B1%A1%E3%81%8B%E3%82%89BGA%E4%B8%8D%E8%89%AF%E3%82%92%E5%BE%B9%E5%BA%95%E8%BF%BD%E8%B7%A1-%E9%95%B7%E8%B0%B7%E5%B7%9D-%E6%AD%A3%E8%A1%8C/dp/4526059889/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%BD%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E4%B8%8D%E8%89%AF%E8%A7%A3%E6%9E%90&qid=1561112211&s=gateway&sr=8-1

Posted in リフロー半田付け編Q11~ | コメントは受け付けていません。

Q13 チップ立ちはどのようにして起こるのでしょうか?

1.観察のポイント

チップ立ちはマンハッタンあるいはツームストンと呼ばれるはんだ付け不良です。寝ている物が立つのですから、当然そこには力が作用します。部品浮きの延長線上にあるはんだ付け不良です。

1.1 作用する力

①チップの自重。

②印刷したクリームはんだが溶融すると1/2の高さになる時の落差。

③電極とパッド間で濡れる力。

④フラックスから発生するガスによる浮力。

⑤フラックスの浮力。

1.2 加速する因子

①パッドの温度上昇による時間差。(回路設計に起因)

②チップ部品の形状。

③アッセンブリ搬送コンペアの振動。

①リフロー炉内の気流の上昇。

⑤温度プロファィル。

⑦チップ部品の下の基板面の凸部。

②チップ部品の下の基板の穴。

⑤合金成分

 

2.原因と発生のメカニズム

図aの状態にチップがマウントされてリフロー炉に入ります。リフロー炉の熱源から均一な熱がアッセンブリに与えられますが、回路設計でAのパッドがBのパッドより先に温度上昇したものとします。

アッセンブリでは、基板より部品が先に温度が上がります。小さい部品ほど温度が早く上がります。チップ部品では上部がチップの下側より先に温度が上がります。

チップ部品の電極部では温度が高くなると、そこに接しているクリームはんだ中のフラックスが温度上昇し、その部分のフラックスの粘性は小さくなって流れやすくなります。液体は粘性の大きい方から小さい方に流れる性質があるので、温度の高い側である電極の上部に向かってフラックスは上がって行きます。

さらに、高温側にアッセンブリが移動すると、はんだはパッドに印刷された外側から溶融を開始します。溶融が始まると、印刷したクリームはんだの高さは1/2になり、ここでチップは、1/2の落差が生じ傾きます。同時に電極で濡れが開始されるので、パッド側は溶融はんだを引きつける作用が包ります。

このようにしてチップはAのパッドにずれ込みます。この時パッドBのクリームはんだ溶け出しますが、チップAのパッドにずれこんだために、Bのパッド側の電極は浮いた状態になっているので、溶融はんだは電極に接しません。

しかし、AB両パッド部のクリームはんだから流れ出たフラックスは2倍の量となって、チップの底面から浮きがらせる力として作用します。すなわち、傾きながらずれ込んだ時に、2倍の量のフラックスが下から突き上げてチップは立つ訳です。

以上の過程は時間を広げて説明しましたが、実際は短時間で完了します。実装ラインではいろいろな力が作用します。

わずかな力であっても、チップが小さくなるほど自重は軽くなるので、相対的に大きな力が作用したことになります。

 

3.対策

ガスが発生すればチップ立ちを加速します。温度プロファイルで急激な立ち上げをすると、クリームはんだが溶けるスピードが早くなります。早くなるほど力は速度に比例して大きくなるので、チップ立ちを加速することになります。

したがって、ピーク温度に突入する時に急激に加熱するのは禁物です。ゆっくりだらだら加熱する方がチップ立ちを防止します。このだらだら加熱する現象をはんだ側に機能させたのがBi入りのはんだです。これは凝固溶融範囲があるのでだらだら溶けることにより、完全溶融まではむしろ半溶融の状態になり、パッドに電板蔀を引きつける力が弱まります。それによりチップ立ちを押さえることになります。

要するに、A、Bいずれのパッドも同時に濡れて、同時にはんだが溶け終わればチップ立ちは起きません。

逆に図中B側の濡れ性を改善させれば効果的で、それには合金として喰い付きの良い銀入りはんだはチップ立ちに効果があります。

チップ立ちを防止する上で1つひとつの加速因子の作用を認識しなければなりませんが、これらの加速因子はA、Bいずれかのパッドのクリームはんだの溶融開始と溶融終了(あるいは濡れ開始と濡れ終了)のわずかな時間に攻めてくることは事実です。

多くの実装ラインでは使用しているマシンの癖は知っていないようです。マウンターの振動は結構強く、その振動を拾ってリフロー炉が振動していることもあります。リフロー炉が振動していると、部品のズレは顕著に出ることがあります。

コンベアを駆動するモータのベアリングの摩耗が原因で振動し、それが部品ズレのはんだ付け不良に至った事例があります。

コンペアが振動してアッセンブリがずれるか否かを調べるには、金属製の板に基板を起き、基板の四隅に印しを付けてリフロー炉に流します。基板がずれていればコンペアが振動していることになります。

次にティッシュペーパーを細く切ったものを基板に貼り、リフロー炉に流します。リフロー炉の出口から観察すると、ティッシュペーパーが激しく舞い上がる箇所があります。その位置が温度プロファイルのピーク温度領域ですと、クリームはんだが溶融しているゾーンになっているので、チップ立ちの危険性があります。

このようにしてチップ立ちにかかわる力の原因を解決しておくようにします。

Posted in リフロー半田付け編Q11~ | コメントは受け付けていません。

Q12 QFPの2箇所のリードが浮いてしまいます。もう一度リフロー炉を通すとなぜ直るのでしょうか?

QFPのリードとチップの両電極が図aに示したように配線されています。リフロー炉に入ると、チップはQFPより先に温度が上がります。したがって、この熱は導体を通ってQFPのリードのパッド部に供給する形を取るので、他のどのリードより先にクリームはんだは溶けます。そして、他のリードが溶ける時は、溶融はんだはパツドを広がるので、溶融はんだの高さは低くなります。

一方、他のリードはクリームはんだが溶融すると、広がるゆとりもなく凝固の体勢に入ります。この場合は溶融はんだの高さは、チップから熱供給を受けたパッドよりは当然高くなります。

では、なぜ2つのリードだけ浮くことになるのでしょうか。

それは表面実装のはんだ付け部では、パッドの上に溶融はんだがあって、凝固するまでの間は例えQFPであっても、舟のように実は浮かんでいるのです。浮かんでいる波の高さが違うのです。

ところが、凝固後再加熱をすると、その他大勢のはんだ付け部では、パッドを溶融はんだが広がることにより、その分フィレットの高さが低くなり、その上に浮いていたQFPは下がります。よって最初の加熱でリードが浮いていた所でも、QFPの高さが下がったことにより接触して濡れ、正常にフィレットが形成されます。

〈参考〉セルフアライメント効果

この効果は溶融はんだがパッドの上面で表面積を最小にしようとする力が働き、溶融はんだ自体移動するのです。

その上を部品が浮かんで波まかせということでしょうか、引きずられるのです。部品があっち向いたり、こっち向いたりするのは、先に濡れた所が舵取りをしているからです

Posted in リフロー半田付け編Q11~ | コメントは受け付けていません。

Q11 不具合ではありませんが、チップ部品が浮いたのはなぜでしょうか?

1.観察のポイント

①写真aで示したようにチップは右側にずれている。

②チップの下の基板面にはシルク印刷がされている。

③全体的にフィレットのはんだ量は少ない。

④電極の表面は酸化されている。

⑤写真bに示したように右側のパッドにつながる回路には、チップコンデンサとチップ抵抗が近距離で接続されている。

⑥反対のパッドでは、少し離れてチップコンデンサが接続され、さらに導体は伸びている。

⑦同パッド部の導体はさらに下に回路が走っている。

2.原因と発生のメカニズム

チップ部品が右側にずれていることは、この場合、右側のパッドが先に温度が上昇し、先にクリームはんだが溶融したことになります。リフロー炉に入ると基板より先にチップ部品が温度が上がります。したがって、右側のパッドはチップコンデンサと抵抗から導体を通じて熱の供給を受けるようになります。これに対し、左側のパッドでは導体の長さが右のパッドより長く、しかも、さらにその下を導体が走っている関係で、むしろパッドの熱は奪われる状態にあります。この関係から右側のパッドのクリームはんだが先に溶融するようになりました。

ここで気になるのがチップの下のシルク印刷です。基板のパッド面を基準にとると、レジスト面はパッド表面より高く、その高いレジストに印刷されているので、引き寄せられると反対側は浮きやすくなります。当該チップが多少浮いているのはシルク印刷の影響はあります。

次にチップかすれている現象については、溶けている箇所に引き寄せられる点を考慮すると、チップ全体では右側にずれ、右側のパッドでは本写真では下側、すなわち手前が最も早く溶けた位置と解釈できます。

フィレットのはんだ量が少ないことは、印刷量が少ないことになります。少ないほど周辺の熱形響か出やすくなるので、回路的に温度上昇に差が生じる場合は、セルフアライメントの効果が出やすくなるはずです。

3.対策

①チップを取り外して、フラックス及びはんだを取り除き、新しいチップをはんだ付けします。

②コンベアスピードを遅くして条件出しをします。

③クリームはんだの量を増やすことで条件出しをします。

④パッド間距離が広すぎます。セルフアライメントで最大ずれても、電極部がパッドに充分載っ

ているようにします。

〈参考〉小さな穴が部品を浮かす

部品の浮きは第一に力が関与しています。その力は些細なものでも、タイミングが合うとまるで倍の効果を出すことがあります。今回の解析内容もこんなに小さな箇所で温度差が生じることは信じられないかもしれません。しかし、チップ部品が小さくなれば、さらに些細な現象が不具合の全体を支配することになります。

写真cはパッド間に小さな穴があいています。この穴は裏面でレジストでクローズになっています。

リフロー炉の中でここに吸湿していた水分が蒸発して、チップ浮きの原因になったものです。吸湿で

あっても汚れがあれば、蒸発は高温側にずれ込みます。水は100℃で蒸発します。だから100℃を通過すれば存在しないと思いがちですが、汚れは蒸発温度を高くする点を認識すれば、例え微小な穴であってもあなどれません。

 

Posted in リフロー半田付け編Q11~ | コメントは受け付けていません。

Q10 リードの濡れ不良がなぜ発生したのでしょうか。

1.観察のポイント

①写真aに示しかように、はんだ量が少なくフラックス残渣がない。

②写真aのリードの表面が酸化し、はんだが濡れた形跡がない。

③写真aでフィレットの肌がブツブツになっていて、はんだボールが3個確認できる。

④写真aでははんだ不濡れのままフィレットにリードが載っている。

⑤平行部がないリードの形状している。

⑥写真bは別の不濡れであるが、同じ基板の同じメーカの部品で、フィレットに過剰

と言うくらいはんだが付いている。

⑦写真bの表面はリードの酸化物が転着している。

⑧写真cのリードとフィレットの境に少し隙間がある。

 

 

 

 

 

 

2.原因と発生のメカニズム

フラックス残渣が洗浄されて存在しないために、はんだ付け時のフラックス挙動が読めない状況にあります。はんだ量を比較するとリード浮きをしている箇所のフィレットでは明らかに少ないことが分かります。

少なくなったのは印刷のミスとはんだボールで消失した場合が考えられます。

③で記したようにフィレットの手前壁面にはんだボールが確認できることから、当該リード浮きのはんだ量の減少ははんだボールとなってフィレットから逃げたことが想定できます。

しかも、フィレットの表面はブッブツした肌を見せており、正常なフィレットではこのような状態が確認できないことから、はんだが逃げた原因はアッセンブリの搬送コンベアの振動ではなく、クリームはんだの溶融時に要因があったことになります。

次にリードがフィレットの上に載っていることは、リードが浮いていることになります。浮いてはいても正常なはんだ量のフィレットをもとに検討すると、仮に浮いたとしてもこの程度の浮きであれば、多少なりともリードはフィレットの中に入り込んでいなければなりません。しかし、現実にはそのはんだがないのです。リード先端の形状と正常なはんだ量をもとに考察すると、クリームはんだの印刷後マウント状態では、全リードは図aに示したように、印刷したクリームはんだの中に突き刺さっていたことが想定できます。

それではリフロー炉に入って、ここで一体何か起きたかということです。

 

 

 

それを解く鍵は熱の伝達にあります。リフロー炉に入ると、図aのリードの先端は最も早く温度が上がり、クリームはんだはこの箇所から溶け始めます。他のリードが先に濡れると、溶融はんだはリードに這い上がりながらリードをパッドに引きつけます。この時、当該リードは反動で上にはねるようになり、この動きが、リード先端部のはんだを外にはじき出してしまい、多量のはんだがフィレットから失われた訳です。この段階ではフィレットの上部とリードの低面とは接触していますが、フィレットが凝固したことで収縮しわずかながら隙間ができたことになります。

以上の現象は不具合リードでは丁度はんだが溶け始めた時点で起きているから、リードにはんだが濡れる時間のゆとりもありませんでした。それでリードは全くはんだが濡れていないのです。また、はんだは溶け終わった時に凝固を開始しているから、表面がブツブツになっているわけです。

3.対策

部品の受け入れに注意を払うとともに保管管理の徹底を図ります。

 

Posted in リフローはんだ付け編Q6-10 | コメントは受け付けていません。

Q9 部品のズレがどうして起きたのでしょうか?

 

 

 

 

 

1.観察のポイント

①4本のリードの表面はいずれも酸化が著しい。

②フラックス残渣のドームは左上が最も大きく、右のリード間に存在しているフラック

ス残渣のドームも大きい。

③フラックス残渣のドームはリードの先端には存在せず、必ずパッケージに接している。

④フラックス残渣のドームの状態からすると、左上のドームは大きくその残渣の皮膜は

薄い。これに対し、写真の矢印部では下のドームは小さくてその残渣の皮膜も厚い。

2.原因と発生のメカニズム

原因は明らかにリードの酸化とフラックスから出るガスであることが分かります。ここのリードの大きさとパッドの大きさを観察すると、左側のリード部はクリームはんだ量は最も多く、パッドの面積も最大です。したがって、この箇所は温度上昇はほかのどのリードより遅く、最後にクリームはんだは溶融しています。最初に溶けた右3本のリードがセルフアライメントの効果で、本部品の位置を決定し、ズレは生じないことになります。ところが、実際にはずれてしまっています。

では、なぜこのようにずれることになったのでしょうか。興味深いのは④で指摘したドームの形態です。ここのフラックス残渣の状態から言えることは、この部品では写真の上側は温度が高く、下側は低い点にあります。上が高くて、下が低くなったのか、結果として温度差が生じています。

部品を支える4本のリードでは、フラックスから発生したガスでドームができ、右3本のリード部は浮き加減となってはんだが溶けているにもかかわらず、フラックスが妨害してリードは濡れません。

部品は傾いてしまったため、確実にパッドにリードが接触していたのは、左側リードの先端の写真では下の部分となります。ここでリードは濡れを開始するようになりました。

この結果、浮き気味たった部品はこの箇所から急激に濡れたことにより、強い力で引き寄せられ、全体的に反時計回りに動いたことになります。

3.フラックス残渣で温度差を読む

本部品のズレのメカニズムはフラックス残渣のドームの大きさとドームの厚みの違いで、リフローソルダリング時に受けた熱が均一ではなかったことに気付いた点にポイントがありました。このことに気付きませんと、温度の低い箇所にリードが引き寄せられたという理由の説明ができないからです。

フラックス残渣の温度による状態の違いは、はんだ付け部のはんだ付け性及び不良の原因を解く上では有力な手掛かりとなります。

生産現場の担当者も、品質管理の担当者も実装にかかわる方は是非フラックス残渣の状態を把握して置いて欲しいものです。

4.対策

リフローはんだ付けではフラックスの作用には限界があります。本部品のリードの酸化状態であっても、これが噴流はんだ付けならば多少カスは付きますがフィレットは形成されます。今後、実装技術は一層高密度化に移行し、リフローソルダリングの精度の要求が高まりますが、部品の酸化の問題を曖昧にしておくと、思わぬ事故を背負い込まないとも限りません。特に鉛フリーはんだでは避けて通れない問題の1つになります。

実装ラインにおいては受入検査と保管管理の徹底が要求されます。

〈参考〉実装ライン

2年後突然ラインを尋ねたらやはり綺麗だった。

現場査察は数えきれないほどしましたが、今でも褒めることはまずない。それが実装現場と言うものとあきらめつつもある。

韓国のチューナーを作っている太峰電子で3年前にセミナーを実施したことがある。広い実装ラインを通って会議室に入り、課長クラスの実務者約20名を対象に講義をした。講義の冒頭、現場の整理整頓が悪く、不必要なものがたくさんあって汚いことを指摘した。少々間をおいて1人の若い課長が席を立って出て行った。

丁度大切な話しをしょうとした矢先だけに、内心ムッとなって後ろ姿を見る。彼は15分ほどで戻ってきて、また着席した。約2時間の講義を終え、再び実装ラインのドアを開けた。

瞬間、我が目を疑った。みんなもびっくりした。

「綺麗だ」

「一体、いつこんなに」

信じられないことは誰でもありますが、今でもあの時の感激が甦ります。

 

Posted in リフローはんだ付け編Q6-10 | コメントは受け付けていません。

Q8 はんだ付け部以外の所で大きなはんだボー ルが発生しています。どこのはんだ付け部 から出たのでしようか?

1.観察のポイント

①基板パッド`にはんだは良く濡れている。

②左上のチップの電極のはんだ濡れは良好で電極のフィレットの光沢もある。

③写真の上の部品のリードが酸化している。

④写真の上の左右のリードのパッドの面積は同じである。

⑤同、右端のリードのはんだ付け部はフィレットのはんだ量も多く光沢がある。

⑥同、左端のリードのはんだ量は極端に少ない。

⑦同、左端のリードの側面が下まで濡れていない。

⑧同、中央のリードは不濡れを起こし、はんだ量は右端のリードと比較すると少ない。

⓽写真の下の部品のリードのはんだ量は多い。

⑩大きなはんだボールの右に小さなはんだボールがある。

⑪各リードの脇にはフラックス残渣中に大きなドームがある。

2.原因と発生のメカニズム

前記①の状態から基板のパッド部は清浄にはんだが濡れているので、使用した基板は良好であったことが分かります。また、このように良くはんだが濡れていたことから、使用したクリームはんだのはんだ付け性は良好であったことが分かります。発生の過程は次の通りです。

クリームはんだは通常通り印刷され、部品マウント後リフロー炉に入りました。加熱が開始され、予熱ゾーンの通過の際も特にクリームはんだの予熱のダレはありません。本加熱に入ると急激に濡れを開始しました。特に、上の部品の右端のリードではフィレットの光沢も良いことから、溶融はんだは強い力でリードをパッドに引きつけています。この時、左端のリードはブクブク泡を出して、はんだが溶けかかりましたが、リードの表面酸化が著しいためはじいてしまいます。しかし、一部はんだは当該リードに濡れていますので、パッドに引きつけられています。リードが酸化していなければ、溶融はんだはリードの上まで這い上がって、フィレットを形成するところでしたが、リードの酸化物ではじかれパッドの外側に押し出されてしまいました。フラックス残渣は一部大きなドーム状になっていることから多量のガスが発生し、はんだボールの移動に追い打ちをかける結果となってしまいました。

大きなはんだボールの隣にあるはんだボールは、同様にして上の部品のリードから出てきたものと推定できます。それは下の部品の左右リードのフィレットのはんだ量が多い位の状態で形成されているから、ここからは発生しません。

原因の第1はリードの表面酸化によるはんだはじきであり、加速させたのがクリームはんだのフラックスから出たガスになります。フラックスもさらっとした液体ではなく、粘性の高い状態なので、ガスによって移動する場合は、動かすはんだの量も多くなります。

3.対策

①部品の酸化の原因調査。受入時はどうだったか。

②部品保管場所の環境のチェック。

③部品の先入れ、先出しの鉄則が守られているかどうか。

④限度見本の作成と、実作業者の教育。

⑤修正作業方法の現場での確認。

⑥検査の徹底。

これだけリードがはんだをはじいていると、修正作業は確実に行わなければ、やに入りはんだ付け編で紹介したトランジスタの事故を再発することになります。

 

Posted in リフローはんだ付け編Q6-10 | コメントは受け付けていません。

Q7 なぜチップの脇にボールが発生するのでしょうか。

1.観察のポイント

〈疑問-1〉

リフローはんだ付けは、クリームはんだを印刷した箇所ではんだが溶けて固まる接合方法です。その際、印刷したはんだの一部が別の場所に移動してしまうということは何が原因でしょうか。あるべき場所から離れて存在するということは、当然、力がはんだ粉に作用したことになります。

〈疑問-2〉

それでは、なぜ、チップの脇に存在しなければならないのか。単に、力だけならどこにでもはんだの粉は移動するはずです。力以外に何かはんだボールの発生の場所を指定するのでしょうか。

この2点を解き明かすことにより、チップ脇のはんだボールの撲滅が可能となります。

〈疑問-1について:関与した力とは〉

発生する力を列挙すると次の通りです。

①部品の自重。

②フラックスから発生するガス。

③クリームはんだから流れ出るフラックス。

④チップの電極を溶融はんだが上がっていく時の濡れの力

⑤溶融はんだがチップの電極に濡れることにより、チップがパッド側に引き寄せられる力。

⑥印刷したクリームはんだの高さが約1/2になる時に生ずる落差。

⑦はんだの粉が凝集する時の力

⑧マウントした時のクリームはんだに対するチップの圧力

⑨セルフアライメントの力

〈疑問-2について:チップ脇に限定した因子とは〉

①熱の伝達の順位。

②それにともなう時間差。

③方向性を決定付ける溶融はんだの壁

〈その他の因子〉

①チップ電極の酸化。

②パッド面積。

③パッド表面の酸化、異物の付着。

④パッドのはんだレペラーの量。

⑤クリームはんだの印刷量。

⑥メーカーによるクリームはんだの違い。

⑦印刷時の吸湿、酸化などによるクリームはんだの劣化。

2.原因と発生のメカニズム

図aはクリームはんだを印刷した後、チップをマウントした状態を示します。マウントの力が強ければ印刷されたクリームはんだは多少バラけるようになります。リフロー炉に入ると雰囲気から熱が供給されます。温度上昇は基板より常にチップ部品が早くなります。温度上昇はチップ部品の下が最も遅くなります。

したがって、チップ部品の電極ではクリームはんだと接触している箇所のフラックスが温度上昇をしながら、粘性をより小さくしながら、より温度の高い(粘性を小さくする高温側)電極上部に上がって行きます。そして、クリームはんだは最も温度が高くなるパッドの外側から溶融を開始します。

溶融はんだはチップ部品の電極を上昇し始めると、図bに示したようにここで溶融はんだの壁が形成されます。したがって、未溶融クリームはんだ中のフラックスの動きは、溶融はんだの壁にさえぎられて止まり、それより外にフラックスは流出できません。当然、発生するガスも溶融はんだの壁にさえぎられます。

図cに示したように、クリームはんだの溶融はパッドの内へ内へと進行します。クリームはんだの溶融がパッドの内へ内へと向かうことにより、フラックスも内へ内へと押し出され、ガスも内側へ移動することになります。

チップ部品の下のクリームはんだが溶融を開始すると、クリームはんだは印刷時の1/2になります。

チップ部品の自重及び溶融はんだがパッド側に引きつける力で、電極側面を上昇する溶融はんだは加速されます。

チップが下に降りる力とパッドが溶融はんだを引きつける力で、チップ電極の下で溶融したはんだ

はフィレットになる側に移動します。これがスムーズに行われればはんだボールの発生はなくなるはずです。

ところが、

A:チップ部品の電極が酸化している場合は、電極側面を這い上がることに限界ができ、次に図Cに示した力が発生して、逆にはんだを押し出し出すことになってはんだボールとなります。

B:パッドの一方が早く温度が上がると、先にはんだが溶融したパッドにセルフアライメント効果でチップが引きずられます。この時の力で未溶融はんだが押し出されて溶け、はんだボールになります。

C:クリームはんだのフラックスが気泡を出しやすいタイプでは、未溶融はんだが押し出されて溶け、はんだボールとなります。

D:フラックスの流れる力、発生ガスの勢い、チップ部品がパッドに引きつけられる力などでタイミングが合うと、未溶融はんだが押し出されて溶けはんだボールになります。

E:はんだ量過多或いはパッド面積が少ない場合は、溶融はんだの保有空間が減少することではんだボールが起きやすくなります。

なぜチップ脇にはんだボールの位置が限定されるのかは、以上の説明の通り、クリームはんだがパッドの外側から溶け始めること、そして溶融はんだの壁ができてしまうことによります。

3.対策

チップ脇のはんだボールの発生の原因にはいろいろな因子があり、どの因子が強く出ているかを常に検証しなければなりません。

①設計ではパッドが均一に温度上昇になるよう、熱バランスを考慮してパッドの大きさ、導体の巾及び長さを決める。

②設計ではチップの電極の高さとパッドの面積で得られる溶融はんだを保有する空間(フィレットになる空間)を大きくとる。

③温度プロファイルでは急激な立ち上げをしない。

④クリームはんだを見直す。

⑤印刷の位置及び印刷量を見直す。

⑥マウントの力を調整する。

⑦クリームはんだの印刷時の管理を徹底する。

③チップ部品の酸化の軽減。

 

Posted in リフローはんだ付け編Q6-10 | コメントは受け付けていません。

Q6 フィレットが曇って光沢がないのはなぜでしょうか?

1.観察のポイント

フィレットの表面状態ははんだ付け性を判断する上でも、また、信頼性を判断する上でも重要な判断基準となります(写真a)。

〈クリームはんだの場合。〉

①部品リードの酸化物。

②合金組成で銀が添加されている場合。

〈噴流はんだ付けの場合。〉

①リードの酸化。

②基板のランドの異物の付着。

②はんだバスの酸化物の付着。

〈やに入りはんだ付けの場合。〉

①はんだ線の表面汚れ。

②写真bで示したコテの当てすぎによる酸化。

③溶融はんだの凝固直前にはんだ付け部を動かした。

④合金組成で銀が添加された場合。

はんだ付けされる金属の表面にはんだがコートされていて、この表面が酸化していた場合は、リフローソルダリング後のフィレットの表面で、写真aに示したような外観を見せます。

いま、図aに示す状態のチップの電極があったとします。リフロー炉内で加熱されると、フラックスが電極表面の酸化物と反応して、溶融したクリームはんだは、電極表面の酸化物の最も早く温度が上がる箇所で反応し、酸化膜の下のはんだと急速に溶け合います。電極表面の酸化膜が強固な場合はフラックスの反応にも限界があり、酸化膜は除去できなくなります。

電極の表面は一般には90Sn-10Pbのはんだめっきがされているので、共晶はんだより融点が高く、クリームはんだが先に溶融して電極を上がって行くことになります。この現象で電極の酸化膜の下のはんだ量は多くなり膨れます。外観上酸化被膜はフィレット表面に残るので、光沢のないフィレットが形成されます。はんだ量は増えて膨れましても酸化物はゴムのように膨れることはないので、写真aに示したように酸化被膜に亀裂が入ります。

2.原因と発生

チップ部品の電極或いはリードの表面の変色が問題になります。写真aの場合は絶縁特性に障害は与えませんが、めっき液が残留しているよう場合は、イオン化している物質が存在しているので、絶縁性に障害が出ることは考えられます。

めっき液の残留の場合、はんだ付け直後は不具合として検査で発見することはできず、経時変化によって徐々に劣化しますのでやっかいです。

一方、本件のように初期はんだ付け不良を起こした場合は実装ラインで確認できます。確実に修正しておかないと(修正で外観上フィレットが形成されたように見えても、はんだがかぶっている状態)

市場ではんだ割れ、はんだはがれの原因となります。

3.対策

部品の受入れの徹底と保管管理の徹底になります。はんだ付け性が劣ると確実にはんだ付けを行いたいために、活性力の強いフラックスを使用したくなりますが、これは誤った手段になります。

錫の酸化物であっても、有機酸は錫と反応して水を生成し、灰色の物質となります。これをホワイトヘイズと言います。ホワイトヘイズによる絶縁不良の事例は著者は経験していませんが、超微細部のパターン間げきでは事故も予想されます。

将来の技術を確保する上でも部品のはんだ付け部の清浄性は解決しておかなければなりません。

 

Posted in リフローはんだ付け編Q6-10 | コメントは受け付けていません。

Q5 TSOPのはんだ付け部で割れが発生しました。調査の仕方を教えて下さい。

1.観察のポイント

調査アッセンブリの外観を写真aに示します。基板の反りは写真bに示したようにありません。搭載されているQFPのはんだ付けは写真c、dに示したように、バックフィレットも良好に形成されています。その他の部品も同様に初期はんだ付け不良はありませんでした。

以上のことから、使用した基板は良好で、部品についてはリード先端のはんだ上がりが多少気になる程度で、全体的にはんだ付けにかかわる欠陥はありません。また、使用したクリームはんだも良好で、リフロー炉温度条件も適切と判断できます。

写真eは調査はんだ付け部周辺の状態です。写真fは割れを起こしているリフローソルダリング部ですが、割れに結びつくはんだ付け欠陥はありません。両端のパッド面積を広く取り、TSOPのはんだ割れに対するパッド設計の配慮もされています。

写真gは、はんだ割れを起こしたりード全体の外観を示します。全リードで割れを起こしているのが特徴です。写真hは当該TSOPを側面から観察した写真で、パッケージの膨らみはなく、はんだ割れ側か浮いている状態も確認できません。

割れを起こした箇所を拡大して観察すると、チェッカーピンがリードを2度直接刺し、その圧痕も深く、フラックス残渣の破損も著しいのが特徴です。正常品はフラックス残渣に亀裂がなく力が作用した跡は確認できません。写真iに示したようにはんだ割れ部の残渣の亀裂は著しい。

2.原因と発生のメカニズム

回路設計、部品、基板、はんだ付け条件など適切で、アッセンブリ上にはゴミなどの異物はほとんど確認できず、実装ラインの技術は高いレベルにあります。今回のはんだ割れについては、チェッカーピンを直接リードに刺したのが原因になります。これだけの実装技術のあるリフローソルダリングなので、目的があって2度チェッカーピンを立てたものと推察します。

傷跡が深く鋭い状態からしますと、この条件でピンを立てれば、当該はんだ付け部に限らず、ほとんどのはんだ付け部で割れが発生することでしょう。仮にラインで割れが発生しなくても、市場ではんだ割れに至ることは予想できます。

無洗浄の場合、フィレットにチェッカーピンを立てると、フラックス残渣で誤判定を起こすことがあります。しかし、それが原因のはんだ割れは市場では起きないので、ピンを刺す位置には念のため慎重に検討されることを希望します。

 

Posted in リフローはんだ付け編Q1-5 | コメントは受け付けていません。

Q4 リフロー後チップコンデンサが割れましたはんだ付け技術に問題があるのでしょうか?

1.観察のポイント

写真のようなチップ割れははんだ付けとは関係なく、部品そのものに起因しています。チップを構成する材料の欠陥が主因になっています(写真a、b)。

この場合もアッセンブリ全体のはんだ付け性は良好で、他の部品にはんだ付け不良は発生していません。本はんだ付け部でもパッドの濡れ性は良好で、使用されたクリームはんだのはんだ付け性は良好でした。フィレットの肌も光沢があり、表面に残留しているフラックスの状態も透明で、オーバー加熱の様相はありません。はんだボールはありますがチップ割れとは関係はありません。

左右両パッドの位置のずれもなく、リフローの温度プロファイルもこのチップに関してはミスはありません。

チップ電極は酸化されていますが、チップコンデンサの酸化としては一般的なレベルと言えます。

しかし、電極表面には半球の突起が多数確認できます。これはチップのはんだめっき前の状態に欠陥があったことが想定できます。ただし、これが直接チップ割れには関係ありません。

割れを起こした箇所を観察すると、破面のはんだは鋭いエッジになっているので、凝固した後で割れが発生したことになります(チップ内部の水分による蒸気爆発で、しかもフィレットのはんだが溶融状態で発生すれば、はんだ付け部周辺に微小はんだボールが多数確認されるはずです)。

割れた箇所の樹脂がめくれるような形態(樹脂が膨張したからめくれるようになっている)をしているのは樹脂そのものの変形であって、単に水蒸気爆発を起こしただけではこのような変形はありません。樹脂の変形は樹脂そのものの組成に関係すると判断します。

部品の樹脂が原因の不具合は、樹脂に侵入した水分が原因の場合、樹脂を構成する成分の偏析が原因の場合、気泡(空洞)の介在が原因の場合、樹脂の内部応力が原因の場合、あるいは写真c、dに示したように製造工程で付加された外力が原因の場合があります。

〈参考〉マナー

母親の胎内から赤ちゃんはこの世に生命が授けられます。同じようにリフロー炉からフロー槽からあるいは電気コテからアッセンブリは生命を授けられます。チップ部品と言えども血の通った生き物です。私達は血の通った生き物を世の中に送り出しているのです。そして、私達の生活はその上で成り立っています。

 

Posted in リフローはんだ付け編Q1-5 | コメントは受け付けていません。

Q3 セラミック基板ではんだ割れが発生しました。どのような因子が作用したのでしよう か?

1.観察のポイント

①写真aに示したように部品の傾きは大きい。

②写真aに示したように、基板の隅に部品が配置されている。

③写真bに示したように、フィレット側のはんだ破断面が鋭い。

④写真bではリードの厚みの約1/2ははんだが濡れていない。

⑤写真bに示したようにリードの上にもはんだは上がっている。

⑥写真bに示したように、フィレットのかかとの部分の肌が粗れている。

⑦写真cではフィレットとリードの相対的位置関係からすると、リードは右にずれている。

2.原因と発生のメカニズム

セラミックは熱容量が大きいために温度が上がりにくく、温度が上がるとさめるのに時間がかかります。本はんだ付け部は基板の外側に位置しており、温度上昇は写真aに示したように右側のリードが早く、不具合を起こした側は遅れています。

写真bから分かることは、割れが発生する直前にはリードはすでに浮いている状態になっていたということです。

ここでセラミック基板の性質から、写真aの右側のリード側は先にはんだが溶けますが、普通のガラエポ基板のようにピーク温度領域に入って基板が急に温度が上がるのではなく、徐々に上がります。

そして、炉がピーク温度から冷却が開始されても、急激に温度が下がるのではなく徐々に下がるので、冷却過程に入ってもはんだの濡れは持続しています。そしてクリームの量は多く、当然フラックスの量も多かったので、はんだの濡れは持続することになります。

一方、写真aの左のリード側は温度上昇が遅れて到達温度も低くなるので、ピーク温度が過ぎると凝固の体勢に入ります。その時点では右側のリードはまだ濡れを続行しています。ここではピークゾーンを過ぎても、溶融はんだはリードの上部にさらに這い上がりながら、リードをパッド側に引きつけるので、部品は徐々に傾くようになります。反対側は凝固直後ですが、ほとんど強度はありません。

そして割れが発生したことになります。

この過程が分かったのは写真bのフィレットのかかとの部分が粗れていること、そして左側がこれほど派手に割れたにもかかわらず、右側のフィレットが何もない綺麗な肌をしていたことに気付いたからです。

左側のフィレット全体はリードの先端の温度が低く、かかとの部分が最後に固まっています。本来かかとの部分はフィレットの強度を確保すべき所でもあるのですが、凝固直後であったために強度がないことを証明しています。

最終的に右側のリードは凝固しますが、フィレットのはんだ量が多いことから、凝固時の体積変化で(収縮力で)、割れてからもさらに左側を持ち上げていることが想定できます。

3.対策

セラミック基板は熱容量が大きいために、温度上昇は遅れ、加熱時の温度差はガラエポ基板より顕著に出ます。それだけに均一加熱と均一冷却がより求められるから温度プロファイルを再検討しなければなりません。さらに治具を作って基板の外側の温度上昇を押さえます。例えば金属ブロックを配置することによって内側と同じ温度上昇にになるよう検討する、などです。

同時に、リードの酸化対策、クリームはんだの合金成分の見直しなど、1つひとつの因子を潰すことを実施しなければなりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

Posted in リフローはんだ付け編Q1-5 | コメントは受け付けていません。

Q2 はんだ付け後の外観で温度を知ることはできるのでしょうか?

写真aは、携帯電話に搭載されていたQFPのリード表面です。本リードには90Sn-10Pbが表面にめっきされています。この組成のはんだの凝固混度は183℃になります。写真bの矢印1で示した箇所は綺麗な肌をしています。これはフラックス作用を受けた時のはんだの溶融状態になります。したがって、ここは183℃よりは高い湿度です。

これに対して、矢印2で示した箇所は酸化物の下であっても、溶融した跡が確認できます。合金組成からここが183℃になります。

 

同様に写真cはチップ部品の電極部の状態です。これもはっきりと温度を見ることができます。このような現象はSn-Pb合金にのみに限定されます。微小部分の温度測定は、熱電対の線をセットしただけで、加熱時には熱が奪われ犬変難しいと言えます。

願わくば、表面実装部品のはんだ付け部はすべてSn-Pb系の表面にしてほしいものです。

(※1998年初版発行の文章をそのまま掲載しております)

 

Posted in リフローはんだ付け編Q1-5 | コメントは受け付けていません。

Q1 はんだ付け後の外観ではんだ割れの危険性のある個所を予測できないでしょうか?

 

1.観察のポイント

フラックス残渣は力に対してはんだより敏感に反応します。フィレットのはんだは金属ですが、粘土のような性質があるので、力が作用して少々伸びても変形は観察できません。ところがこれに密着したフラックス残渣は軟化温度より低温ではほとんど伸びません。

したがって、はんだのわずかな伸びに対して追従することができず、簡単にクラックの発生につながります。

写真aはQFPのはんだ付け部で発生したフラックス残渣のクラックで、右から2番目のリードに顕著に出ています。この箇所を側面から観察したのが写真bになりますが、リードが浮いた状態が確認できます。

写真cはQFPのリードの端の近辺です。この写真の右端と4番目とを比較すると、右端ほどフラックス残渣のクラックの程度はきつくなっています。フラックス残渣のクラックの発生の位置は3番目と4番目に興味ある現象が顕著に出ています。それはリードのかかと部のクラックが著しいという点です。これはリードのはんだ付け部ではフィレットのかかとから力が作用し、この部分で変形を来しているという事実です。

 

 

 

2.原因と発生

では、なぜここでこのような力が作用するかになります。 QFPの樹脂に内在した力がリフロー炉の中で開放し、それが市場でさらに長い期間を経て開放したことによります。

これを解析するには中性子ラジオグラフィーの手法で、QFPの製造時の金型に侵入して行く樹脂の挙動を解析しなければ分かりません。 TSOPのリードのはんだ割れが多いのは、金型の薄い空間を樹脂が圧入される時の挙動(金型と樹脂の界面で発生する摩擦)がQFPより一層不確定なためと考えます。

参考までに写真dはポリエステル樹脂の内部空洞で、この組織からしても空洞部周辺の樹脂が収縮した状態を示しています。したがって、圧力で成形された樹脂及びその中の密閉空間は、膨張しようとする力をもっていることが容易に分かります。圧力の高い樹脂の一部或いは空間がリフロー炉で膨張してもおかしくありません。薄い空間に粘性の高い樹脂をきちんと入れる場合、他のどこよりも角の部分は強い力が必要となります。このような理由でパッケージの角は暴れやすく動きやすい状態にあるので、この箇所がはんだ割れに敏感になります。

写真eはパッケージ内部の空洞です。

写真fもパッケージ内部で発生したクラックです。

写真9は電解コンデンサの底部の樹脂のクラック群です。

写真hは微小ですが、矢印に示した箇所で気泡跡が確認できます。

このように、パッケージ樹脂の内部に欠陥があると、はんだ付け部に作用してはんだ割れの原因となります。写真i、jはパッケージ樹脂が原因で発生した割れです。

3.対策

はんだ量が少ないのもはんだ割れを加速したことになります。リフローソルダリング後は写真i、jで示した箇所のはんだ付け部は、これらの箇所を重点的に検査しはんだ量が少ない場合は追いはんだをして補強します。また、設計に際してはパッドの面積を大きく取ってはんだ量を増し、強度を確保しなければなりません。

Posted in リフローはんだ付け編Q1-5 | コメントは受け付けていません。

Q3 基板の機械加工に欠陥があった場合、どのような不具合の原因になるのでしょうか?

1.観察のポイント

基板の機械加工で不具合として問題になるのが、ドリルによる穴あけ加工と金型プレスによる打ち抜き加工の精度です。いずれの場合も実体顕微鏡などによる穴の内壁の観察で、基板の良否の状態を把握することができます。

2.発生と原因

2.1  ドリルによる穴あけ加工

穴あけ後、両面スルーホール基板では無電解の銅めっきがかかります。写真aに示したようにドリルの刃が摩耗していると切れ味が劣り、めっき後は穴の内壁が凹凸になってガラス繊維がばらけます。

このような中にめっき液が浸透しますと、はんだ付け後浸透しためっき液で写真bに示したような腐食が発生します。

拡大した写真cではめっき夜の残留による腐食の激しさが分かります。 この断面の状態を写真dに示しますが、ばらけたガラス繊維の中に浸透しためっき液で、1本のガラス繊維の表面に銅がめっきされているのが分かります。

写真dの無電解銅めっきの厚さと写真bを比較すると分かりますが、写真dのスルーホール内はめっき厚が均一になっているので不具合にはならないでしょう。

2.2 金型プレス加工

せん断加工による破断切り口を図aに示します。

基板も同様の形態をとります。金型プレスで打ち抜いた場合、一見切断面は綺麗な状態と思いがちですが、実際には写真e、fのように切断面付近は著しい破壊跡が観察できます。

 

 

一般に間隙部は吸湿しやすく、乾燥しにくい箇所でもあるのて、吸湿により絶縁不良の原因にもなります。それだけに基板の良否は穴の観察が最優先になります。

写真gは、実体顕微鏡で普通に撮影したものです。なんの変哲もない穴ですが、光源を基板の下にして観察すると、写真hに示したクラックが観察できます。 このクラックは、レジストで発生しています。

穴あけによって発生したクラックが、仮に別々の導体に達していれば、穴を介して2つの導体間でリーク現象が起きることが考えられます。過去に恐らく、このようなクラックが原因の絶縁不良の事故は、あったものと推定します。このような現象を認識していませんと、原因不明で片づけられてしまいます。

Posted in 基板編Q1-3 | コメントは受け付けていません。

Q2 基板の表面処理に欠陥があった場合、どのような不具合の原因になるのでしょう?

A 1.観察のポイント

基板の信頼性は機械加工の精度とイオン物質の残留が重要な因子になっています。イオン物質はエッチング後の洗浄不足及びめっき処理後の洗浄不足にり、基板のパッド面、レジストの下の素材面、スルーホール或いはバイアホールの中に存在します。金めっきの場合、イオン物質は下地のニッケルめっきの界面にも残留します。

基板の製造では洗浄作業が重要な工程になります.スルーホール或いはバイアホールのような箇所は特に洗浄性が悪い箇所になります。これらの穴の内部は新鮮な水が通過して初めて洗浄ができます。

確実に洗浄水を通過させることはかなりの技術が要求されます。

2.発生と原因

2.1.エッチング液の残留

写真aの左側はエッチンダ後の洗浄不足で銅の変色した基板を示します。これを5%の硝酸溶液で超音波洗浄を行ったものが右側の基板になります。エッチング~洗浄~乾燥の工程後、そのまま10日位放置すると変色として目に付くようになります。ところが、乾使後はプリフラックスがコートされ、防湿効果でイオン物質が残留していても変色として確認できなくなります。これが実装ラインでリフローした場合、1回目の加熱で頑固な化合物となって、2回目のリフローで不濡江の主な原因になります。エッチンダ液として塩化第二鉄を使用した場合、残留した塩化第二鉄は酸化して酸化鉄となり、これがはんだ付け不良の原因とされています。

エッチング液として塩化第二銅を使用した場合は、残留してもはんだ付け不良にはなりません。それはステンレスのはんだ付け用フラックスの原料として塩化第二銅が使用されているからです。はんだ付け性は問題ありませんが、絶縁不良の事故は多々あります。

2.2 めっき液の残留

めっきとはめっき液の中で金属が析出する現象です。したがって、微視的にはめっき金属が析出する過程でめっき液を取り込むことはさけられません。写真Cはゴミの上にめっきされたものです。不具合として持ち込まれた中でめっきのトラブルで特に多いのは金めっきです。金属の中でもとりわけ金は抜群の耐食性があるので、少々めっき液が残留しても腐食としてめっき表面に現われません。それだけに洗浄がおろそかになるようです。金めっきの洗浄不足を起こす工場は、洗浄に対する認識に欠けているためか、前工程のニッケルめっきでも同じように洗浄不足を起こしている場合があります。

それがはんだ付け時の剥がれとして事故に発展します。

金めっきのパッドにはんだ付けした時に、簡単に剥がれることがある場合は、洗浄不足か密着不良のいずれかです。剥離面は麦藁色、褐色、紫などさ様々な色をしています。写真d、eは剥離の状態を示したものですが、ニッケル面の変色が著しいことが分かります。 これを約1000倍に拡大したのが、写真fになります。化学的に腐食していることが分がります。EPMAで元素分析をすると、図a、bで示したようにP(リン)とCo(コバルト)が検出されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金めっき基板では基板の銅箔の上に無電解銅めっき、ニッケルめっき、金めっきの順に3回めっきされます。過去に銅箔と無電解銅めっき、銅めっきとニッケルめっき、ニッケルめっきと金めっきのそれぞれの界面で剥離する不具合を経験しています。

これらのめっき液がスルーホール或いはバイアホール内に残留したのが原因で腐食を起こした事例もあります。

事故が発生した場合、クリームはんだ或いはやに入りはんだのフラックスのバラツキと誤解されることも珍しくありません。

今後、高密度でさらに穴の距離が狭くなります。写真g、hに示したように穴が近接していると、

基板内に浸透したエッチング液或いはめっき液などが使用環境の温度変化で膨張収縮し、亀裂が2つのスルーホール間で発生し、やがて貫通して絶縁不良の事故に発展することもあります。

不具合の事例で最も多いのは基板の穴あけ加工が悪く、洗浄不足が重なった場合です。はんだ付け技術の重要性を認識していないメーカーの基板に多いのが特徴です。大手のメーカーであっても油断して事故を出すことはけして珍しくありません。それだけ基板の製造は大変難しいと言っても過言ではないのです。

こうことは実装現場においても、基板メーカー同様その重要性を認識しておかなければならないことになります。


Posted in 基板編Q1-3 | コメントは受け付けていません。

Q1 基板樹脂の成分のバラツキがあった場合、どのような不具合になるのでしょうか?

ANSWER

1.観察のポイント

実装現場の立場から基板が原因の不具合を大別すると次の3項目に分類できます。

①樹脂の組成のバラツキ

②基板の機械加工(ドリル加工、金型プレスによる打ち抜き加工)

③表面処理後の洗浄不足(エッチング、めっき)

実装現場では、プリント回路基板の樹脂分の組成が原因の不具合を事前に感知することはほとんど不可能な状態です。一般的な銅積層基板の欠陥には、基板の樹脂内部の組成のバラツキ、脱泡不備による気泡の残留、銅箔を素材樹脂板に張り合わせる時のエアーの巻き込み、異物の巻き込みなどがあります。

 

2.発生と原因

写真aは、パターン間隙が0.2mmのガラスエポキシくし形基板を電圧印加耐湿性試験を実施した時のマイグレーションです(条件は60℃、95%RH、DC50V、1000Hr)。

拡大写真を写真bに示します。また、CuKα像(銅の面分析)を写真cに示します。写真dはマイグレーションの断面を撮影したものです。この箇所の銅の面分析の結果を写真eに示します。くし形基板のパターン間隙で成長したマイグレーションの銅が明瞭に確認できます。

写真fはBr(臭素)の分布を観察したものですが、高濃度のBrがマイグレーションの下で確認できます。マイグレーションの発生がなかった筒所の断面のCuKα像を写真gに示しますが、銅箔の断面がよく分かります。

これに対して同じ箇所の臭素の面分析を写真hに示しましたが、高濃度のBrが基板内部に存在していることが分かります。この臭素の化合物が難燃材として基板のエポキシ樹脂に添加されたものです。均一にミキシングされなかったためにマイグレーションの発生の原因になりました。

 

Posted in 基板編Q1-3 | コメントは受け付けていません。

Q21 ジャックのはんだ付け部で割れが発生しました。どのような点に注意してはんだ付けしたらよいでしょうか?

ANSWER

1.観察のポイント

ジャックのように使用者が頻繁に力を加えるような箇所は、構造的に力がはんだ付け部にかからない設計にしなければ、どのような方法ではんだ付けをしても保証できません。写真aは外観を示し、写真bはそのはんだ付け部の割れの状態で、フィレットに縞組織が確認できます。

噴流はんだ付けではアッセンブリ全体が加熱されるので、やに入りはんだの場合と異なり、冷却に時間がかかってフィレットの組織は、写真cに示したように魚のうろこのように大きくなります。この状態のフィレットに力が作用すると、写真dに示したように魚のうろこが剥がれるような状態から割れが発生します。写真dは繰返し荷重はかからず、じっくり割れたものです。cの状態のフィレットに繰返し荷重がかかるとうろこ状の組織が潰されbの写真に示した縞組織になります。

参考までにコネクタで発生したはんだ割れを写真e、fに示します。フィレットのはんだ量は少なく、はんだ割れに敏感になっているのが分かります。使用中に繰り返し荷重がかかった縞組織が確認できます。

2.対 策

コネクタのように人間の力が頻繁に作用する箇所は、はんだ付け部に繰り返し荷重が作用することは避けられません。したがって、はんだ付け作業は手抜きが許されない箇所になります。

(1)はんだ付け部の表面の清浄性の確保。

(2)温度管理の徹底。

(3)フラックス及びはんだバスの管理の徹底。

(4)リードの高さの確保。

(5)長いリードをカットした場合は、必ず再はんだ付けを行う。

(6)再はんだ付けの時のコテの形状、温度、はんだ付け時間などの適正作業の遂行、特にはんだが十分凝固するまでははんだ付け部は動かさない。

(7)はんだ付け後のフィレットの良否をチェック。

なお、このような箇所のはんだ付けは、アッセンブリの中でも強度的にはんだ割れの多発する箇所でもあるので、設計者は自ら現場に足を運んで実務者の意見に耳を傾け、自らコテを持ってはんだ付けしてみることは大切です。

 

 

Posted in ディップはんだ付け編Q21-25 | コメントは受け付けていません。