Q14 QFPのリードでブリッジはどのようなメカニズムで起こるのでしょうか。

1.1 オーバー加熱が原因の場合

マウント後アッセンブリがリフロー炉に入ると、QFPのはんだ付け箇所では図aに示したように、リードでは先端から温度が上昇します。はんだはリードの先端から順次パッケージ側に向かって溶融が進行し、ここにはんだに流れが生じます。

この流れの中でフィレットが正常に形成される時があります。この時、加熱が終了すればブリッジの発生は起きません。正常にフィレットが形成された後も、加熱を続行すると溶融はんだの流れは止まりません。金めっきリードあるいははんだめっきリードのように、はんだの濡れの良い金属に起こる現象ですが、この流れはあたかも木が根から水分を吸い上げるように、一度形成されたフィレット部に存在する溶融はんだを吸い上げます。この結果、溶融はんだ部は体積を増して膨れ、やがて隣のリードの膨れた溶融はんだと接触してブリッジとなります。

これがオーバー加熱によるブリッジ発生のメカニズムになります。観察のポイントはリフローソルダリング後フィレットを観察した時に、ブリッジしていないリードの先端と比較して、フィレットのはんだ量が少ないのが特徴になります。酸化物の除去性に優れ、濡れ性の良いフラックスに起きやすくなります。

 

1.2 印刷ミス、マウントミス、予熱のダレが原因のブリッジ

クリームはんだが溶融する前の固体の状態でリード間でショートすれば温度プロファイルが適正であってもブリッジします。予熱のダレはクリーム自体の性質と印刷時の吸湿などが原因となります。

フラックス含有量が少なくなると、比重差(フラックス:はんだ=1:8.4)ではんだの絶対量が増え、ブリッジしやすくなります。

(完)

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Q13 チップ立ちはどのようにして起こるのでしょうか?

1.観察のポイント

チップ立ちはマンハッタンあるいはツームストンと呼ばれるはんだ付け不良です。寝ている物が立つのですから、当然そこには力が作用します。部品浮きの延長線上にあるはんだ付け不良です。

1.1 作用する力

①チップの自重。

②印刷したクリームはんだが溶融すると1/2の高さになる時の落差。

③電極とパッド間で濡れる力。

④フラックスから発生するガスによる浮力。

⑤フラックスの浮力。

1.2 加速する因子

①パッドの温度上昇による時間差。(回路設計に起因)

②チップ部品の形状。

③アッセンブリ搬送コンペアの振動。

①リフロー炉内の気流の上昇。

⑤温度プロファィル。

⑦チップ部品の下の基板面の凸部。

②チップ部品の下の基板の穴。

⑤合金成分

 

2.原因と発生のメカニズム

図aの状態にチップがマウントされてリフロー炉に入ります。リフロー炉の熱源から均一な熱がアッセンブリに与えられますが、回路設計でAのパッドがBのパッドより先に温度上昇したものとします。

アッセンブリでは、基板より部品が先に温度が上がります。小さい部品ほど温度が早く上がります。チップ部品では上部がチップの下側より先に温度が上がります。

チップ部品の電極部では温度が高くなると、そこに接しているクリームはんだ中のフラックスが温度上昇し、その部分のフラックスの粘性は小さくなって流れやすくなります。液体は粘性の大きい方から小さい方に流れる性質があるので、温度の高い側である電極の上部に向かってフラックスは上がって行きます。

さらに、高温側にアッセンブリが移動すると、はんだはパッドに印刷された外側から溶融を開始します。溶融が始まると、印刷したクリームはんだの高さは1/2になり、ここでチップは、1/2の落差が生じ傾きます。同時に電極で濡れが開始されるので、パッド側は溶融はんだを引きつける作用が包ります。

このようにしてチップはAのパッドにずれ込みます。この時パッドBのクリームはんだ溶け出しますが、チップAのパッドにずれこんだために、Bのパッド側の電極は浮いた状態になっているので、溶融はんだは電極に接しません。

しかし、AB両パッド部のクリームはんだから流れ出たフラックスは2倍の量となって、チップの底面から浮きがらせる力として作用します。すなわち、傾きながらずれ込んだ時に、2倍の量のフラックスが下から突き上げてチップは立つ訳です。

以上の過程は時間を広げて説明しましたが、実際は短時間で完了します。実装ラインではいろいろな力が作用します。

わずかな力であっても、チップが小さくなるほど自重は軽くなるので、相対的に大きな力が作用したことになります。

 

3.対策

ガスが発生すればチップ立ちを加速します。温度プロファイルで急激な立ち上げをすると、クリームはんだが溶けるスピードが早くなります。早くなるほど力は速度に比例して大きくなるので、チップ立ちを加速することになります。

したがって、ピーク温度に突入する時に急激に加熱するのは禁物です。ゆっくりだらだら加熱する方がチップ立ちを防止します。このだらだら加熱する現象をはんだ側に機能させたのがBi入りのはんだです。これは凝固溶融範囲があるのでだらだら溶けることにより、完全溶融まではむしろ半溶融の状態になり、パッドに電板蔀を引きつける力が弱まります。それによりチップ立ちを押さえることになります。

要するに、A、Bいずれのパッドも同時に濡れて、同時にはんだが溶け終わればチップ立ちは起きません。

逆に図中B側の濡れ性を改善させれば効果的で、それには合金として喰い付きの良い銀入りはんだはチップ立ちに効果があります。

チップ立ちを防止する上で1つひとつの加速因子の作用を認識しなければなりませんが、これらの加速因子はA、Bいずれかのパッドのクリームはんだの溶融開始と溶融終了(あるいは濡れ開始と濡れ終了)のわずかな時間に攻めてくることは事実です。

多くの実装ラインでは使用しているマシンの癖は知っていないようです。マウンターの振動は結構強く、その振動を拾ってリフロー炉が振動していることもあります。リフロー炉が振動していると、部品のズレは顕著に出ることがあります。

コンベアを駆動するモータのベアリングの摩耗が原因で振動し、それが部品ズレのはんだ付け不良に至った事例があります。

コンペアが振動してアッセンブリがずれるか否かを調べるには、金属製の板に基板を起き、基板の四隅に印しを付けてリフロー炉に流します。基板がずれていればコンペアが振動していることになります。

次にティッシュペーパーを細く切ったものを基板に貼り、リフロー炉に流します。リフロー炉の出口から観察すると、ティッシュペーパーが激しく舞い上がる箇所があります。その位置が温度プロファイルのピーク温度領域ですと、クリームはんだが溶融しているゾーンになっているので、チップ立ちの危険性があります。

このようにしてチップ立ちにかかわる力の原因を解決しておくようにします。

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Q12 QFPの2箇所のリードが浮いてしまいます。もう一度リフロー炉を通すとなぜ直るのでしょうか?

QFPのリードとチップの両電極が図aに示したように配線されています。リフロー炉に入ると、チップはQFPより先に温度が上がります。したがって、この熱は導体を通ってQFPのリードのパッド部に供給する形を取るので、他のどのリードより先にクリームはんだは溶けます。そして、他のリードが溶ける時は、溶融はんだはパツドを広がるので、溶融はんだの高さは低くなります。

一方、他のリードはクリームはんだが溶融すると、広がるゆとりもなく凝固の体勢に入ります。この場合は溶融はんだの高さは、チップから熱供給を受けたパッドよりは当然高くなります。

では、なぜ2つのリードだけ浮くことになるのでしょうか。

それは表面実装のはんだ付け部では、パッドの上に溶融はんだがあって、凝固するまでの間は例えQFPであっても、舟のように実は浮かんでいるのです。浮かんでいる波の高さが違うのです。

ところが、凝固後再加熱をすると、その他大勢のはんだ付け部では、パッドを溶融はんだが広がることにより、その分フィレットの高さが低くなり、その上に浮いていたQFPは下がります。よって最初の加熱でリードが浮いていた所でも、QFPの高さが下がったことにより接触して濡れ、正常にフィレットが形成されます。

〈参考〉セルフアライメント効果

この効果は溶融はんだがパッドの上面で表面積を最小にしようとする力が働き、溶融はんだ自体移動するのです。

その上を部品が浮かんで波まかせということでしょうか、引きずられるのです。部品があっち向いたり、こっち向いたりするのは、先に濡れた所が舵取りをしているからです

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Q11 不具合ではありませんが、チップ部品が浮いたのはなぜでしょうか?

1.観察のポイント

①写真aで示したようにチップは右側にずれている。

②チップの下の基板面にはシルク印刷がされている。

③全体的にフィレットのはんだ量は少ない。

④電極の表面は酸化されている。

⑤写真bに示したように右側のパッドにつながる回路には、チップコンデンサとチップ抵抗が近距離で接続されている。

⑥反対のパッドでは、少し離れてチップコンデンサが接続され、さらに導体は伸びている。

⑦同パッド部の導体はさらに下に回路が走っている。

2.原因と発生のメカニズム

チップ部品が右側にずれていることは、この場合、右側のパッドが先に温度が上昇し、先にクリームはんだが溶融したことになります。リフロー炉に入ると基板より先にチップ部品が温度が上がります。したがって、右側のパッドはチップコンデンサと抵抗から導体を通じて熱の供給を受けるようになります。これに対し、左側のパッドでは導体の長さが右のパッドより長く、しかも、さらにその下を導体が走っている関係で、むしろパッドの熱は奪われる状態にあります。この関係から右側のパッドのクリームはんだが先に溶融するようになりました。

ここで気になるのがチップの下のシルク印刷です。基板のパッド面を基準にとると、レジスト面はパッド表面より高く、その高いレジストに印刷されているので、引き寄せられると反対側は浮きやすくなります。当該チップが多少浮いているのはシルク印刷の影響はあります。

次にチップかすれている現象については、溶けている箇所に引き寄せられる点を考慮すると、チップ全体では右側にずれ、右側のパッドでは本写真では下側、すなわち手前が最も早く溶けた位置と解釈できます。

フィレットのはんだ量が少ないことは、印刷量が少ないことになります。少ないほど周辺の熱形響か出やすくなるので、回路的に温度上昇に差が生じる場合は、セルフアライメントの効果が出やすくなるはずです。

3.対策

①チップを取り外して、フラックス及びはんだを取り除き、新しいチップをはんだ付けします。

②コンベアスピードを遅くして条件出しをします。

③クリームはんだの量を増やすことで条件出しをします。

④パッド間距離が広すぎます。セルフアライメントで最大ずれても、電極部がパッドに充分載っ

ているようにします。

〈参考〉小さな穴が部品を浮かす

部品の浮きは第一に力が関与しています。その力は些細なものでも、タイミングが合うとまるで倍の効果を出すことがあります。今回の解析内容もこんなに小さな箇所で温度差が生じることは信じられないかもしれません。しかし、チップ部品が小さくなれば、さらに些細な現象が不具合の全体を支配することになります。

写真cはパッド間に小さな穴があいています。この穴は裏面でレジストでクローズになっています。

リフロー炉の中でここに吸湿していた水分が蒸発して、チップ浮きの原因になったものです。吸湿で

あっても汚れがあれば、蒸発は高温側にずれ込みます。水は100℃で蒸発します。だから100℃を通過すれば存在しないと思いがちですが、汚れは蒸発温度を高くする点を認識すれば、例え微小な穴であってもあなどれません。

 

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Q10 リードの濡れ不良がなぜ発生したのでしょうか。

1.観察のポイント

①写真aに示しかように、はんだ量が少なくフラックス残渣がない。

②写真aのリードの表面が酸化し、はんだが濡れた形跡がない。

③写真aでフィレットの肌がブツブツになっていて、はんだボールが3個確認できる。

④写真aでははんだ不濡れのままフィレットにリードが載っている。

⑤平行部がないリードの形状している。

⑥写真bは別の不濡れであるが、同じ基板の同じメーカの部品で、フィレットに過剰

と言うくらいはんだが付いている。

⑦写真bの表面はリードの酸化物が転着している。

⑧写真cのリードとフィレットの境に少し隙間がある。

 

 

 

 

 

 

2.原因と発生のメカニズム

フラックス残渣が洗浄されて存在しないために、はんだ付け時のフラックス挙動が読めない状況にあります。はんだ量を比較するとリード浮きをしている箇所のフィレットでは明らかに少ないことが分かります。

少なくなったのは印刷のミスとはんだボールで消失した場合が考えられます。

③で記したようにフィレットの手前壁面にはんだボールが確認できることから、当該リード浮きのはんだ量の減少ははんだボールとなってフィレットから逃げたことが想定できます。

しかも、フィレットの表面はブッブツした肌を見せており、正常なフィレットではこのような状態が確認できないことから、はんだが逃げた原因はアッセンブリの搬送コンベアの振動ではなく、クリームはんだの溶融時に要因があったことになります。

次にリードがフィレットの上に載っていることは、リードが浮いていることになります。浮いてはいても正常なはんだ量のフィレットをもとに検討すると、仮に浮いたとしてもこの程度の浮きであれば、多少なりともリードはフィレットの中に入り込んでいなければなりません。しかし、現実にはそのはんだがないのです。リード先端の形状と正常なはんだ量をもとに考察すると、クリームはんだの印刷後マウント状態では、全リードは図aに示したように、印刷したクリームはんだの中に突き刺さっていたことが想定できます。

それではリフロー炉に入って、ここで一体何か起きたかということです。

 

 

 

それを解く鍵は熱の伝達にあります。リフロー炉に入ると、図aのリードの先端は最も早く温度が上がり、クリームはんだはこの箇所から溶け始めます。他のリードが先に濡れると、溶融はんだはリードに這い上がりながらリードをパッドに引きつけます。この時、当該リードは反動で上にはねるようになり、この動きが、リード先端部のはんだを外にはじき出してしまい、多量のはんだがフィレットから失われた訳です。この段階ではフィレットの上部とリードの低面とは接触していますが、フィレットが凝固したことで収縮しわずかながら隙間ができたことになります。

以上の現象は不具合リードでは丁度はんだが溶け始めた時点で起きているから、リードにはんだが濡れる時間のゆとりもありませんでした。それでリードは全くはんだが濡れていないのです。また、はんだは溶け終わった時に凝固を開始しているから、表面がブツブツになっているわけです。

3.対策

部品の受け入れに注意を払うとともに保管管理の徹底を図ります。

 

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Q9 部品のズレがどうして起きたのでしょうか?

 

 

 

 

 

1.観察のポイント

①4本のリードの表面はいずれも酸化が著しい。

②フラックス残渣のドームは左上が最も大きく、右のリード間に存在しているフラック

ス残渣のドームも大きい。

③フラックス残渣のドームはリードの先端には存在せず、必ずパッケージに接している。

④フラックス残渣のドームの状態からすると、左上のドームは大きくその残渣の皮膜は

薄い。これに対し、写真の矢印部では下のドームは小さくてその残渣の皮膜も厚い。

2.原因と発生のメカニズム

原因は明らかにリードの酸化とフラックスから出るガスであることが分かります。ここのリードの大きさとパッドの大きさを観察すると、左側のリード部はクリームはんだ量は最も多く、パッドの面積も最大です。したがって、この箇所は温度上昇はほかのどのリードより遅く、最後にクリームはんだは溶融しています。最初に溶けた右3本のリードがセルフアライメントの効果で、本部品の位置を決定し、ズレは生じないことになります。ところが、実際にはずれてしまっています。

では、なぜこのようにずれることになったのでしょうか。興味深いのは④で指摘したドームの形態です。ここのフラックス残渣の状態から言えることは、この部品では写真の上側は温度が高く、下側は低い点にあります。上が高くて、下が低くなったのか、結果として温度差が生じています。

部品を支える4本のリードでは、フラックスから発生したガスでドームができ、右3本のリード部は浮き加減となってはんだが溶けているにもかかわらず、フラックスが妨害してリードは濡れません。

部品は傾いてしまったため、確実にパッドにリードが接触していたのは、左側リードの先端の写真では下の部分となります。ここでリードは濡れを開始するようになりました。

この結果、浮き気味たった部品はこの箇所から急激に濡れたことにより、強い力で引き寄せられ、全体的に反時計回りに動いたことになります。

3.フラックス残渣で温度差を読む

本部品のズレのメカニズムはフラックス残渣のドームの大きさとドームの厚みの違いで、リフローソルダリング時に受けた熱が均一ではなかったことに気付いた点にポイントがありました。このことに気付きませんと、温度の低い箇所にリードが引き寄せられたという理由の説明ができないからです。

フラックス残渣の温度による状態の違いは、はんだ付け部のはんだ付け性及び不良の原因を解く上では有力な手掛かりとなります。

生産現場の担当者も、品質管理の担当者も実装にかかわる方は是非フラックス残渣の状態を把握して置いて欲しいものです。

4.対策

リフローはんだ付けではフラックスの作用には限界があります。本部品のリードの酸化状態であっても、これが噴流はんだ付けならば多少カスは付きますがフィレットは形成されます。今後、実装技術は一層高密度化に移行し、リフローソルダリングの精度の要求が高まりますが、部品の酸化の問題を曖昧にしておくと、思わぬ事故を背負い込まないとも限りません。特に鉛フリーはんだでは避けて通れない問題の1つになります。

実装ラインにおいては受入検査と保管管理の徹底が要求されます。

〈参考〉実装ライン

2年後突然ラインを尋ねたらやはり綺麗だった。

現場査察は数えきれないほどしましたが、今でも褒めることはまずない。それが実装現場と言うものとあきらめつつもある。

韓国のチューナーを作っている太峰電子で3年前にセミナーを実施したことがある。広い実装ラインを通って会議室に入り、課長クラスの実務者約20名を対象に講義をした。講義の冒頭、現場の整理整頓が悪く、不必要なものがたくさんあって汚いことを指摘した。少々間をおいて1人の若い課長が席を立って出て行った。

丁度大切な話しをしょうとした矢先だけに、内心ムッとなって後ろ姿を見る。彼は15分ほどで戻ってきて、また着席した。約2時間の講義を終え、再び実装ラインのドアを開けた。

瞬間、我が目を疑った。みんなもびっくりした。

「綺麗だ」

「一体、いつこんなに」

信じられないことは誰でもありますが、今でもあの時の感激が甦ります。

 

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Q8 はんだ付け部以外の所で大きなはんだボー ルが発生しています。どこのはんだ付け部 から出たのでしようか?

1.観察のポイント

①基板パッド`にはんだは良く濡れている。

②左上のチップの電極のはんだ濡れは良好で電極のフィレットの光沢もある。

③写真の上の部品のリードが酸化している。

④写真の上の左右のリードのパッドの面積は同じである。

⑤同、右端のリードのはんだ付け部はフィレットのはんだ量も多く光沢がある。

⑥同、左端のリードのはんだ量は極端に少ない。

⑦同、左端のリードの側面が下まで濡れていない。

⑧同、中央のリードは不濡れを起こし、はんだ量は右端のリードと比較すると少ない。

⓽写真の下の部品のリードのはんだ量は多い。

⑩大きなはんだボールの右に小さなはんだボールがある。

⑪各リードの脇にはフラックス残渣中に大きなドームがある。

2.原因と発生のメカニズム

前記①の状態から基板のパッド部は清浄にはんだが濡れているので、使用した基板は良好であったことが分かります。また、このように良くはんだが濡れていたことから、使用したクリームはんだのはんだ付け性は良好であったことが分かります。発生の過程は次の通りです。

クリームはんだは通常通り印刷され、部品マウント後リフロー炉に入りました。加熱が開始され、予熱ゾーンの通過の際も特にクリームはんだの予熱のダレはありません。本加熱に入ると急激に濡れを開始しました。特に、上の部品の右端のリードではフィレットの光沢も良いことから、溶融はんだは強い力でリードをパッドに引きつけています。この時、左端のリードはブクブク泡を出して、はんだが溶けかかりましたが、リードの表面酸化が著しいためはじいてしまいます。しかし、一部はんだは当該リードに濡れていますので、パッドに引きつけられています。リードが酸化していなければ、溶融はんだはリードの上まで這い上がって、フィレットを形成するところでしたが、リードの酸化物ではじかれパッドの外側に押し出されてしまいました。フラックス残渣は一部大きなドーム状になっていることから多量のガスが発生し、はんだボールの移動に追い打ちをかける結果となってしまいました。

大きなはんだボールの隣にあるはんだボールは、同様にして上の部品のリードから出てきたものと推定できます。それは下の部品の左右リードのフィレットのはんだ量が多い位の状態で形成されているから、ここからは発生しません。

原因の第1はリードの表面酸化によるはんだはじきであり、加速させたのがクリームはんだのフラックスから出たガスになります。フラックスもさらっとした液体ではなく、粘性の高い状態なので、ガスによって移動する場合は、動かすはんだの量も多くなります。

3.対策

①部品の酸化の原因調査。受入時はどうだったか。

②部品保管場所の環境のチェック。

③部品の先入れ、先出しの鉄則が守られているかどうか。

④限度見本の作成と、実作業者の教育。

⑤修正作業方法の現場での確認。

⑥検査の徹底。

これだけリードがはんだをはじいていると、修正作業は確実に行わなければ、やに入りはんだ付け編で紹介したトランジスタの事故を再発することになります。

 

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Q7 なぜチップの脇にボールが発生するのでしょうか。

1.観察のポイント

〈疑問-1〉

リフローはんだ付けは、クリームはんだを印刷した箇所ではんだが溶けて固まる接合方法です。その際、印刷したはんだの一部が別の場所に移動してしまうということは何が原因でしょうか。あるべき場所から離れて存在するということは、当然、力がはんだ粉に作用したことになります。

〈疑問-2〉

それでは、なぜ、チップの脇に存在しなければならないのか。単に、力だけならどこにでもはんだの粉は移動するはずです。力以外に何かはんだボールの発生の場所を指定するのでしょうか。

この2点を解き明かすことにより、チップ脇のはんだボールの撲滅が可能となります。

〈疑問-1について:関与した力とは〉

発生する力を列挙すると次の通りです。

①部品の自重。

②フラックスから発生するガス。

③クリームはんだから流れ出るフラックス。

④チップの電極を溶融はんだが上がっていく時の濡れの力

⑤溶融はんだがチップの電極に濡れることにより、チップがパッド側に引き寄せられる力。

⑥印刷したクリームはんだの高さが約1/2になる時に生ずる落差。

⑦はんだの粉が凝集する時の力

⑧マウントした時のクリームはんだに対するチップの圧力

⑨セルフアライメントの力

〈疑問-2について:チップ脇に限定した因子とは〉

①熱の伝達の順位。

②それにともなう時間差。

③方向性を決定付ける溶融はんだの壁

〈その他の因子〉

①チップ電極の酸化。

②パッド面積。

③パッド表面の酸化、異物の付着。

④パッドのはんだレペラーの量。

⑤クリームはんだの印刷量。

⑥メーカーによるクリームはんだの違い。

⑦印刷時の吸湿、酸化などによるクリームはんだの劣化。

2.原因と発生のメカニズム

図aはクリームはんだを印刷した後、チップをマウントした状態を示します。マウントの力が強ければ印刷されたクリームはんだは多少バラけるようになります。リフロー炉に入ると雰囲気から熱が供給されます。温度上昇は基板より常にチップ部品が早くなります。温度上昇はチップ部品の下が最も遅くなります。

したがって、チップ部品の電極ではクリームはんだと接触している箇所のフラックスが温度上昇をしながら、粘性をより小さくしながら、より温度の高い(粘性を小さくする高温側)電極上部に上がって行きます。そして、クリームはんだは最も温度が高くなるパッドの外側から溶融を開始します。

溶融はんだはチップ部品の電極を上昇し始めると、図bに示したようにここで溶融はんだの壁が形成されます。したがって、未溶融クリームはんだ中のフラックスの動きは、溶融はんだの壁にさえぎられて止まり、それより外にフラックスは流出できません。当然、発生するガスも溶融はんだの壁にさえぎられます。

図cに示したように、クリームはんだの溶融はパッドの内へ内へと進行します。クリームはんだの溶融がパッドの内へ内へと向かうことにより、フラックスも内へ内へと押し出され、ガスも内側へ移動することになります。

チップ部品の下のクリームはんだが溶融を開始すると、クリームはんだは印刷時の1/2になります。

チップ部品の自重及び溶融はんだがパッド側に引きつける力で、電極側面を上昇する溶融はんだは加速されます。

チップが下に降りる力とパッドが溶融はんだを引きつける力で、チップ電極の下で溶融したはんだ

はフィレットになる側に移動します。これがスムーズに行われればはんだボールの発生はなくなるはずです。

ところが、

A:チップ部品の電極が酸化している場合は、電極側面を這い上がることに限界ができ、次に図Cに示した力が発生して、逆にはんだを押し出し出すことになってはんだボールとなります。

B:パッドの一方が早く温度が上がると、先にはんだが溶融したパッドにセルフアライメント効果でチップが引きずられます。この時の力で未溶融はんだが押し出されて溶け、はんだボールになります。

C:クリームはんだのフラックスが気泡を出しやすいタイプでは、未溶融はんだが押し出されて溶け、はんだボールとなります。

D:フラックスの流れる力、発生ガスの勢い、チップ部品がパッドに引きつけられる力などでタイミングが合うと、未溶融はんだが押し出されて溶けはんだボールになります。

E:はんだ量過多或いはパッド面積が少ない場合は、溶融はんだの保有空間が減少することではんだボールが起きやすくなります。

なぜチップ脇にはんだボールの位置が限定されるのかは、以上の説明の通り、クリームはんだがパッドの外側から溶け始めること、そして溶融はんだの壁ができてしまうことによります。

3.対策

チップ脇のはんだボールの発生の原因にはいろいろな因子があり、どの因子が強く出ているかを常に検証しなければなりません。

①設計ではパッドが均一に温度上昇になるよう、熱バランスを考慮してパッドの大きさ、導体の巾及び長さを決める。

②設計ではチップの電極の高さとパッドの面積で得られる溶融はんだを保有する空間(フィレットになる空間)を大きくとる。

③温度プロファイルでは急激な立ち上げをしない。

④クリームはんだを見直す。

⑤印刷の位置及び印刷量を見直す。

⑥マウントの力を調整する。

⑦クリームはんだの印刷時の管理を徹底する。

③チップ部品の酸化の軽減。

 

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Q6 フィレットが曇って光沢がないのはなぜでしょうか?

1.観察のポイント

フィレットの表面状態ははんだ付け性を判断する上でも、また、信頼性を判断する上でも重要な判断基準となります(写真a)。

〈クリームはんだの場合。〉

①部品リードの酸化物。

②合金組成で銀が添加されている場合。

〈噴流はんだ付けの場合。〉

①リードの酸化。

②基板のランドの異物の付着。

②はんだバスの酸化物の付着。

〈やに入りはんだ付けの場合。〉

①はんだ線の表面汚れ。

②写真bで示したコテの当てすぎによる酸化。

③溶融はんだの凝固直前にはんだ付け部を動かした。

④合金組成で銀が添加された場合。

はんだ付けされる金属の表面にはんだがコートされていて、この表面が酸化していた場合は、リフローソルダリング後のフィレットの表面で、写真aに示したような外観を見せます。

いま、図aに示す状態のチップの電極があったとします。リフロー炉内で加熱されると、フラックスが電極表面の酸化物と反応して、溶融したクリームはんだは、電極表面の酸化物の最も早く温度が上がる箇所で反応し、酸化膜の下のはんだと急速に溶け合います。電極表面の酸化膜が強固な場合はフラックスの反応にも限界があり、酸化膜は除去できなくなります。

電極の表面は一般には90Sn-10Pbのはんだめっきがされているので、共晶はんだより融点が高く、クリームはんだが先に溶融して電極を上がって行くことになります。この現象で電極の酸化膜の下のはんだ量は多くなり膨れます。外観上酸化被膜はフィレット表面に残るので、光沢のないフィレットが形成されます。はんだ量は増えて膨れましても酸化物はゴムのように膨れることはないので、写真aに示したように酸化被膜に亀裂が入ります。

2.原因と発生

チップ部品の電極或いはリードの表面の変色が問題になります。写真aの場合は絶縁特性に障害は与えませんが、めっき液が残留しているよう場合は、イオン化している物質が存在しているので、絶縁性に障害が出ることは考えられます。

めっき液の残留の場合、はんだ付け直後は不具合として検査で発見することはできず、経時変化によって徐々に劣化しますのでやっかいです。

一方、本件のように初期はんだ付け不良を起こした場合は実装ラインで確認できます。確実に修正しておかないと(修正で外観上フィレットが形成されたように見えても、はんだがかぶっている状態)

市場ではんだ割れ、はんだはがれの原因となります。

3.対策

部品の受入れの徹底と保管管理の徹底になります。はんだ付け性が劣ると確実にはんだ付けを行いたいために、活性力の強いフラックスを使用したくなりますが、これは誤った手段になります。

錫の酸化物であっても、有機酸は錫と反応して水を生成し、灰色の物質となります。これをホワイトヘイズと言います。ホワイトヘイズによる絶縁不良の事例は著者は経験していませんが、超微細部のパターン間げきでは事故も予想されます。

将来の技術を確保する上でも部品のはんだ付け部の清浄性は解決しておかなければなりません。

 

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Q5 TSOPのはんだ付け部で割れが発生しました。調査の仕方を教えて下さい。

1.観察のポイント

調査アッセンブリの外観を写真aに示します。基板の反りは写真bに示したようにありません。搭載されているQFPのはんだ付けは写真c、dに示したように、バックフィレットも良好に形成されています。その他の部品も同様に初期はんだ付け不良はありませんでした。

以上のことから、使用した基板は良好で、部品についてはリード先端のはんだ上がりが多少気になる程度で、全体的にはんだ付けにかかわる欠陥はありません。また、使用したクリームはんだも良好で、リフロー炉温度条件も適切と判断できます。

写真eは調査はんだ付け部周辺の状態です。写真fは割れを起こしているリフローソルダリング部ですが、割れに結びつくはんだ付け欠陥はありません。両端のパッド面積を広く取り、TSOPのはんだ割れに対するパッド設計の配慮もされています。

写真gは、はんだ割れを起こしたりード全体の外観を示します。全リードで割れを起こしているのが特徴です。写真hは当該TSOPを側面から観察した写真で、パッケージの膨らみはなく、はんだ割れ側か浮いている状態も確認できません。

割れを起こした箇所を拡大して観察すると、チェッカーピンがリードを2度直接刺し、その圧痕も深く、フラックス残渣の破損も著しいのが特徴です。正常品はフラックス残渣に亀裂がなく力が作用した跡は確認できません。写真iに示したようにはんだ割れ部の残渣の亀裂は著しい。

2.原因と発生のメカニズム

回路設計、部品、基板、はんだ付け条件など適切で、アッセンブリ上にはゴミなどの異物はほとんど確認できず、実装ラインの技術は高いレベルにあります。今回のはんだ割れについては、チェッカーピンを直接リードに刺したのが原因になります。これだけの実装技術のあるリフローソルダリングなので、目的があって2度チェッカーピンを立てたものと推察します。

傷跡が深く鋭い状態からしますと、この条件でピンを立てれば、当該はんだ付け部に限らず、ほとんどのはんだ付け部で割れが発生することでしょう。仮にラインで割れが発生しなくても、市場ではんだ割れに至ることは予想できます。

無洗浄の場合、フィレットにチェッカーピンを立てると、フラックス残渣で誤判定を起こすことがあります。しかし、それが原因のはんだ割れは市場では起きないので、ピンを刺す位置には念のため慎重に検討されることを希望します。

 

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