Q7 はんだ付け前にリードを曲げていますが大丈夫でしょうか?

ANSWER
1.観察のポイント

①リード表面の色調及び傷。

②フラックス残渣の位置。

③フラックス残渣の色。

④フラックス残渣の形状。

⑤他の箇所のはんだ付けの状態

以上のポイントが挙げられます。

写真aは基板と部品のサイズが合わないため、リードを曲げて挿入した状態です。丁寧にしかも正確に曲げたことが伺えます。(リード表面に必要外の工具の当たり傷はない)

写真bははんだ割れを起こしたフィレットの外観です。写真cは曲げた部分の拡大ですが、ここにポストフラックスの残渣が確認できます。基仮面のフラックス残渣とリードに付着しているフラックス残渣は、位置関係からもともと一体だったことは容易に想像できます。それがリード側と基板側とに分かれたことになります。

普通熱形響かありますと、フラックス残直は色が濃くなり褐色を呈してきます。本フラックス残渣の色調では使用環境の熱影響を受けた形跡はありません。

基板側のフラックス残渣の破面を見ますと、割れた時のままの状態を保っています。このことはポストフラックス中のIPAが蒸発していたことになります。 IPAが残留していればこのような鋭い破面は見られず、フラックス残渣の破断箇所はだれてしまいます。

写真cではリード線に付着しているフラックス残直にはっきりした亀裂が確認できません。フラックスが付いている部分を急激に曲げますとフラックス残渣に亀裂が入ります。それがないことはゆっくり時間をかけて力が作用したことになります。フラックス残渣が基板側とリード側に分断されていることは、はんだ付け直後はフラックスは一体だったはずです。この隙間だけリードが動いたことになります。このフラックスの亀裂はとりもなおさず、はんだ付け後当該部品のリードで力が作用したことを証明するものです。

リードの表面ははんだ付け性に支障を来すほど酸化はされていません。写真ではリードの上部に褐色系統の斑点が見えますが、これは部品表面の塗料の色が写っているためです。

噴流はんだ付けの状態は写真dに示したようにランドの外周で不濡れを起こしはんだはじきも確認できます。この点を考慮すると、基板保管の問題も懸念されますが、基板の作りは少々雑であることが分かります。このように不濡れとはんだはじきがあったにもかかわらず、はんだ割れやはんだ剥がれがこのフィレットで発生しなかったのは、基板、はんだ、フラックス、装置、保管等の因子はなかったと判断できます。

使用環境の因子が原因ですと、はんだ量の少ないフィレットに集中することが想定できます。本アッセンブリでは、ほかのフィレットにも同様のはんだはじきが発生していますが、割れは起きておりません。

写真では分かりにくいですが写真dの中央のレジスト部表面のフラックス残渣に黒い微小異物が確認できます。これは発泡槽の管理不備によるものです。

写真eにランド外周部の不濡れを示します。写真fのフィレットに赤い色の異物が確認できます。

これははんだ付け前の部品のリードに赤い色の異物が付着していたことによります。同様に写真eのりードにも緑色の異物が付着していました。

実装ラインで部品を入れているケースの中に部品といっしょにこれらの異物が混入していたことが推定できます。

不具合と直接関係はありませんが、前出の発泡槽の汚れ及びフィレット上の異物の状況を検討しますと、本不具合アッセンブリを生産した当時の静止はんだバスのラインの管理は必ずしも良いとは言えません。

2.発生のメカニズム

実装ラインでは手慣れた作業でリード線を曲げて(或いはすでに曲げてある)基板に挿入し、普通通り作業を行っております。噴流はんだ付けも異常なく完了しました。

市場で徐々にリードの曲げ部の残留応力が開放して、割れに至っております。

3.対 策

基板に示したようには面積的にゆとりがありますので、部品の配置変更を行ってリードを曲げないで基板に挿入できるようにしなければなりません。

また、止む得ず曲げなければならない場合は、当該リードのような直角に曲げるのではなく、緩やかに曲げて残留応力を押さえるようにします。噴流はんだ付け後はやに入りはんだで再はんだ付けを行って強度を確保します。

〈参考〉「写真の構図について」

写真fはフィレットが斜めに写っています。このような写し方は悪い例です。写真撮影を行う場合、構図が悪いと見る人によっては写真から引き出すたくさんの情報を見落とすことにもなりかねません。見やすい写真を撮るには画面の中央に観察する箇所が写るように配置します。

次に、写真が出来上がった時に基板面が水平になるようにカメラのアングルを決めます。そのことにより、例えばリードが曲がって挿入されたかどうかが分かるというものです。

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