Q12 4層基板のDIPはんだ付けが上手にできません。何が間違っていたのでしょうか?

ANSWER

1.観察のポイント

①写真a、bにはんだ付け後の外観を示す。

②フラックス残渣が多い。

③残澄の色が全体的に同じ状態で濃い。

④はんだクズも存在。

⑤基板が写真cに示したように破損している。

⑥ランドの銅が露出している。

⑦フィレットの表面は光沢がある。

⑧噴流はんだ付けのフィレットは正常に形成されている。

⑨リードは良く濡れている。

2.原因と発生のメカニズム

フラックス残渣の色はほぼ同じ色調をし、はんだクズは酸化されてなく綺麗な肌をしているから、コテ先温度は管理されています。フラックスの飛散はありますが、残渣の透明度からフラックスに異常は確認できません。基板の破損の状態からコテ先は最も一般的な形状が使用されていると推定できます。

コテを持ってはんだ付けすれば分かりますが、少々コテに力を入れて基板に当てると思ったより簡単に基板は破損するものです。

使用したはんだ、ランド、部品リードは、いずれも正常で問題点は見当たりません。4層基板になると熱容量が大きく、なかなか温度が上がりません。本基板のランド径は4層基板の割には小さく、コテの伝達面積が減少して熱効率が悪い状態になっています。

このように熱効率が悪い状態のはんだ付け部ではいかに確実に温度を上げるかが大切になります。温度が上がらなければフラックスがスルーホールに入るわけがありません。

ランドAに供給した熱はスルーホール内を伝わりランドBに伝達される。

ランドBの位置で130℃以上の温度に上かっていないとフラックスは流れない。

フラックスBはリードに熱が奪われ、いっそう温度が下がってしまう。このような状態になると、これ以上の量のフラックスはスルーホールに入れることはできない。

フラックス中のロジンが完全溶融して速やかに流れる温度は約130℃以上です。したがって、スル一ホ-ルの中をフラックスが通るには、スルーホールの出口である基板裏面のランドの温度がこの温度以上でなければならないのです。そして初めてフラックスがスルーホール内ではんだ付け性のために効力が発揮できることになります。はんだ付けはまずはんだ付け部に確実にフラックスを供給すること、次に、はんだが溶けて少なくとも流れやすくなる220℃の温度に、リードもスルーホールも速やかに上げることです。 220℃以上に速々かに温度が上がらないと、今度はフラックスが焦げ付いて粘性を高め、狭いスルーホールの中で溶融はんだの侵入を阻止することになります。

最初にやに入りはんだを供給した特にフラックスがスルーホールに入らないと、その後何度供給してもスルーホールにフラックスは入っていきません。この時基板を破損する結果となります。

ランドにはんだが十分まわらないのは、ランド径が小さすぎてコテ先が確実に当たらなかったためです。

 

3.対策

①ランドにコテが確実に当たる形状のコテ先を選定する。

②コテ先をクリーニングしたのを確認してからランドとピンにコテを当てる(子熱)。

③やに入りはんだのフラックスがスルーホールに入りやすい角度ではんだを供給する。

④設計変更をしてランド径を大きくする。

この時の温度、時間、はんだの供給角度などは事前に練習用基板でマスターしておかねばなりません。このように作業してもはんだ付け性はバラつくので、無洗浄タイプのポストフラックスをはんだ付け部に付けます。
IPAは蒸発させます。付近にチップ抵抗があると、アルミナから電極が剥離することがあるので、温風加熱によるIPAの蒸発には十分注意しなければなりません。

以上の作業は高度の技術と不具合に対する知識を理解した作業者でなければなりません。また、常に体調が良くなければ、難しい箇所のはんだ付けでは神経を集中し維持できません。これはうっかりミスにつながり、はんだ付け不良に気付かずに次工程にアッセンブリは移動してしまいます。

 

〈参考〉設計者の心得

設計とは理屈を並べれば頭の中でいくらでも物は作れます。頭と現場とに開きがあると、設計ミスは社内では生産性が劣って経費がかかる程度ですみます。しかし、市場で不具合が発生すると、製品の機能がなくなるばかりか、家が燃え、人身事故を招き、あるいは地域住民全体に迷惑をかけることにもなります。

多少はできますが、生産技術は無理難題を解決してくれる部署ではありません。それよりも作業者が楽に、しかも確実に作業ができよう配慮する心に設計者としての実力が伺えるものです。

 

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