Q15 社内ではんだ付け部で割れが発生し、原因が分からず現在も出ています。どのような方法で調査したらよいでしょうか?

ANSWER

1.観察のポイント

不良解析の中には独自に調査したにもかかわらず、原因が分からないで訪ねてくる場合があります。大変ご苦労されて解析調査を進められた様子が、レポートの厚さで分かるというものです。そして多くの場合、自ら調査した内容の説明から入ります。

ところがこちらとしては現物を見ていないので分かりません。誤った方向に打ち合わせが進む恐れがあり時間もムダになるのは言うまでもありません。不良解析は現物を観察することがすべてのスタートになります。

割れは簡単に考えれば隙間ができる現象、隙間を挟んで上が動いたか下が動いたか、あるいは右側が動いたか左側が動いたかのいずれかです、その力を探せばよい訳で、不良解析では比較的楽なタイプになります。

「割れの解析はその隙間の中を観察するのが鉄則」です。これまでの経験で解析のために実体顕微鏡を覗いていた時間は早くて3分、最も長いので7時間、平均30分位です。

実体顕微鏡で観察する時間を5分ほど戴いて別室に行き、3分位で出てきて、「原因が分かりました。はんだが固まらないうちに、作業者がはんだ付け部を動かしています」「作業者の癖ですからいますぐ確認をとったらいかがでしょうか」

10人中10人までがびっくりして、「自分たちは1ヶ月以上かけて訓査したが分からなかった。どうしてそんなに簡単に分かるのか」と言います。

では、なぜそんなに簡単に分かるのかを説明します。

※図bはSnPb系はんだのデータで、SnAgCu合金の場合は違った温度、強度となります。

2.原因と結果

調査は観察から始まります。観察の中から発見と疑問が生じます。それを裏付けることになります。今回の件は割れの中にフラックスが入っていたからすぐ分かったのです。フラックスの温度による状態の変化は図aの通りです。温度によるはんだの強度の変化を図bに示します。

図a及び図bの関係を理解すれば、初期はんだ割れの原因を見つけるのはそれほど難しくありません。 ただ、肉眼では割れの中を確認できないだけに実体顕微鏡は必要になります。

蛇足ですが、初期はんだ割れが起きた温度が183℃でより高いか低いかの程度であれば、実体顕微鏡で判断できます。 183℃より高い温度でははんだはまだ液体なので、図cに示したようにフラックスの作用で破断した面は滑らかになっています。ところが183℃より低い温度では、はんだは凝固しているので、破断した面は図dに示したように引きちぎられた凹凸の形状をしています。したがって、ここに角度を微妙に変えて光を当てると、凹凸部で乱反射するので、白く見えます。

次に、図aからフラックスの性質ではんだ割れの判別の仕方がある程度分かります。

①割れの中にフラックスが十分人っていれば、はんだ付け直後に発生。

②割れの中にフラックスが少し入っでいれば(フラックスの軟化で少し侵入)、使用環境温度が80℃前後の温度の時に発生。ただし時聞かかかります。

③割れの中にフラックスが全く入っていなければ、温度とは関係なしに機械的に割れが発生したことになります。

フラックス残渣は不良解析をする上では大変ありかたい存在です。例えば、はんだが割れる前に先にフラックス残渣に亀裂が入ります。このことについてはクリームはんだ付け編で説明します。

フラックス残渣が洗浄されますと、これらの観点から判断できなくなりますので、フラックス残渣は無洗浄の方がよろしいかと言えます。

洗浄しても割れが確認できれば、判断できないという訳ではありません。それは割れの中のフラックス残渣は洗浄が完璧とはならないので、少し残留しているからです。超音波で洗浄されるとお手上げで、観察に膨大な時間を要することになります。

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