カテゴリー別アーカイブ: リフローはんだ付け編Q1-5

Q5 TSOPのはんだ付け部で割れが発生しました。調査の仕方を教えて下さい。

1.観察のポイント 調査アッセンブリの外観を写真aに示します。基板の反りは写真bに示したようにありません。搭載されているQFPのはんだ付けは写真c、dに示したように、バックフィレットも良好に形成されています。その他の部品も同様に初期はんだ付け不良はありませんでした。 以上のことから、使用した基板は良好で、部品についてはリード先端のはんだ上がりが多少気になる程度で、全体的にはんだ付けにかかわる欠陥はありません。また、使用したクリームはんだも良好で、リフロー炉温度条件も適切と判断できます。 写真eは調査はんだ付け部周辺の状態です。写真fは割れを起こしているリフローソルダリング部ですが、割れに結びつくはんだ付け欠陥はありません。両端のパッド面積を広く取り、TSOPのはんだ割れに対するパッド設計の配慮もされています。 写真gは、はんだ割れを起こしたりード全体の外観を示します。全リードで割れを起こしているのが特徴です。写真hは当該TSOPを側面から観察した写真で、パッケージの膨らみはなく、はんだ割れ側か浮いている状態も確認できません。 割れを起こした箇所を拡大して観察すると、チェッカーピンがリードを2度直接刺し、その圧痕も深く、フラックス残渣の破損も著しいのが特徴です。正常品はフラックス残渣に亀裂がなく力が作用した跡は確認できません。写真iに示したようにはんだ割れ部の残渣の亀裂は著しい。 2.原因と発生のメカニズム 回路設計、部品、基板、はんだ付け条件など適切で、アッセンブリ上にはゴミなどの異物はほとんど確認できず、実装ラインの技術は高いレベルにあります。今回のはんだ割れについては、チェッカーピンを直接リードに刺したのが原因になります。これだけの実装技術のあるリフローソルダリングなので、目的があって2度チェッカーピンを立てたものと推察します。 傷跡が深く鋭い状態からしますと、この条件でピンを立てれば、当該はんだ付け部に限らず、ほとんどのはんだ付け部で割れが発生することでしょう。仮にラインで割れが発生しなくても、市場ではんだ割れに至ることは予想できます。 無洗浄の場合、フィレットにチェッカーピンを立てると、フラックス残渣で誤判定を起こすことがあります。しかし、それが原因のはんだ割れは市場では起きないので、ピンを刺す位置には念のため慎重に検討されることを希望します。  

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Q4 リフロー後チップコンデンサが割れましたはんだ付け技術に問題があるのでしょうか?

1.観察のポイント 写真のようなチップ割れははんだ付けとは関係なく、部品そのものに起因しています。チップを構成する材料の欠陥が主因になっています(写真a、b)。 この場合もアッセンブリ全体のはんだ付け性は良好で、他の部品にはんだ付け不良は発生していません。本はんだ付け部でもパッドの濡れ性は良好で、使用されたクリームはんだのはんだ付け性は良好でした。フィレットの肌も光沢があり、表面に残留しているフラックスの状態も透明で、オーバー加熱の様相はありません。はんだボールはありますがチップ割れとは関係はありません。 左右両パッドの位置のずれもなく、リフローの温度プロファイルもこのチップに関してはミスはありません。 チップ電極は酸化されていますが、チップコンデンサの酸化としては一般的なレベルと言えます。 しかし、電極表面には半球の突起が多数確認できます。これはチップのはんだめっき前の状態に欠陥があったことが想定できます。ただし、これが直接チップ割れには関係ありません。 割れを起こした箇所を観察すると、破面のはんだは鋭いエッジになっているので、凝固した後で割れが発生したことになります(チップ内部の水分による蒸気爆発で、しかもフィレットのはんだが溶融状態で発生すれば、はんだ付け部周辺に微小はんだボールが多数確認されるはずです)。 割れた箇所の樹脂がめくれるような形態(樹脂が膨張したからめくれるようになっている)をしているのは樹脂そのものの変形であって、単に水蒸気爆発を起こしただけではこのような変形はありません。樹脂の変形は樹脂そのものの組成に関係すると判断します。 部品の樹脂が原因の不具合は、樹脂に侵入した水分が原因の場合、樹脂を構成する成分の偏析が原因の場合、気泡(空洞)の介在が原因の場合、樹脂の内部応力が原因の場合、あるいは写真c、dに示したように製造工程で付加された外力が原因の場合があります。 〈参考〉マナー 母親の胎内から赤ちゃんはこの世に生命が授けられます。同じようにリフロー炉からフロー槽からあるいは電気コテからアッセンブリは生命を授けられます。チップ部品と言えども血の通った生き物です。私達は血の通った生き物を世の中に送り出しているのです。そして、私達の生活はその上で成り立っています。  

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Q3 セラミック基板ではんだ割れが発生しました。どのような因子が作用したのでしよう か?

1.観察のポイント ①写真aに示したように部品の傾きは大きい。 ②写真aに示したように、基板の隅に部品が配置されている。 ③写真bに示したように、フィレット側のはんだ破断面が鋭い。 ④写真bではリードの厚みの約1/2ははんだが濡れていない。 ⑤写真bに示したようにリードの上にもはんだは上がっている。 ⑥写真bに示したように、フィレットのかかとの部分の肌が粗れている。 ⑦写真cではフィレットとリードの相対的位置関係からすると、リードは右にずれている。 2.原因と発生のメカニズム セラミックは熱容量が大きいために温度が上がりにくく、温度が上がるとさめるのに時間がかかります。本はんだ付け部は基板の外側に位置しており、温度上昇は写真aに示したように右側のリードが早く、不具合を起こした側は遅れています。 写真bから分かることは、割れが発生する直前にはリードはすでに浮いている状態になっていたということです。 ここでセラミック基板の性質から、写真aの右側のリード側は先にはんだが溶けますが、普通のガラエポ基板のようにピーク温度領域に入って基板が急に温度が上がるのではなく、徐々に上がります。 そして、炉がピーク温度から冷却が開始されても、急激に温度が下がるのではなく徐々に下がるので、冷却過程に入ってもはんだの濡れは持続しています。そしてクリームの量は多く、当然フラックスの量も多かったので、はんだの濡れは持続することになります。 一方、写真aの左のリード側は温度上昇が遅れて到達温度も低くなるので、ピーク温度が過ぎると凝固の体勢に入ります。その時点では右側のリードはまだ濡れを続行しています。ここではピークゾーンを過ぎても、溶融はんだはリードの上部にさらに這い上がりながら、リードをパッド側に引きつけるので、部品は徐々に傾くようになります。反対側は凝固直後ですが、ほとんど強度はありません。 そして割れが発生したことになります。 この過程が分かったのは写真bのフィレットのかかとの部分が粗れていること、そして左側がこれほど派手に割れたにもかかわらず、右側のフィレットが何もない綺麗な肌をしていたことに気付いたからです。 左側のフィレット全体はリードの先端の温度が低く、かかとの部分が最後に固まっています。本来かかとの部分はフィレットの強度を確保すべき所でもあるのですが、凝固直後であったために強度がないことを証明しています。 最終的に右側のリードは凝固しますが、フィレットのはんだ量が多いことから、凝固時の体積変化で(収縮力で)、割れてからもさらに左側を持ち上げていることが想定できます。 3.対策 セラミック基板は熱容量が大きいために、温度上昇は遅れ、加熱時の温度差はガラエポ基板より顕著に出ます。それだけに均一加熱と均一冷却がより求められるから温度プロファイルを再検討しなければなりません。さらに治具を作って基板の外側の温度上昇を押さえます。例えば金属ブロックを配置することによって内側と同じ温度上昇にになるよう検討する、などです。 同時に、リードの酸化対策、クリームはんだの合金成分の見直しなど、1つひとつの因子を潰すことを実施しなければなりません。                

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Q2 はんだ付け後の外観で温度を知ることはできるのでしょうか?

写真aは、携帯電話に搭載されていたQFPのリード表面です。本リードには90Sn-10Pbが表面にめっきされています。この組成のはんだの凝固混度は183℃になります。写真bの矢印1で示した箇所は綺麗な肌をしています。これはフラックス作用を受けた時のはんだの溶融状態になります。したがって、ここは183℃よりは高い湿度です。 これに対して、矢印2で示した箇所は酸化物の下であっても、溶融した跡が確認できます。合金組成からここが183℃になります。   同様に写真cはチップ部品の電極部の状態です。これもはっきりと温度を見ることができます。このような現象はSn-Pb合金にのみに限定されます。微小部分の温度測定は、熱電対の線をセットしただけで、加熱時には熱が奪われ犬変難しいと言えます。 願わくば、表面実装部品のはんだ付け部はすべてSn-Pb系の表面にしてほしいものです。 (※1998年初版発行の文章をそのまま掲載しております)  

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Q1 はんだ付け後の外観ではんだ割れの危険性のある個所を予測できないでしょうか?

  1.観察のポイント フラックス残渣は力に対してはんだより敏感に反応します。フィレットのはんだは金属ですが、粘土のような性質があるので、力が作用して少々伸びても変形は観察できません。ところがこれに密着したフラックス残渣は軟化温度より低温ではほとんど伸びません。 したがって、はんだのわずかな伸びに対して追従することができず、簡単にクラックの発生につながります。 写真aはQFPのはんだ付け部で発生したフラックス残渣のクラックで、右から2番目のリードに顕著に出ています。この箇所を側面から観察したのが写真bになりますが、リードが浮いた状態が確認できます。 写真cはQFPのリードの端の近辺です。この写真の右端と4番目とを比較すると、右端ほどフラックス残渣のクラックの程度はきつくなっています。フラックス残渣のクラックの発生の位置は3番目と4番目に興味ある現象が顕著に出ています。それはリードのかかと部のクラックが著しいという点です。これはリードのはんだ付け部ではフィレットのかかとから力が作用し、この部分で変形を来しているという事実です。       2.原因と発生 では、なぜここでこのような力が作用するかになります。 QFPの樹脂に内在した力がリフロー炉の中で開放し、それが市場でさらに長い期間を経て開放したことによります。 これを解析するには中性子ラジオグラフィーの手法で、QFPの製造時の金型に侵入して行く樹脂の挙動を解析しなければ分かりません。 TSOPのリードのはんだ割れが多いのは、金型の薄い空間を樹脂が圧入される時の挙動(金型と樹脂の界面で発生する摩擦)がQFPより一層不確定なためと考えます。 参考までに写真dはポリエステル樹脂の内部空洞で、この組織からしても空洞部周辺の樹脂が収縮した状態を示しています。したがって、圧力で成形された樹脂及びその中の密閉空間は、膨張しようとする力をもっていることが容易に分かります。圧力の高い樹脂の一部或いは空間がリフロー炉で膨張してもおかしくありません。薄い空間に粘性の高い樹脂をきちんと入れる場合、他のどこよりも角の部分は強い力が必要となります。このような理由でパッケージの角は暴れやすく動きやすい状態にあるので、この箇所がはんだ割れに敏感になります。 写真eはパッケージ内部の空洞です。 写真fもパッケージ内部で発生したクラックです。 写真9は電解コンデンサの底部の樹脂のクラック群です。 写真hは微小ですが、矢印に示した箇所で気泡跡が確認できます。 このように、パッケージ樹脂の内部に欠陥があると、はんだ付け部に作用してはんだ割れの原因となります。写真i、jはパッケージ樹脂が原因で発生した割れです。 3.対策 はんだ量が少ないのもはんだ割れを加速したことになります。リフローソルダリング後は写真i、jで示した箇所のはんだ付け部は、これらの箇所を重点的に検査しはんだ量が少ない場合は追いはんだをして補強します。また、設計に際してはパッドの面積を大きく取ってはんだ量を増し、強度を確保しなければなりません。

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