Q6 チップのはんだ付け部で未はんだが発生しました。原因と対策を教えて下さい。

1.観察のポイント

1.1 熱不足について

未はんだは、溶融はんだがパッド(ランド)に接触しない現象です。写真aに示したように、未はんだ箇所を上から観察すると、パッドの銅が露出してはんだは付いていません。チップ固定のボンドがはみ出てパッドにかぶっています。

ボンドからは、溶剤がガス化して出ます。

リード先端にはフラックスが残留しているのが確認できます。写真bに示したように、側面から観察すると一部はんだがリード上部に付いています。

矢印の箇所には、気泡が確認できます。

1.2 基板に対するはんだの当たりが弱い

写真cに示した未はんだは基板搬送コンベアの爪の付近に搭載され、周辺には部品が存在していません。野原の一軒家のような配置にあるので、部品配列にかかわる問題はなく、ガスがたまりやすいこともなく、大きな部品の影でもありません。

写真dに示したようにこの未はんだの箇所ではリードがわずかに浮いて、フラックス残渣が多く存在しています。リードにははんだは濡れていません。基板に噴流はんだが接触していれば、フラックスは押しのけられているはずですし、当然リードには一部でもはんだが濡れているべきです。このことから、噴流はんだが接触しにくい状態にあったことが推定できます。

2.発生のメカニズム

ポストフラックスは固形分(一般にはロジン)と溶剤分(IPA)で構成されています。ロジン分は活性剤と比較し熱伝導が悪い性質があります。溶剤は蒸発しますが、蒸発は沸点以下の湿度では表面から起こり、沸点以上の温度で初めて内部から蒸発が起こります。

アッセンブリが予熱ゾーンに侵入すると、フラックスは表面から蒸発が起こるので、表面層は固形分が多くなって、熱を遮断する作用があります。フラックス中のIPAが蒸発しきれずに、はんだバスに侵入すると、一気にガス化か起こり、多量のガスが空間を作って溶融はんだのパッドヘの接触を阻害し、熱の伝達も阻害します。

IPAは沸点83℃で約160カロリーの気化熱を必要とします。熱伝達の悪い状態の中、さらにIPAの蒸発でパッドから熱を奪い、フラックスが多くなると一層熱不足になります。

IPAの冷却についての例ですが、病院で注射を打った後、看護婦さんからIPAを含んだ脱脂綿を渡されて揉みます(IPAは殺菌作用がある)。この時、スーつとして冷やされるのを誰もが体験しています。実は同じ現象が基板のパッド部でも起き、はんだ付け部の温度を下げる結果になります。

本アッセンブリ全体を見ると、はとんど支障なくはんだ付けされています。未はんだはこの周辺に限定して4点確認されている点を考慮すると、熱不足と噴流はんだの接触不十分の相乗作用で未はんだに至ったことが推定できます。

基板に対するはんだの当たりが弱かった点については、実装ラインで次の点をチェックしなければなりません。

①噴流の高さが低い。(一次噴流のノズルのつまり)一次噴流は予熱作用があります。

②搬送の爪が高くセットされていたかどうか。

③搬送爪に異物が付着していたために、基板が上がる状態になっていなかったか。

④部品の配列により溶融はんだがパッド面に到達しない。

3.原 因

考えられる原因としては次の事柄が挙げられます。

①熱不足。

②はんだの当たりがが弱い。(発生ガスによる空洞化、基板の傾き、基板の反りなど)
③前記①②の総合作用
4.対 策

噴流はんだ付けで注意することは多量のガスが発生するということです。主な発生源はフラックス中のIPA、固形分、チップ固定のボンド、基板スルーホール、基板の打ち抜き穴、基板表面、はんだ寸け部の酸化、及び汚れなどが挙げられます。

そこで、はんだバスに入るまでいかにガス分を抜くことができるかがポイントになりますが、発生ガスを皆無にすることはできません。

対策としては回路設計、フラックス、噴流装置の管理の徹底、とに分けられます。まず、回路設計の見直しは、部品の大きさ、高さ、部品間スペースなどがあり、部品の密集箇所でのガス抜き穴の検討など、実装現場の設計に対するフィードバックは大切になります。

管理の見直しは、チップ固定ボンドを打つ位置、量、とそれらのバラツキ、予熱(コンベア速度、設定温度)条件の検討、一次噴流の高さの見直し、同ノズルの穴の掃除の徹底などが挙げられます。

はんだの基板への当たりは次のようにチェックします。

2次噴流の落とすスピードを速くします。基板面と噴流面とに傾きがなければ、基板面全体からフラックスが洗い流されて噴流面から落ちます。

一方、噴流面に対して基板が傾いて搬送されると、浮いている側の基板面からはフラックスは流れ落ちないか、流れ落ちても、少ないかのいずれかです。この場合、全面からフラックスが流れ落ちるように、基板搬送コンベアの爪の高さを調整します。

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