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Q10 リードの濡れ不良がなぜ発生したのでしょうか。

1.観察のポイント ①写真aに示しかように、はんだ量が少なくフラックス残渣がない。 ②写真aのリードの表面が酸化し、はんだが濡れた形跡がない。 ③写真aでフィレットの肌がブツブツになっていて、はんだボールが3個確認できる。 ④写真aでははんだ不濡れのままフィレットにリードが載っている。 ⑤平行部がないリードの形状している。 ⑥写真bは別の不濡れであるが、同じ基板の同じメーカの部品で、フィレットに過剰 と言うくらいはんだが付いている。 ⑦写真bの表面はリードの酸化物が転着している。 ⑧写真cのリードとフィレットの境に少し隙間がある。             2.原因と発生のメカニズム フラックス残渣が洗浄されて存在しないために、はんだ付け時のフラックス挙動が読めない状況にあります。はんだ量を比較するとリード浮きをしている箇所のフィレットでは明らかに少ないことが分かります。 少なくなったのは印刷のミスとはんだボールで消失した場合が考えられます。 ③で記したようにフィレットの手前壁面にはんだボールが確認できることから、当該リード浮きのはんだ量の減少ははんだボールとなってフィレットから逃げたことが想定できます。 しかも、フィレットの表面はブッブツした肌を見せており、正常なフィレットではこのような状態が確認できないことから、はんだが逃げた原因はアッセンブリの搬送コンベアの振動ではなく、クリームはんだの溶融時に要因があったことになります。 次にリードがフィレットの上に載っていることは、リードが浮いていることになります。浮いてはいても正常なはんだ量のフィレットをもとに検討すると、仮に浮いたとしてもこの程度の浮きであれば、多少なりともリードはフィレットの中に入り込んでいなければなりません。しかし、現実にはそのはんだがないのです。リード先端の形状と正常なはんだ量をもとに考察すると、クリームはんだの印刷後マウント状態では、全リードは図aに示したように、印刷したクリームはんだの中に突き刺さっていたことが想定できます。 それではリフロー炉に入って、ここで一体何か起きたかということです。       それを解く鍵は熱の伝達にあります。リフロー炉に入ると、図aのリードの先端は最も早く温度が上がり、クリームはんだはこの箇所から溶け始めます。他のリードが先に濡れると、溶融はんだはリードに這い上がりながらリードをパッドに引きつけます。この時、当該リードは反動で上にはねるようになり、この動きが、リード先端部のはんだを外にはじき出してしまい、多量のはんだがフィレットから失われた訳です。この段階ではフィレットの上部とリードの低面とは接触していますが、フィレットが凝固したことで収縮しわずかながら隙間ができたことになります。 以上の現象は不具合リードでは丁度はんだが溶け始めた時点で起きているから、リードにはんだが濡れる時間のゆとりもありませんでした。それでリードは全くはんだが濡れていないのです。また、はんだは溶け終わった時に凝固を開始しているから、表面がブツブツになっているわけです。 3.対策 部品の受け入れに注意を払うとともに保管管理の徹底を図ります。  

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Q9 部品のズレがどうして起きたのでしょうか?

          1.観察のポイント ①4本のリードの表面はいずれも酸化が著しい。 ②フラックス残渣のドームは左上が最も大きく、右のリード間に存在しているフラック ス残渣のドームも大きい。 ③フラックス残渣のドームはリードの先端には存在せず、必ずパッケージに接している。 ④フラックス残渣のドームの状態からすると、左上のドームは大きくその残渣の皮膜は 薄い。これに対し、写真の矢印部では下のドームは小さくてその残渣の皮膜も厚い。 2.原因と発生のメカニズム 原因は明らかにリードの酸化とフラックスから出るガスであることが分かります。ここのリードの大きさとパッドの大きさを観察すると、左側のリード部はクリームはんだ量は最も多く、パッドの面積も最大です。したがって、この箇所は温度上昇はほかのどのリードより遅く、最後にクリームはんだは溶融しています。最初に溶けた右3本のリードがセルフアライメントの効果で、本部品の位置を決定し、ズレは生じないことになります。ところが、実際にはずれてしまっています。 では、なぜこのようにずれることになったのでしょうか。興味深いのは④で指摘したドームの形態です。ここのフラックス残渣の状態から言えることは、この部品では写真の上側は温度が高く、下側は低い点にあります。上が高くて、下が低くなったのか、結果として温度差が生じています。 部品を支える4本のリードでは、フラックスから発生したガスでドームができ、右3本のリード部は浮き加減となってはんだが溶けているにもかかわらず、フラックスが妨害してリードは濡れません。 部品は傾いてしまったため、確実にパッドにリードが接触していたのは、左側リードの先端の写真では下の部分となります。ここでリードは濡れを開始するようになりました。 この結果、浮き気味たった部品はこの箇所から急激に濡れたことにより、強い力で引き寄せられ、全体的に反時計回りに動いたことになります。 3.フラックス残渣で温度差を読む 本部品のズレのメカニズムはフラックス残渣のドームの大きさとドームの厚みの違いで、リフローソルダリング時に受けた熱が均一ではなかったことに気付いた点にポイントがありました。このことに気付きませんと、温度の低い箇所にリードが引き寄せられたという理由の説明ができないからです。 フラックス残渣の温度による状態の違いは、はんだ付け部のはんだ付け性及び不良の原因を解く上では有力な手掛かりとなります。 生産現場の担当者も、品質管理の担当者も実装にかかわる方は是非フラックス残渣の状態を把握して置いて欲しいものです。 4.対策 リフローはんだ付けではフラックスの作用には限界があります。本部品のリードの酸化状態であっても、これが噴流はんだ付けならば多少カスは付きますがフィレットは形成されます。今後、実装技術は一層高密度化に移行し、リフローソルダリングの精度の要求が高まりますが、部品の酸化の問題を曖昧にしておくと、思わぬ事故を背負い込まないとも限りません。特に鉛フリーはんだでは避けて通れない問題の1つになります。 実装ラインにおいては受入検査と保管管理の徹底が要求されます。 〈参考〉実装ライン 2年後突然ラインを尋ねたらやはり綺麗だった。 現場査察は数えきれないほどしましたが、今でも褒めることはまずない。それが実装現場と言うものとあきらめつつもある。 韓国のチューナーを作っている太峰電子で3年前にセミナーを実施したことがある。広い実装ラインを通って会議室に入り、課長クラスの実務者約20名を対象に講義をした。講義の冒頭、現場の整理整頓が悪く、不必要なものがたくさんあって汚いことを指摘した。少々間をおいて1人の若い課長が席を立って出て行った。 丁度大切な話しをしょうとした矢先だけに、内心ムッとなって後ろ姿を見る。彼は15分ほどで戻ってきて、また着席した。約2時間の講義を終え、再び実装ラインのドアを開けた。 瞬間、我が目を疑った。みんなもびっくりした。 「綺麗だ」 「一体、いつこんなに」 信じられないことは誰でもありますが、今でもあの時の感激が甦ります。  

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Q8 はんだ付け部以外の所で大きなはんだボー ルが発生しています。どこのはんだ付け部 から出たのでしようか?

1.観察のポイント ①基板パッド`にはんだは良く濡れている。 ②左上のチップの電極のはんだ濡れは良好で電極のフィレットの光沢もある。 ③写真の上の部品のリードが酸化している。 ④写真の上の左右のリードのパッドの面積は同じである。 ⑤同、右端のリードのはんだ付け部はフィレットのはんだ量も多く光沢がある。 ⑥同、左端のリードのはんだ量は極端に少ない。 ⑦同、左端のリードの側面が下まで濡れていない。 ⑧同、中央のリードは不濡れを起こし、はんだ量は右端のリードと比較すると少ない。 ⓽写真の下の部品のリードのはんだ量は多い。 ⑩大きなはんだボールの右に小さなはんだボールがある。 ⑪各リードの脇にはフラックス残渣中に大きなドームがある。 2.原因と発生のメカニズム 前記①の状態から基板のパッド部は清浄にはんだが濡れているので、使用した基板は良好であったことが分かります。また、このように良くはんだが濡れていたことから、使用したクリームはんだのはんだ付け性は良好であったことが分かります。発生の過程は次の通りです。 クリームはんだは通常通り印刷され、部品マウント後リフロー炉に入りました。加熱が開始され、予熱ゾーンの通過の際も特にクリームはんだの予熱のダレはありません。本加熱に入ると急激に濡れを開始しました。特に、上の部品の右端のリードではフィレットの光沢も良いことから、溶融はんだは強い力でリードをパッドに引きつけています。この時、左端のリードはブクブク泡を出して、はんだが溶けかかりましたが、リードの表面酸化が著しいためはじいてしまいます。しかし、一部はんだは当該リードに濡れていますので、パッドに引きつけられています。リードが酸化していなければ、溶融はんだはリードの上まで這い上がって、フィレットを形成するところでしたが、リードの酸化物ではじかれパッドの外側に押し出されてしまいました。フラックス残渣は一部大きなドーム状になっていることから多量のガスが発生し、はんだボールの移動に追い打ちをかける結果となってしまいました。 大きなはんだボールの隣にあるはんだボールは、同様にして上の部品のリードから出てきたものと推定できます。それは下の部品の左右リードのフィレットのはんだ量が多い位の状態で形成されているから、ここからは発生しません。 原因の第1はリードの表面酸化によるはんだはじきであり、加速させたのがクリームはんだのフラックスから出たガスになります。フラックスもさらっとした液体ではなく、粘性の高い状態なので、ガスによって移動する場合は、動かすはんだの量も多くなります。 3.対策 ①部品の酸化の原因調査。受入時はどうだったか。 ②部品保管場所の環境のチェック。 ③部品の先入れ、先出しの鉄則が守られているかどうか。 ④限度見本の作成と、実作業者の教育。 ⑤修正作業方法の現場での確認。 ⑥検査の徹底。 これだけリードがはんだをはじいていると、修正作業は確実に行わなければ、やに入りはんだ付け編で紹介したトランジスタの事故を再発することになります。  

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Q7 なぜチップの脇にボールが発生するのでしょうか。

1.観察のポイント 〈疑問-1〉 リフローはんだ付けは、クリームはんだを印刷した箇所ではんだが溶けて固まる接合方法です。その際、印刷したはんだの一部が別の場所に移動してしまうということは何が原因でしょうか。あるべき場所から離れて存在するということは、当然、力がはんだ粉に作用したことになります。 〈疑問-2〉 それでは、なぜ、チップの脇に存在しなければならないのか。単に、力だけならどこにでもはんだの粉は移動するはずです。力以外に何かはんだボールの発生の場所を指定するのでしょうか。 この2点を解き明かすことにより、チップ脇のはんだボールの撲滅が可能となります。 〈疑問-1について:関与した力とは〉 発生する力を列挙すると次の通りです。 ①部品の自重。 ②フラックスから発生するガス。 ③クリームはんだから流れ出るフラックス。 ④チップの電極を溶融はんだが上がっていく時の濡れの力 ⑤溶融はんだがチップの電極に濡れることにより、チップがパッド側に引き寄せられる力。 ⑥印刷したクリームはんだの高さが約1/2になる時に生ずる落差。 ⑦はんだの粉が凝集する時の力 ⑧マウントした時のクリームはんだに対するチップの圧力 ⑨セルフアライメントの力 〈疑問-2について:チップ脇に限定した因子とは〉 ①熱の伝達の順位。 ②それにともなう時間差。 ③方向性を決定付ける溶融はんだの壁 〈その他の因子〉 ①チップ電極の酸化。 ②パッド面積。 ③パッド表面の酸化、異物の付着。 ④パッドのはんだレペラーの量。 ⑤クリームはんだの印刷量。 ⑥メーカーによるクリームはんだの違い。 ⑦印刷時の吸湿、酸化などによるクリームはんだの劣化。 2.原因と発生のメカニズム 図aはクリームはんだを印刷した後、チップをマウントした状態を示します。マウントの力が強ければ印刷されたクリームはんだは多少バラけるようになります。リフロー炉に入ると雰囲気から熱が供給されます。温度上昇は基板より常にチップ部品が早くなります。温度上昇はチップ部品の下が最も遅くなります。 したがって、チップ部品の電極ではクリームはんだと接触している箇所のフラックスが温度上昇をしながら、粘性をより小さくしながら、より温度の高い(粘性を小さくする高温側)電極上部に上がって行きます。そして、クリームはんだは最も温度が高くなるパッドの外側から溶融を開始します。 溶融はんだはチップ部品の電極を上昇し始めると、図bに示したようにここで溶融はんだの壁が形成されます。したがって、未溶融クリームはんだ中のフラックスの動きは、溶融はんだの壁にさえぎられて止まり、それより外にフラックスは流出できません。当然、発生するガスも溶融はんだの壁にさえぎられます。 図cに示したように、クリームはんだの溶融はパッドの内へ内へと進行します。クリームはんだの溶融がパッドの内へ内へと向かうことにより、フラックスも内へ内へと押し出され、ガスも内側へ移動することになります。 チップ部品の下のクリームはんだが溶融を開始すると、クリームはんだは印刷時の1/2になります。 チップ部品の自重及び溶融はんだがパッド側に引きつける力で、電極側面を上昇する溶融はんだは加速されます。 チップが下に降りる力とパッドが溶融はんだを引きつける力で、チップ電極の下で溶融したはんだ はフィレットになる側に移動します。これがスムーズに行われればはんだボールの発生はなくなるはずです。 ところが、 A:チップ部品の電極が酸化している場合は、電極側面を這い上がることに限界ができ、次に図Cに示した力が発生して、逆にはんだを押し出し出すことになってはんだボールとなります。 … 続きを読む

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Q6 フィレットが曇って光沢がないのはなぜでしょうか?

1.観察のポイント フィレットの表面状態ははんだ付け性を判断する上でも、また、信頼性を判断する上でも重要な判断基準となります(写真a)。 〈クリームはんだの場合。〉 ①部品リードの酸化物。 ②合金組成で銀が添加されている場合。 〈噴流はんだ付けの場合。〉 ①リードの酸化。 ②基板のランドの異物の付着。 ②はんだバスの酸化物の付着。 〈やに入りはんだ付けの場合。〉 ①はんだ線の表面汚れ。 ②写真bで示したコテの当てすぎによる酸化。 ③溶融はんだの凝固直前にはんだ付け部を動かした。 ④合金組成で銀が添加された場合。 はんだ付けされる金属の表面にはんだがコートされていて、この表面が酸化していた場合は、リフローソルダリング後のフィレットの表面で、写真aに示したような外観を見せます。 いま、図aに示す状態のチップの電極があったとします。リフロー炉内で加熱されると、フラックスが電極表面の酸化物と反応して、溶融したクリームはんだは、電極表面の酸化物の最も早く温度が上がる箇所で反応し、酸化膜の下のはんだと急速に溶け合います。電極表面の酸化膜が強固な場合はフラックスの反応にも限界があり、酸化膜は除去できなくなります。 電極の表面は一般には90Sn-10Pbのはんだめっきがされているので、共晶はんだより融点が高く、クリームはんだが先に溶融して電極を上がって行くことになります。この現象で電極の酸化膜の下のはんだ量は多くなり膨れます。外観上酸化被膜はフィレット表面に残るので、光沢のないフィレットが形成されます。はんだ量は増えて膨れましても酸化物はゴムのように膨れることはないので、写真aに示したように酸化被膜に亀裂が入ります。 2.原因と発生 チップ部品の電極或いはリードの表面の変色が問題になります。写真aの場合は絶縁特性に障害は与えませんが、めっき液が残留しているよう場合は、イオン化している物質が存在しているので、絶縁性に障害が出ることは考えられます。 めっき液の残留の場合、はんだ付け直後は不具合として検査で発見することはできず、経時変化によって徐々に劣化しますのでやっかいです。 一方、本件のように初期はんだ付け不良を起こした場合は実装ラインで確認できます。確実に修正しておかないと(修正で外観上フィレットが形成されたように見えても、はんだがかぶっている状態) 市場ではんだ割れ、はんだはがれの原因となります。 3.対策 部品の受入れの徹底と保管管理の徹底になります。はんだ付け性が劣ると確実にはんだ付けを行いたいために、活性力の強いフラックスを使用したくなりますが、これは誤った手段になります。 錫の酸化物であっても、有機酸は錫と反応して水を生成し、灰色の物質となります。これをホワイトヘイズと言います。ホワイトヘイズによる絶縁不良の事例は著者は経験していませんが、超微細部のパターン間げきでは事故も予想されます。 将来の技術を確保する上でも部品のはんだ付け部の清浄性は解決しておかなければなりません。  

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Q5 TSOPのはんだ付け部で割れが発生しました。調査の仕方を教えて下さい。

1.観察のポイント 調査アッセンブリの外観を写真aに示します。基板の反りは写真bに示したようにありません。搭載されているQFPのはんだ付けは写真c、dに示したように、バックフィレットも良好に形成されています。その他の部品も同様に初期はんだ付け不良はありませんでした。 以上のことから、使用した基板は良好で、部品についてはリード先端のはんだ上がりが多少気になる程度で、全体的にはんだ付けにかかわる欠陥はありません。また、使用したクリームはんだも良好で、リフロー炉温度条件も適切と判断できます。 写真eは調査はんだ付け部周辺の状態です。写真fは割れを起こしているリフローソルダリング部ですが、割れに結びつくはんだ付け欠陥はありません。両端のパッド面積を広く取り、TSOPのはんだ割れに対するパッド設計の配慮もされています。 写真gは、はんだ割れを起こしたりード全体の外観を示します。全リードで割れを起こしているのが特徴です。写真hは当該TSOPを側面から観察した写真で、パッケージの膨らみはなく、はんだ割れ側か浮いている状態も確認できません。 割れを起こした箇所を拡大して観察すると、チェッカーピンがリードを2度直接刺し、その圧痕も深く、フラックス残渣の破損も著しいのが特徴です。正常品はフラックス残渣に亀裂がなく力が作用した跡は確認できません。写真iに示したようにはんだ割れ部の残渣の亀裂は著しい。 2.原因と発生のメカニズム 回路設計、部品、基板、はんだ付け条件など適切で、アッセンブリ上にはゴミなどの異物はほとんど確認できず、実装ラインの技術は高いレベルにあります。今回のはんだ割れについては、チェッカーピンを直接リードに刺したのが原因になります。これだけの実装技術のあるリフローソルダリングなので、目的があって2度チェッカーピンを立てたものと推察します。 傷跡が深く鋭い状態からしますと、この条件でピンを立てれば、当該はんだ付け部に限らず、ほとんどのはんだ付け部で割れが発生することでしょう。仮にラインで割れが発生しなくても、市場ではんだ割れに至ることは予想できます。 無洗浄の場合、フィレットにチェッカーピンを立てると、フラックス残渣で誤判定を起こすことがあります。しかし、それが原因のはんだ割れは市場では起きないので、ピンを刺す位置には念のため慎重に検討されることを希望します。  

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Q4 リフロー後チップコンデンサが割れましたはんだ付け技術に問題があるのでしょうか?

1.観察のポイント 写真のようなチップ割れははんだ付けとは関係なく、部品そのものに起因しています。チップを構成する材料の欠陥が主因になっています(写真a、b)。 この場合もアッセンブリ全体のはんだ付け性は良好で、他の部品にはんだ付け不良は発生していません。本はんだ付け部でもパッドの濡れ性は良好で、使用されたクリームはんだのはんだ付け性は良好でした。フィレットの肌も光沢があり、表面に残留しているフラックスの状態も透明で、オーバー加熱の様相はありません。はんだボールはありますがチップ割れとは関係はありません。 左右両パッドの位置のずれもなく、リフローの温度プロファイルもこのチップに関してはミスはありません。 チップ電極は酸化されていますが、チップコンデンサの酸化としては一般的なレベルと言えます。 しかし、電極表面には半球の突起が多数確認できます。これはチップのはんだめっき前の状態に欠陥があったことが想定できます。ただし、これが直接チップ割れには関係ありません。 割れを起こした箇所を観察すると、破面のはんだは鋭いエッジになっているので、凝固した後で割れが発生したことになります(チップ内部の水分による蒸気爆発で、しかもフィレットのはんだが溶融状態で発生すれば、はんだ付け部周辺に微小はんだボールが多数確認されるはずです)。 割れた箇所の樹脂がめくれるような形態(樹脂が膨張したからめくれるようになっている)をしているのは樹脂そのものの変形であって、単に水蒸気爆発を起こしただけではこのような変形はありません。樹脂の変形は樹脂そのものの組成に関係すると判断します。 部品の樹脂が原因の不具合は、樹脂に侵入した水分が原因の場合、樹脂を構成する成分の偏析が原因の場合、気泡(空洞)の介在が原因の場合、樹脂の内部応力が原因の場合、あるいは写真c、dに示したように製造工程で付加された外力が原因の場合があります。 〈参考〉マナー 母親の胎内から赤ちゃんはこの世に生命が授けられます。同じようにリフロー炉からフロー槽からあるいは電気コテからアッセンブリは生命を授けられます。チップ部品と言えども血の通った生き物です。私達は血の通った生き物を世の中に送り出しているのです。そして、私達の生活はその上で成り立っています。  

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Q3 セラミック基板ではんだ割れが発生しました。どのような因子が作用したのでしよう か?

1.観察のポイント ①写真aに示したように部品の傾きは大きい。 ②写真aに示したように、基板の隅に部品が配置されている。 ③写真bに示したように、フィレット側のはんだ破断面が鋭い。 ④写真bではリードの厚みの約1/2ははんだが濡れていない。 ⑤写真bに示したようにリードの上にもはんだは上がっている。 ⑥写真bに示したように、フィレットのかかとの部分の肌が粗れている。 ⑦写真cではフィレットとリードの相対的位置関係からすると、リードは右にずれている。 2.原因と発生のメカニズム セラミックは熱容量が大きいために温度が上がりにくく、温度が上がるとさめるのに時間がかかります。本はんだ付け部は基板の外側に位置しており、温度上昇は写真aに示したように右側のリードが早く、不具合を起こした側は遅れています。 写真bから分かることは、割れが発生する直前にはリードはすでに浮いている状態になっていたということです。 ここでセラミック基板の性質から、写真aの右側のリード側は先にはんだが溶けますが、普通のガラエポ基板のようにピーク温度領域に入って基板が急に温度が上がるのではなく、徐々に上がります。 そして、炉がピーク温度から冷却が開始されても、急激に温度が下がるのではなく徐々に下がるので、冷却過程に入ってもはんだの濡れは持続しています。そしてクリームの量は多く、当然フラックスの量も多かったので、はんだの濡れは持続することになります。 一方、写真aの左のリード側は温度上昇が遅れて到達温度も低くなるので、ピーク温度が過ぎると凝固の体勢に入ります。その時点では右側のリードはまだ濡れを続行しています。ここではピークゾーンを過ぎても、溶融はんだはリードの上部にさらに這い上がりながら、リードをパッド側に引きつけるので、部品は徐々に傾くようになります。反対側は凝固直後ですが、ほとんど強度はありません。 そして割れが発生したことになります。 この過程が分かったのは写真bのフィレットのかかとの部分が粗れていること、そして左側がこれほど派手に割れたにもかかわらず、右側のフィレットが何もない綺麗な肌をしていたことに気付いたからです。 左側のフィレット全体はリードの先端の温度が低く、かかとの部分が最後に固まっています。本来かかとの部分はフィレットの強度を確保すべき所でもあるのですが、凝固直後であったために強度がないことを証明しています。 最終的に右側のリードは凝固しますが、フィレットのはんだ量が多いことから、凝固時の体積変化で(収縮力で)、割れてからもさらに左側を持ち上げていることが想定できます。 3.対策 セラミック基板は熱容量が大きいために、温度上昇は遅れ、加熱時の温度差はガラエポ基板より顕著に出ます。それだけに均一加熱と均一冷却がより求められるから温度プロファイルを再検討しなければなりません。さらに治具を作って基板の外側の温度上昇を押さえます。例えば金属ブロックを配置することによって内側と同じ温度上昇にになるよう検討する、などです。 同時に、リードの酸化対策、クリームはんだの合金成分の見直しなど、1つひとつの因子を潰すことを実施しなければなりません。                

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Q2 はんだ付け後の外観で温度を知ることはできるのでしょうか?

写真aは、携帯電話に搭載されていたQFPのリード表面です。本リードには90Sn-10Pbが表面にめっきされています。この組成のはんだの凝固混度は183℃になります。写真bの矢印1で示した箇所は綺麗な肌をしています。これはフラックス作用を受けた時のはんだの溶融状態になります。したがって、ここは183℃よりは高い湿度です。 これに対して、矢印2で示した箇所は酸化物の下であっても、溶融した跡が確認できます。合金組成からここが183℃になります。   同様に写真cはチップ部品の電極部の状態です。これもはっきりと温度を見ることができます。このような現象はSn-Pb合金にのみに限定されます。微小部分の温度測定は、熱電対の線をセットしただけで、加熱時には熱が奪われ犬変難しいと言えます。 願わくば、表面実装部品のはんだ付け部はすべてSn-Pb系の表面にしてほしいものです。 (※1998年初版発行の文章をそのまま掲載しております)  

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Q1 はんだ付け後の外観ではんだ割れの危険性のある個所を予測できないでしょうか?

  1.観察のポイント フラックス残渣は力に対してはんだより敏感に反応します。フィレットのはんだは金属ですが、粘土のような性質があるので、力が作用して少々伸びても変形は観察できません。ところがこれに密着したフラックス残渣は軟化温度より低温ではほとんど伸びません。 したがって、はんだのわずかな伸びに対して追従することができず、簡単にクラックの発生につながります。 写真aはQFPのはんだ付け部で発生したフラックス残渣のクラックで、右から2番目のリードに顕著に出ています。この箇所を側面から観察したのが写真bになりますが、リードが浮いた状態が確認できます。 写真cはQFPのリードの端の近辺です。この写真の右端と4番目とを比較すると、右端ほどフラックス残渣のクラックの程度はきつくなっています。フラックス残渣のクラックの発生の位置は3番目と4番目に興味ある現象が顕著に出ています。それはリードのかかと部のクラックが著しいという点です。これはリードのはんだ付け部ではフィレットのかかとから力が作用し、この部分で変形を来しているという事実です。       2.原因と発生 では、なぜここでこのような力が作用するかになります。 QFPの樹脂に内在した力がリフロー炉の中で開放し、それが市場でさらに長い期間を経て開放したことによります。 これを解析するには中性子ラジオグラフィーの手法で、QFPの製造時の金型に侵入して行く樹脂の挙動を解析しなければ分かりません。 TSOPのリードのはんだ割れが多いのは、金型の薄い空間を樹脂が圧入される時の挙動(金型と樹脂の界面で発生する摩擦)がQFPより一層不確定なためと考えます。 参考までに写真dはポリエステル樹脂の内部空洞で、この組織からしても空洞部周辺の樹脂が収縮した状態を示しています。したがって、圧力で成形された樹脂及びその中の密閉空間は、膨張しようとする力をもっていることが容易に分かります。圧力の高い樹脂の一部或いは空間がリフロー炉で膨張してもおかしくありません。薄い空間に粘性の高い樹脂をきちんと入れる場合、他のどこよりも角の部分は強い力が必要となります。このような理由でパッケージの角は暴れやすく動きやすい状態にあるので、この箇所がはんだ割れに敏感になります。 写真eはパッケージ内部の空洞です。 写真fもパッケージ内部で発生したクラックです。 写真9は電解コンデンサの底部の樹脂のクラック群です。 写真hは微小ですが、矢印に示した箇所で気泡跡が確認できます。 このように、パッケージ樹脂の内部に欠陥があると、はんだ付け部に作用してはんだ割れの原因となります。写真i、jはパッケージ樹脂が原因で発生した割れです。 3.対策 はんだ量が少ないのもはんだ割れを加速したことになります。リフローソルダリング後は写真i、jで示した箇所のはんだ付け部は、これらの箇所を重点的に検査しはんだ量が少ない場合は追いはんだをして補強します。また、設計に際してはパッドの面積を大きく取ってはんだ量を増し、強度を確保しなければなりません。

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