Q9 部品のズレがどうして起きたのでしょうか?

 

 

 

 

 

1.観察のポイント

①4本のリードの表面はいずれも酸化が著しい。

②フラックス残渣のドームは左上が最も大きく、右のリード間に存在しているフラック

ス残渣のドームも大きい。

③フラックス残渣のドームはリードの先端には存在せず、必ずパッケージに接している。

④フラックス残渣のドームの状態からすると、左上のドームは大きくその残渣の皮膜は

薄い。これに対し、写真の矢印部では下のドームは小さくてその残渣の皮膜も厚い。

2.原因と発生のメカニズム

原因は明らかにリードの酸化とフラックスから出るガスであることが分かります。ここのリードの大きさとパッドの大きさを観察すると、左側のリード部はクリームはんだ量は最も多く、パッドの面積も最大です。したがって、この箇所は温度上昇はほかのどのリードより遅く、最後にクリームはんだは溶融しています。最初に溶けた右3本のリードがセルフアライメントの効果で、本部品の位置を決定し、ズレは生じないことになります。ところが、実際にはずれてしまっています。

では、なぜこのようにずれることになったのでしょうか。興味深いのは④で指摘したドームの形態です。ここのフラックス残渣の状態から言えることは、この部品では写真の上側は温度が高く、下側は低い点にあります。上が高くて、下が低くなったのか、結果として温度差が生じています。

部品を支える4本のリードでは、フラックスから発生したガスでドームができ、右3本のリード部は浮き加減となってはんだが溶けているにもかかわらず、フラックスが妨害してリードは濡れません。

部品は傾いてしまったため、確実にパッドにリードが接触していたのは、左側リードの先端の写真では下の部分となります。ここでリードは濡れを開始するようになりました。

この結果、浮き気味たった部品はこの箇所から急激に濡れたことにより、強い力で引き寄せられ、全体的に反時計回りに動いたことになります。

3.フラックス残渣で温度差を読む

本部品のズレのメカニズムはフラックス残渣のドームの大きさとドームの厚みの違いで、リフローソルダリング時に受けた熱が均一ではなかったことに気付いた点にポイントがありました。このことに気付きませんと、温度の低い箇所にリードが引き寄せられたという理由の説明ができないからです。

フラックス残渣の温度による状態の違いは、はんだ付け部のはんだ付け性及び不良の原因を解く上では有力な手掛かりとなります。

生産現場の担当者も、品質管理の担当者も実装にかかわる方は是非フラックス残渣の状態を把握して置いて欲しいものです。

4.対策

リフローはんだ付けではフラックスの作用には限界があります。本部品のリードの酸化状態であっても、これが噴流はんだ付けならば多少カスは付きますがフィレットは形成されます。今後、実装技術は一層高密度化に移行し、リフローソルダリングの精度の要求が高まりますが、部品の酸化の問題を曖昧にしておくと、思わぬ事故を背負い込まないとも限りません。特に鉛フリーはんだでは避けて通れない問題の1つになります。

実装ラインにおいては受入検査と保管管理の徹底が要求されます。

〈参考〉実装ライン

2年後突然ラインを尋ねたらやはり綺麗だった。

現場査察は数えきれないほどしましたが、今でも褒めることはまずない。それが実装現場と言うものとあきらめつつもある。

韓国のチューナーを作っている太峰電子で3年前にセミナーを実施したことがある。広い実装ラインを通って会議室に入り、課長クラスの実務者約20名を対象に講義をした。講義の冒頭、現場の整理整頓が悪く、不必要なものがたくさんあって汚いことを指摘した。少々間をおいて1人の若い課長が席を立って出て行った。

丁度大切な話しをしょうとした矢先だけに、内心ムッとなって後ろ姿を見る。彼は15分ほどで戻ってきて、また着席した。約2時間の講義を終え、再び実装ラインのドアを開けた。

瞬間、我が目を疑った。みんなもびっくりした。

「綺麗だ」

「一体、いつこんなに」

信じられないことは誰でもありますが、今でもあの時の感激が甦ります。

 

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