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Q1 基板樹脂の成分のバラツキがあった場合、どのような不具合になるのでしょうか?

ANSWER 1.観察のポイント 実装現場の立場から基板が原因の不具合を大別すると次の3項目に分類できます。 ①樹脂の組成のバラツキ ②基板の機械加工(ドリル加工、金型プレスによる打ち抜き加工) ③表面処理後の洗浄不足(エッチング、めっき) 実装現場では、プリント回路基板の樹脂分の組成が原因の不具合を事前に感知することはほとんど不可能な状態です。一般的な銅積層基板の欠陥には、基板の樹脂内部の組成のバラツキ、脱泡不備による気泡の残留、銅箔を素材樹脂板に張り合わせる時のエアーの巻き込み、異物の巻き込みなどがあります。   2.発生と原因 写真aは、パターン間隙が0.2mmのガラスエポキシくし形基板を電圧印加耐湿性試験を実施した時のマイグレーションです(条件は60℃、95%RH、DC50V、1000Hr)。 拡大写真を写真bに示します。また、CuKα像(銅の面分析)を写真cに示します。写真dはマイグレーションの断面を撮影したものです。この箇所の銅の面分析の結果を写真eに示します。くし形基板のパターン間隙で成長したマイグレーションの銅が明瞭に確認できます。 写真fはBr(臭素)の分布を観察したものですが、高濃度のBrがマイグレーションの下で確認できます。マイグレーションの発生がなかった筒所の断面のCuKα像を写真gに示しますが、銅箔の断面がよく分かります。 これに対して同じ箇所の臭素の面分析を写真hに示しましたが、高濃度のBrが基板内部に存在していることが分かります。この臭素の化合物が難燃材として基板のエポキシ樹脂に添加されたものです。均一にミキシングされなかったためにマイグレーションの発生の原因になりました。  

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Q21 ジャックのはんだ付け部で割れが発生しました。どのような点に注意してはんだ付けしたらよいでしょうか?

ANSWER 1.観察のポイント ジャックのように使用者が頻繁に力を加えるような箇所は、構造的に力がはんだ付け部にかからない設計にしなければ、どのような方法ではんだ付けをしても保証できません。写真aは外観を示し、写真bはそのはんだ付け部の割れの状態で、フィレットに縞組織が確認できます。 噴流はんだ付けではアッセンブリ全体が加熱されるので、やに入りはんだの場合と異なり、冷却に時間がかかってフィレットの組織は、写真cに示したように魚のうろこのように大きくなります。この状態のフィレットに力が作用すると、写真dに示したように魚のうろこが剥がれるような状態から割れが発生します。写真dは繰返し荷重はかからず、じっくり割れたものです。cの状態のフィレットに繰返し荷重がかかるとうろこ状の組織が潰されbの写真に示した縞組織になります。 参考までにコネクタで発生したはんだ割れを写真e、fに示します。フィレットのはんだ量は少なく、はんだ割れに敏感になっているのが分かります。使用中に繰り返し荷重がかかった縞組織が確認できます。 2.対 策 コネクタのように人間の力が頻繁に作用する箇所は、はんだ付け部に繰り返し荷重が作用することは避けられません。したがって、はんだ付け作業は手抜きが許されない箇所になります。 (1)はんだ付け部の表面の清浄性の確保。 (2)温度管理の徹底。 (3)フラックス及びはんだバスの管理の徹底。 (4)リードの高さの確保。 (5)長いリードをカットした場合は、必ず再はんだ付けを行う。 (6)再はんだ付けの時のコテの形状、温度、はんだ付け時間などの適正作業の遂行、特にはんだが十分凝固するまでははんだ付け部は動かさない。 (7)はんだ付け後のフィレットの良否をチェック。 なお、このような箇所のはんだ付けは、アッセンブリの中でも強度的にはんだ割れの多発する箇所でもあるので、設計者は自ら現場に足を運んで実務者の意見に耳を傾け、自らコテを持ってはんだ付けしてみることは大切です。    

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Q20 ICのはんだ付け部で割れが市場で発生しました。設計等に生かしたいと思いますのでポイントを教えて下さい。

ANSWER 1.観察のポイント ①基板の反り。 ②放熱板の基板への固定状態。 ③ビスによる放熱板への固定の状態。 ④ICの接着の状態。 ⑤ICのはんだ付け部のランドの大きさ。 以上のポイントが挙げられます。 はんだ付け前に放熱板とIC一式を基板のランド穴に挿入し、ボンドを介して写真aに示したようにICと放熱板を1本のビスで固定しています。放熱板にタップをたててねじを切り、そこに直接ビスで止めていますが、スプリングワッシャー、ナットは使用されておりません。時計回りの力により、ビスを境として右側の放熱板が強く基板面に押し付けられ、これが噴流はんだ付け時の熱で緩む原因となってしまいます。放熱板の基板への固定は、2つの端子を噴流はんだ付けで行なっていますが、写真aの左側の放熱板の端子は写真cに示したように大きく割れ、フィレットの高さも低く、はんだ量も少なくなっています。これに対し右側の端子は写真dに示したように、やに入りはんだで修正され、はんだの量も十分あってはんだ割れは確認できません。 ICのはんだ付け部は写真bに示したように13箇所あり、左側のフィレットほど割れは顕著なのが特徴です。割れは繰り返し荷重がかかった形跡はなく、時間をかけて割れた様相を呈しています。ICのはんだ割れを写真e、fに示します。フィレットの大きさからすると、写真eのフィレットより写真cのフィレットの方が大きく、それだけに写真cの端子のはんだ付け部は強度があるはずですが、実際にはcの割れ(割れという隙間)が最も大きい状態になっています。 2.発生のメカニズム 放熱板のビス止めの固定方法が適切でなかったために、噴流はんだ付けの熱影響で放熱板と基板とが緩むきっかけができてしまいました。噴流はんだ付け後、作業者はこの箇所のはんだ量が少ないことの持つ重要性を認識していなかったために、追いはんだを行う意識もありませんでした。これに対し写真dの端子は作業者の目から明らかに修正しなければならないはんだ付け不良が確認されたので、作業者は修正のため追いはんだを行っています。(やに入りはんだの修正ではんだ量が少ないと割れが起きます) 製品使用中にICが発熱し放熱板と基板の押さえ部が一層ゆるんで、左側の端子から割れが開始して、次にICのはんだ付け部に割れが転じ、さらに進行した訳です。 3.対 策 発熱する部品のはんだ付け部は強度低下の危険性を常にはらんでいます。この熱をいかに逃がすかは回路設計を含め重要になります。今回のはんだ割れは根本的には放熱板の固定の方法に欠陥があり、さらに作業者がはんだ付け性の持つ重要性を認識していなかった点にあります。 見直す点は以下の通りです。 (1)放熱板の大きさ、形状、底面の機械加工の精度(バリは厳禁)。 (2)基板への固定方法。 (3)放熱板へのICの固定方法。 (4)ランドの大きさとその導体巾(放熱効果) このような事故を未然に防ぐためには、作業者のはんだ付け作業の重要性の認識、技量、集中力が要求されます。 特にはんだ付けでは、やに入りはんだによる追いはんだを実行することで強度が確保されます。      

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Q19 電気めっきのはんだ付け部で、はんだはじきが発生しました。どのような原因なのか教えて下さい。

Answer 1.観察のポイント 写真aは、噴流はんだ付け後のはんだはじき(dewetting)を起こした外観です。さらに拡大したのが写真bで、この写真では小さな黒い斑点が無数観察できます。 写真cは未使用のめっき表面で、特に異常は確認できませんが、拡大すると写真dとなり、噴流はんだ付け後の顕微鏡写真と黒い斑点が一致します。 めっきの状態が悪いと写真eに示したようにガスが発生して界面に空洞を作ります。このような状態になっているめっき部を加熱すると、めっき部が溶融する前に写真fに示したように剥がれることがあります。 参考までに、噴流はんだ付けで発生したはんだはじきを写真gに示します。はんだはじきはパッド表面の酸化、汚染などにより発生したものです。 本はんだ付け部では、針状結晶が観察されています。この状態を写真hに示します。この針状結晶は、はんだバスの銅分の溶け込みが多くなると多発します。 2.予想される不具合 市場の温度サイクル、振動などによりはんだ剥がれが起きます。 3.原因と対策 はんだはじきはもともとめっきの状態が悪かったことに起因しています。これは一連のめっきの前工程の脱脂、酸洗い、洗浄などの不備、めっき工程では浴の老化が挙げられます。まれに素材の品質が悪い場合も起きることがあります。 実装ラインですずめっき、はんだ合金めっきの表面が白あるいは鼠色に変色している場合は、はんだはじきが予想されます。 4.めっき良否の判別法 抜き取りでリード線をめっき部にはんだ付けして引き剥がしてみます。簡単に剥がれた場合、同じ箇所を再度新しいリード線をはんだ付けして剥がしてみます。簡単に剥がれれば、めっき不良となります。剥がれなければ1回目のはんだ付け作業のミスとなります。 めっき不良の場合は地肌が出るまで砂消しゴムでこすって、その箇所にはんだ付けをします。室温に冷却した後、一般には引き剥がすのが困難になるほどしっかり付いています。これを判断基準とします。 めっき部の1回目のはんだ付けで、判断基準の強さが得られれば良い訳ですから、めっきメーカーに対して、この方法で満足しためっき品を納入していただくようにします。 この判別法は設備を必要とせず、手軽でしかも正しい判断ができます。電気めっき、無電解めっきに応用できます。 この方法で簡単にはんだ付け部が剥がれる場合は、市場においてもはんだ剥がれの事故が起きます。すずめっき、金めっき、はんだめっき、銀めっきに適用できます。  

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