Q16 黄銅のリードをスルーホールにはんだ付けしたのですが、なぜ導通不良を起こしたのでしょうか?

ANSWER

1.観察のポイント

①写真bの白色部ははんだの断面で、スルーホールの内壁には良くはんだが濡れている。
②スルーホールの上万分け黒くなっており、黄銅のリード表面に濡れた形跡がある。
③スルーホールの黒い部分には矢印の箇所にブローホールが確認できる。

④スルーホールの中央下手分けはんだの表面が光沢がある。

⑤スルーホールの中央上下を挟んで断層が確認できる。

⑥フラックス残渣が確認できない。

2.原因と発生のメカニズム

黄銅は銅の約1/3の熱伝導率である点を注目すると、黄銅側の熱不足が十分理解できる状態の写真です。この写真bからも分かるように、黄銅側にはほとんどはんだが濡れていない状態です。

ここのはんだ付けではコテをランドとリードに当て、はんだを差しました。溶融はんだはスルーホールの銅の内壁を走るようにして流れています。ところが、黄銅に接した溶融はんだは熱を奪われて急激に温度を下げ、推定ですが黒色部の最下部は(写真bの断層部)、183℃にまで下がっているはずです。ここで溶融はんだは流れを停止し、はんだ付けが終わっています。

さらに加熱を続けていれば、写真の小さなブローホールが気泡としてブッブツと溶融フィレットから逃げ、次に写真中央部の断切部がブローホールになり、溶融しているフィレットから空気中に逃げているはずでしょう(写真b)。フラックスが存在しているとQ5の写真bの状態になります。

本写真ではフラックス残渣が確認できません。顕微鏡試料を研磨した後、超音波洗浄しますがこの時にフラックス残渣は除去されたためです。

3.対策

コテの容量を大きくして(20W→40W→60W)コテの温度降下を防止します。ワット数が小さいとコテの温度降下は避けられません。次に、コテはリードに優先的に当て少しはんだを供給します。熱不足ですと少量のはんだは固まります。熱不足かどうかのタイミングを計るために少量のはんだを差す訳です。はんだが固まらなければやに入りはんだを供給します。

最終的に部品側のリードにフィレットが形成されないと、スルーホールの内部では本不具合の写真断面の状態になってしまいます。フィレットの外観で判断する基準は図a、bに示したようになります。図aが良くて、図bが悪いのはこのような理由からです。この判断基準はやに入りはんだに限らず、すべてのはんだ付け作業に適用されます。

しかし、アッセンブリによっては、部品側のはんだ上がりが部品の下で観察できない場合があります。はんだ付けの良否が確認できないはんだ付け作業は、事前の調査で徹底的にはんだ付け条件を確立しておかなければなりません。

BGAのはんだ付けの評価は難しいとされていますが、BGAのはんだ付けが登場する以前から、見えない箇所のはんだ付けの実績はすでに行われていたのです。

図bの状態は熱不足のはかに、はんだ付け部の酸化、腐食、異物の付着でも発生します。そのつど幅広い観察で判断し、改善しなければなりません。

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