Q7 なぜチップの脇にボールが発生するのでしょうか。

1.観察のポイント

〈疑問-1〉

リフローはんだ付けは、クリームはんだを印刷した箇所ではんだが溶けて固まる接合方法です。その際、印刷したはんだの一部が別の場所に移動してしまうということは何が原因でしょうか。あるべき場所から離れて存在するということは、当然、力がはんだ粉に作用したことになります。

〈疑問-2〉

それでは、なぜ、チップの脇に存在しなければならないのか。単に、力だけならどこにでもはんだの粉は移動するはずです。力以外に何かはんだボールの発生の場所を指定するのでしょうか。

この2点を解き明かすことにより、チップ脇のはんだボールの撲滅が可能となります。

〈疑問-1について:関与した力とは〉

発生する力を列挙すると次の通りです。

①部品の自重。

②フラックスから発生するガス。

③クリームはんだから流れ出るフラックス。

④チップの電極を溶融はんだが上がっていく時の濡れの力

⑤溶融はんだがチップの電極に濡れることにより、チップがパッド側に引き寄せられる力。

⑥印刷したクリームはんだの高さが約1/2になる時に生ずる落差。

⑦はんだの粉が凝集する時の力

⑧マウントした時のクリームはんだに対するチップの圧力

⑨セルフアライメントの力

〈疑問-2について:チップ脇に限定した因子とは〉

①熱の伝達の順位。

②それにともなう時間差。

③方向性を決定付ける溶融はんだの壁

〈その他の因子〉

①チップ電極の酸化。

②パッド面積。

③パッド表面の酸化、異物の付着。

④パッドのはんだレペラーの量。

⑤クリームはんだの印刷量。

⑥メーカーによるクリームはんだの違い。

⑦印刷時の吸湿、酸化などによるクリームはんだの劣化。

2.原因と発生のメカニズム

図aはクリームはんだを印刷した後、チップをマウントした状態を示します。マウントの力が強ければ印刷されたクリームはんだは多少バラけるようになります。リフロー炉に入ると雰囲気から熱が供給されます。温度上昇は基板より常にチップ部品が早くなります。温度上昇はチップ部品の下が最も遅くなります。

したがって、チップ部品の電極ではクリームはんだと接触している箇所のフラックスが温度上昇をしながら、粘性をより小さくしながら、より温度の高い(粘性を小さくする高温側)電極上部に上がって行きます。そして、クリームはんだは最も温度が高くなるパッドの外側から溶融を開始します。

溶融はんだはチップ部品の電極を上昇し始めると、図bに示したようにここで溶融はんだの壁が形成されます。したがって、未溶融クリームはんだ中のフラックスの動きは、溶融はんだの壁にさえぎられて止まり、それより外にフラックスは流出できません。当然、発生するガスも溶融はんだの壁にさえぎられます。

図cに示したように、クリームはんだの溶融はパッドの内へ内へと進行します。クリームはんだの溶融がパッドの内へ内へと向かうことにより、フラックスも内へ内へと押し出され、ガスも内側へ移動することになります。

チップ部品の下のクリームはんだが溶融を開始すると、クリームはんだは印刷時の1/2になります。

チップ部品の自重及び溶融はんだがパッド側に引きつける力で、電極側面を上昇する溶融はんだは加速されます。

チップが下に降りる力とパッドが溶融はんだを引きつける力で、チップ電極の下で溶融したはんだ

はフィレットになる側に移動します。これがスムーズに行われればはんだボールの発生はなくなるはずです。

ところが、

A:チップ部品の電極が酸化している場合は、電極側面を這い上がることに限界ができ、次に図Cに示した力が発生して、逆にはんだを押し出し出すことになってはんだボールとなります。

B:パッドの一方が早く温度が上がると、先にはんだが溶融したパッドにセルフアライメント効果でチップが引きずられます。この時の力で未溶融はんだが押し出されて溶け、はんだボールになります。

C:クリームはんだのフラックスが気泡を出しやすいタイプでは、未溶融はんだが押し出されて溶け、はんだボールとなります。

D:フラックスの流れる力、発生ガスの勢い、チップ部品がパッドに引きつけられる力などでタイミングが合うと、未溶融はんだが押し出されて溶けはんだボールになります。

E:はんだ量過多或いはパッド面積が少ない場合は、溶融はんだの保有空間が減少することではんだボールが起きやすくなります。

なぜチップ脇にはんだボールの位置が限定されるのかは、以上の説明の通り、クリームはんだがパッドの外側から溶け始めること、そして溶融はんだの壁ができてしまうことによります。

3.対策

チップ脇のはんだボールの発生の原因にはいろいろな因子があり、どの因子が強く出ているかを常に検証しなければなりません。

①設計ではパッドが均一に温度上昇になるよう、熱バランスを考慮してパッドの大きさ、導体の巾及び長さを決める。

②設計ではチップの電極の高さとパッドの面積で得られる溶融はんだを保有する空間(フィレットになる空間)を大きくとる。

③温度プロファイルでは急激な立ち上げをしない。

④クリームはんだを見直す。

⑤印刷の位置及び印刷量を見直す。

⑥マウントの力を調整する。

⑦クリームはんだの印刷時の管理を徹底する。

③チップ部品の酸化の軽減。

 

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