カテゴリー別アーカイブ: やに入りはんだ付け編Q16-18

Q18 クリンチしたはんだ付け部がモールド樹脂の中で導通不良になりました。何が原因となったのでしようか?

ANSWER 1.観察のポイント ①写真aに示したように、クリンチの付け根にはんだ割れが確認できる。 ②樹脂がリードの下で確認できる(写真a)。 ③フィレットは良好。 ④写真bに示したように、リードの表面状態は良好。 ⑤フィレットの状態も良好。 ⑥樹脂が存在している(基板上の部品は全数全体が樹脂の中に埋まっている)。 ⑦不具合品は全ピンで割れが発生(写真以外の情報)。 ⑧QFPは割れは発生していない(同上)。 2.原因と発生のメカニズム 当該不具合部品の手はんだ付けは大変良好です。部品リード部に欠陥はありません。スルーホールの状態の代表的な写真を写真cに示します。スルーホール内は外観で予想したとおりはんだ付け時の欠陥はなく良好です。 写真cの特徴はリード近辺に割れが発生していて、スルーホールの内壁の部分と比較すると結晶が大きく成長している点にあります。これは静荷重が作用した時に見られる結晶の粗大化現象です。 シリコン樹脂、エポキシ樹脂などでアッセンブリ全体を埋め込んだ(ポッティング)時に起きやすく、事例も比較的多い方です。ポッティングした樹脂が固まるときに収縮しますが、この時の力が部品を押さえ、その力がフィレット中のリードをずらします。はんだと接触しているリードの表面の摩擦熱が、はんだの組織を大きくします。 例えば、人差し指を反対の手で握ります。次に、強く握ったまま人差し指を抜こうとします。そうすると、人差し指の表面と手のひらの内側は次第に熱くなります。しがし、手の平は熱くなっても手の甲はけっして熱くなりません。フィレットに静荷重が作用した場合は、これと全く同じと考えることができます。 図aはポッティングした時の状態、図bはポッティング後硬化した状態を示します。仮に溶剤が 50%とした場合、斜線の部分の樹脂分が収縮して部品を押さえる力として作用します。 本件の場合、部品の下にも別の樹脂が付けられています。使用環境で温度サイクルがかかると、ここの樹脂により膨張収縮が起こります。さらにポッティング材の収縮の力も作用します。写真cに見られるように、膨張収縮の力で部品のリードが広がり、ポッティング材の収縮する力でリードが押し下げられてはんた割れにつながっています。 3.対策 ①ポッティングをコーティングに変更する。 ②部品を表面実装用とする。

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Q17 QFPの手はんだ付け及び修正での注意点を教えて下さい。

ANSWER 1.観察のポイシト QFP、SOPの流しはんだ付けはブリッジが多発しやすく、はんだ付けでは難しいクラスになります。 はんだ付け後の不良事故には、ポストフラックスを併用したために発生した絶縁不良があります。ポストフラックスを予め塗っておいてからはんだ付けを行うと、バックフィレットの形成も良く、はんだ付け不良は激減します。 反面、ポストフラックスの量を管理しないと、パッケージの下に入り込み、さらにリード間でまたがることがあると、IPAが残留して絶縁不良を招きます。 IPAの絶縁抵抗値は1×10の8乗Ωで、これはマイグレーションが発生する領域です。 IPAをガラス面に垂らして放置すると、液滴は広がりアルコール分が蒸発します。この時、気化熱がガラス板と直上の空気を冷やして結露します。これは肉眼でもはっきり観察できます。ポストフラックスとやに入りはんだのフラックスが混じると、活性剤の量は増加し、例えRMAのポストフラックスであっても残渣中のハロゲン含有量は増加することになります。 はんだ付け時はフラックスは高温となり、次に冷却が開始されると、吸湿しながら室温に戻ります。フィレットの表面にあったIPAは蒸発するが、蒸発は表面から起こるので、残留フラックスの表面は固形分の多い層になり、これがフラックス内部のIPAの蒸発を阻害してIPAと水分とが残留する状態になります。 この水分は徐々に活性剤を分解してイオン物質を作り始め、これが絶縁不良となって、時にはマイグレーションに発展することがあります。やに入りはんだのフラックスがRMAの特性であっても、ポストフラックス(RMA)の添加によりフラックス残渣がRAに化けてしまいます。はんだ付け後このような認識がないと、「無洗浄タイプのやに入りはんだとポストフラックスだから問題はない」と言う甘い考えになります。QFPが登場したころは事故が多発し、ポストフラックスの併用は少なくなりましたが、海外では併用していることがあります。 一般にRMAは無洗浄タイプ、RAは洗浄タイプです。 2.対策 2.1 後付け ①やむを得ず使用する場合は、ポストフラックスの塗布量と塗布位置を規定し、パッケージの下に廻らないようにする。筆ペンタイプで塗布すると量は安定する。 ②適したやに入りはんだを選定し、ポストフラックスは使用しない。 ポストフラックスを使用しない場合は、Cカットのコテを用いフラックス含有量が3%以上のやに入りはんだを採用します。はんだの供給量とこて先のクリーニングを管理することにより、0.25ピッチの流しはんだまでは可能です。普通、捨てランドを基板側に用意しますが、Cカット面が捨てランドの働きをして、余分なはんだを吸収してくれるので、ブリッジが発生しにくくなります。 2.2 ブリッジの修正 Cカットのコテの面をブリッジしている箇所に当てます。ブリッジのはんだが溶融するのを確認して、やに入りはんだをブリッジの上に差します。差し終かっとらすぐコテの面の後ろを上げて、ここに溶融はんだを呼び込みます(自然とこの空間に流れこみます)。そのままコテを抜くとCカット面にブリッジのはんだが吸い取られます。写真bのようなブリッジは右から1つずつブリッジを外します。

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Q16 黄銅のリードをスルーホールにはんだ付けしたのですが、なぜ導通不良を起こしたのでしょうか?

ANSWER 1.観察のポイント ①写真bの白色部ははんだの断面で、スルーホールの内壁には良くはんだが濡れている。 ②スルーホールの上万分け黒くなっており、黄銅のリード表面に濡れた形跡がある。 ③スルーホールの黒い部分には矢印の箇所にブローホールが確認できる。 ④スルーホールの中央下手分けはんだの表面が光沢がある。 ⑤スルーホールの中央上下を挟んで断層が確認できる。 ⑥フラックス残渣が確認できない。 2.原因と発生のメカニズム 黄銅は銅の約1/3の熱伝導率である点を注目すると、黄銅側の熱不足が十分理解できる状態の写真です。この写真bからも分かるように、黄銅側にはほとんどはんだが濡れていない状態です。 ここのはんだ付けではコテをランドとリードに当て、はんだを差しました。溶融はんだはスルーホールの銅の内壁を走るようにして流れています。ところが、黄銅に接した溶融はんだは熱を奪われて急激に温度を下げ、推定ですが黒色部の最下部は(写真bの断層部)、183℃にまで下がっているはずです。ここで溶融はんだは流れを停止し、はんだ付けが終わっています。 さらに加熱を続けていれば、写真の小さなブローホールが気泡としてブッブツと溶融フィレットから逃げ、次に写真中央部の断切部がブローホールになり、溶融しているフィレットから空気中に逃げているはずでしょう(写真b)。フラックスが存在しているとQ5の写真bの状態になります。 本写真ではフラックス残渣が確認できません。顕微鏡試料を研磨した後、超音波洗浄しますがこの時にフラックス残渣は除去されたためです。 3.対策 コテの容量を大きくして(20W→40W→60W)コテの温度降下を防止します。ワット数が小さいとコテの温度降下は避けられません。次に、コテはリードに優先的に当て少しはんだを供給します。熱不足ですと少量のはんだは固まります。熱不足かどうかのタイミングを計るために少量のはんだを差す訳です。はんだが固まらなければやに入りはんだを供給します。 最終的に部品側のリードにフィレットが形成されないと、スルーホールの内部では本不具合の写真断面の状態になってしまいます。フィレットの外観で判断する基準は図a、bに示したようになります。図aが良くて、図bが悪いのはこのような理由からです。この判断基準はやに入りはんだに限らず、すべてのはんだ付け作業に適用されます。 しかし、アッセンブリによっては、部品側のはんだ上がりが部品の下で観察できない場合があります。はんだ付けの良否が確認できないはんだ付け作業は、事前の調査で徹底的にはんだ付け条件を確立しておかなければなりません。 BGAのはんだ付けの評価は難しいとされていますが、BGAのはんだ付けが登場する以前から、見えない箇所のはんだ付けの実績はすでに行われていたのです。 図bの状態は熱不足のはかに、はんだ付け部の酸化、腐食、異物の付着でも発生します。そのつど幅広い観察で判断し、改善しなければなりません。

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