Q2 大きなランドの脇の小さなランドで、はんだ量が少なくなるのはなぜでしようか?

ANSWER

■  1.観察のポイント

写真aは大きなランドと小さなランドがちようど綱引きをしている状態です。大きなフィレットには噴流はんだ槽で発生した酸化物が挟まっていて(写真b、c)、フィレット表面のフラックス残置は少ないのが特徴です(不良解析ではこのような問題個所で異物が確認された場合、基板の前面をくまなく探すことが大切です。どこかしらに必ずと言ってよいほど存在しているものです)。

この箇所はフラックスが多ければはんだは切れて、フィレットの異物も存在していなかったことが予想されます。図に描いたように2つのフィレットは、はんだバスから出る瞬間は1つのフィレットの形態をとっています。さらにはんだバスから出ると、2つのフィレットの間に存在しているはんだは、両方のフィレットから引っ張られることになりますが、当然大きなフィレットの方が強い力で引きます。そして、次にはんだバスから最後に離れる箇所、すなわちリードの先端から余分なはんだははんだバスに戻ります。この時、フラックスの量が少なくなるとツノが発生します。このようにして、写真dの小さなフィレットのはんだが少なくなります。

写真eの場合、クリンチ側で穴あきが発生しています。この箇所はほぼ同じ大きさなので引く力のバランスは保たれています。フラックス残渣も少なくありません。では、なぜ力の均衡が崩れたのでしょうか。

2.発生のメカニズム

写真fは、クリンチしているランド穴の内部を観察したものです。穴の内部にフラックス残渣が多量に残留しているのが確認できます。このフラックスははんだ付け時にガスを噴出していました。この力でランドの上にある溶融はんだは穴から押し出される状態になっています。 しかも、クリンチしたりードの先端は、捨てランドの方向に向いているので、はんだは捨てランド側に移動しやすくなっています。はんだバスからアッセンブリが出る時に、捨てランドは溶融はんだを引く状態になっています。この時、穴の内壁のフラックスがガスを多量に噴出し、はんだを外に押しやります。すなわち、捨てランドが溶融はんだを引き、クリンチの後方からガスがはんだを押し出して穴あきとなりました。

本来ならブリッジが発生してもおかしくないのですが、この周辺はフラックスが多かったことにより、はんだの切れが良くブリッジに至りませんでした。写真eも大きなフィレットに引かれてはんだ量が少なくなったものです。

大きなランドが小さなランドのはんだを引き寄せる力を応用したのが「捨てランド」になります。

捨てランドはSOPやQFPの噴流はんだ付けに限らず、やに入りはんだの流しはんだ(引きずりはんだ)にも広く採用されています。しかしせっかくの捨てランドも以上のような認識がありませんと、写真gのように効果がなくブリッジが発生することになります。

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