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Q2 基板の表面処理に欠陥があった場合、どのような不具合の原因になるのでしょう?

A 1.観察のポイント 基板の信頼性は機械加工の精度とイオン物質の残留が重要な因子になっています。イオン物質はエッチング後の洗浄不足及びめっき処理後の洗浄不足にり、基板のパッド面、レジストの下の素材面、スルーホール或いはバイアホールの中に存在します。金めっきの場合、イオン物質は下地のニッケルめっきの界面にも残留します。 基板の製造では洗浄作業が重要な工程になります.スルーホール或いはバイアホールのような箇所は特に洗浄性が悪い箇所になります。これらの穴の内部は新鮮な水が通過して初めて洗浄ができます。 確実に洗浄水を通過させることはかなりの技術が要求されます。 2.発生と原因 2.1.エッチング液の残留 写真aの左側はエッチンダ後の洗浄不足で銅の変色した基板を示します。これを5%の硝酸溶液で超音波洗浄を行ったものが右側の基板になります。エッチング~洗浄~乾燥の工程後、そのまま10日位放置すると変色として目に付くようになります。ところが、乾使後はプリフラックスがコートされ、防湿効果でイオン物質が残留していても変色として確認できなくなります。これが実装ラインでリフローした場合、1回目の加熱で頑固な化合物となって、2回目のリフローで不濡江の主な原因になります。エッチンダ液として塩化第二鉄を使用した場合、残留した塩化第二鉄は酸化して酸化鉄となり、これがはんだ付け不良の原因とされています。 エッチング液として塩化第二銅を使用した場合は、残留してもはんだ付け不良にはなりません。それはステンレスのはんだ付け用フラックスの原料として塩化第二銅が使用されているからです。はんだ付け性は問題ありませんが、絶縁不良の事故は多々あります。 2.2 めっき液の残留 めっきとはめっき液の中で金属が析出する現象です。したがって、微視的にはめっき金属が析出する過程でめっき液を取り込むことはさけられません。写真Cはゴミの上にめっきされたものです。不具合として持ち込まれた中でめっきのトラブルで特に多いのは金めっきです。金属の中でもとりわけ金は抜群の耐食性があるので、少々めっき液が残留しても腐食としてめっき表面に現われません。それだけに洗浄がおろそかになるようです。金めっきの洗浄不足を起こす工場は、洗浄に対する認識に欠けているためか、前工程のニッケルめっきでも同じように洗浄不足を起こしている場合があります。 それがはんだ付け時の剥がれとして事故に発展します。 金めっきのパッドにはんだ付けした時に、簡単に剥がれることがある場合は、洗浄不足か密着不良のいずれかです。剥離面は麦藁色、褐色、紫などさ様々な色をしています。写真d、eは剥離の状態を示したものですが、ニッケル面の変色が著しいことが分かります。 これを約1000倍に拡大したのが、写真fになります。化学的に腐食していることが分がります。EPMAで元素分析をすると、図a、bで示したようにP(リン)とCo(コバルト)が検出されています。                                     金めっき基板では基板の銅箔の上に無電解銅めっき、ニッケルめっき、金めっきの順に3回めっきされます。過去に銅箔と無電解銅めっき、銅めっきとニッケルめっき、ニッケルめっきと金めっきのそれぞれの界面で剥離する不具合を経験しています。 これらのめっき液がスルーホール或いはバイアホール内に残留したのが原因で腐食を起こした事例もあります。 事故が発生した場合、クリームはんだ或いはやに入りはんだのフラックスのバラツキと誤解されることも珍しくありません。 今後、高密度でさらに穴の距離が狭くなります。写真g、hに示したように穴が近接していると、 基板内に浸透したエッチング液或いはめっき液などが使用環境の温度変化で膨張収縮し、亀裂が2つのスルーホール間で発生し、やがて貫通して絶縁不良の事故に発展することもあります。 不具合の事例で最も多いのは基板の穴あけ加工が悪く、洗浄不足が重なった場合です。はんだ付け技術の重要性を認識していないメーカーの基板に多いのが特徴です。大手のメーカーであっても油断して事故を出すことはけして珍しくありません。それだけ基板の製造は大変難しいと言っても過言ではないのです。 こうことは実装現場においても、基板メーカー同様その重要性を認識しておかなければならないことになります。

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Q12 4層基板のDIPはんだ付けが上手にできません。何が間違っていたのでしょうか?

ANSWER 1.観察のポイント ①写真a、bにはんだ付け後の外観を示す。 ②フラックス残渣が多い。 ③残澄の色が全体的に同じ状態で濃い。 ④はんだクズも存在。 ⑤基板が写真cに示したように破損している。 ⑥ランドの銅が露出している。 ⑦フィレットの表面は光沢がある。 ⑧噴流はんだ付けのフィレットは正常に形成されている。 ⑨リードは良く濡れている。 2.原因と発生のメカニズム フラックス残渣の色はほぼ同じ色調をし、はんだクズは酸化されてなく綺麗な肌をしているから、コテ先温度は管理されています。フラックスの飛散はありますが、残渣の透明度からフラックスに異常は確認できません。基板の破損の状態からコテ先は最も一般的な形状が使用されていると推定できます。 コテを持ってはんだ付けすれば分かりますが、少々コテに力を入れて基板に当てると思ったより簡単に基板は破損するものです。 使用したはんだ、ランド、部品リードは、いずれも正常で問題点は見当たりません。4層基板になると熱容量が大きく、なかなか温度が上がりません。本基板のランド径は4層基板の割には小さく、コテの伝達面積が減少して熱効率が悪い状態になっています。 このように熱効率が悪い状態のはんだ付け部ではいかに確実に温度を上げるかが大切になります。温度が上がらなければフラックスがスルーホールに入るわけがありません。 ランドAに供給した熱はスルーホール内を伝わりランドBに伝達される。 ランドBの位置で130℃以上の温度に上かっていないとフラックスは流れない。 フラックスBはリードに熱が奪われ、いっそう温度が下がってしまう。このような状態になると、これ以上の量のフラックスはスルーホールに入れることはできない。 フラックス中のロジンが完全溶融して速やかに流れる温度は約130℃以上です。したがって、スル一ホ-ルの中をフラックスが通るには、スルーホールの出口である基板裏面のランドの温度がこの温度以上でなければならないのです。そして初めてフラックスがスルーホール内ではんだ付け性のために効力が発揮できることになります。はんだ付けはまずはんだ付け部に確実にフラックスを供給すること、次に、はんだが溶けて少なくとも流れやすくなる220℃の温度に、リードもスルーホールも速やかに上げることです。 220℃以上に速々かに温度が上がらないと、今度はフラックスが焦げ付いて粘性を高め、狭いスルーホールの中で溶融はんだの侵入を阻止することになります。 最初にやに入りはんだを供給した特にフラックスがスルーホールに入らないと、その後何度供給してもスルーホールにフラックスは入っていきません。この時基板を破損する結果となります。 ランドにはんだが十分まわらないのは、ランド径が小さすぎてコテ先が確実に当たらなかったためです。   3.対策 ①ランドにコテが確実に当たる形状のコテ先を選定する。 ②コテ先をクリーニングしたのを確認してからランドとピンにコテを当てる(子熱)。 ③やに入りはんだのフラックスがスルーホールに入りやすい角度ではんだを供給する。 ④設計変更をしてランド径を大きくする。 この時の温度、時間、はんだの供給角度などは事前に練習用基板でマスターしておかねばなりません。このように作業してもはんだ付け性はバラつくので、無洗浄タイプのポストフラックスをはんだ付け部に付けます。 IPAは蒸発させます。付近にチップ抵抗があると、アルミナから電極が剥離することがあるので、温風加熱によるIPAの蒸発には十分注意しなければなりません。 以上の作業は高度の技術と不具合に対する知識を理解した作業者でなければなりません。また、常に体調が良くなければ、難しい箇所のはんだ付けでは神経を集中し維持できません。これはうっかりミスにつながり、はんだ付け不良に気付かずに次工程にアッセンブリは移動してしまいます。   〈参考〉設計者の心得 設計とは理屈を並べれば頭の中でいくらでも物は作れます。頭と現場とに開きがあると、設計ミスは社内では生産性が劣って経費がかかる程度ですみます。しかし、市場で不具合が発生すると、製品の機能がなくなるばかりか、家が燃え、人身事故を招き、あるいは地域住民全体に迷惑をかけることにもなります。 多少はできますが、生産技術は無理難題を解決してくれる部署ではありません。それよりも作業者が楽に、しかも確実に作業ができよう配慮する心に設計者としての実力が伺えるものです。  

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