Q5 ハトメした箇所のはんだ付けは、割れに強いのでしょうか?

1.観察のポイント

写真a、bに示したように、ハトメはフライバックトランスのように発熱し強度も要求される箇所に使用されます。

ハトメを行えば、はんだ割れは起きないという保証はありません。

写真c、dはハトメ部ではんだ割れを起こした状態を示します。使用環境は家庭内で静置状態で使用され、特に落下あるいは強い衝撃はありません。それでもはんだ付け部で割れは確認できます。

割れの状態も、写真dではハトメ金属に添って亀裂が横に走り、写真eに示したようにフイレットの矢印の箇所から放射線上に少なくとも4つの割れが確認できます。

2.原 因

ハトメのはんだ付け部の割れの原因は、ハトメ工程で発生した残留応力の開放によります。いずれの写真の割れでは導通不良には至っていません。 しかし、仮にハトメ金属の表面が酸化及び腐食があったにもかかわらず、作業者が気付かなければ、はんだ付け時に侵入したフラックスが酸化物に付着残留し不具合に至らないとも限りません。

3.対 策

一般に市場でのはんだ割れをみると、噴流はんだ付けが最も多く、次にリフローソルダリングで、やに入りはんだによるコテ付けは少ない接合方法です。前二者はアッセンブリが全体加熱で、溶融はんだが凝固するまで徐冷されるため、フイレットの組織が脆弱になるのに対し、コテ付けはほとんど瞬間的に凝固するために組織が緻密になっているからです。はんだ付け経験者であれば、噴流はんだ付けより100℃以上高い温度で作業をしても、コテを抜いたと同じくらいにはんだが凝固するのを経験しています。

はんだ付けの基本を習得し、噴流はんだ付け後さらに盛りはんだを行って、フイレットの高さと量を確保すれば強度は十分得られます。ただし、回路設計でランド面積が小さな場合はこの限りでありません。

残留応力については、ハトメ後で噴流はんだ付けする前に、残留応力を除去する熱処理を行えば(旧MIL-F-28809)起きませんが、実際にはどこも行っていません。それははんだ割れが起きていても導通不良には至らないからと.思われます。

確実にハトメ部をはんだ付けするのであれば、噴流はんだ付け後やに入りはんだで再度はんだ付けを行えば信頼性は高くなります。

ハトメにより金属破片が発生することがあるので、基板面に限らず作業場の整理、整頓、清掃は常に心掛けねばなりません。

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