Q11 不具合ではありませんが、チップ部品が浮いたのはなぜでしょうか?

1.観察のポイント

①写真aで示したようにチップは右側にずれている。

②チップの下の基板面にはシルク印刷がされている。

③全体的にフィレットのはんだ量は少ない。

④電極の表面は酸化されている。

⑤写真bに示したように右側のパッドにつながる回路には、チップコンデンサとチップ抵抗が近距離で接続されている。

⑥反対のパッドでは、少し離れてチップコンデンサが接続され、さらに導体は伸びている。

⑦同パッド部の導体はさらに下に回路が走っている。

2.原因と発生のメカニズム

チップ部品が右側にずれていることは、この場合、右側のパッドが先に温度が上昇し、先にクリームはんだが溶融したことになります。リフロー炉に入ると基板より先にチップ部品が温度が上がります。したがって、右側のパッドはチップコンデンサと抵抗から導体を通じて熱の供給を受けるようになります。これに対し、左側のパッドでは導体の長さが右のパッドより長く、しかも、さらにその下を導体が走っている関係で、むしろパッドの熱は奪われる状態にあります。この関係から右側のパッドのクリームはんだが先に溶融するようになりました。

ここで気になるのがチップの下のシルク印刷です。基板のパッド面を基準にとると、レジスト面はパッド表面より高く、その高いレジストに印刷されているので、引き寄せられると反対側は浮きやすくなります。当該チップが多少浮いているのはシルク印刷の影響はあります。

次にチップかすれている現象については、溶けている箇所に引き寄せられる点を考慮すると、チップ全体では右側にずれ、右側のパッドでは本写真では下側、すなわち手前が最も早く溶けた位置と解釈できます。

フィレットのはんだ量が少ないことは、印刷量が少ないことになります。少ないほど周辺の熱形響か出やすくなるので、回路的に温度上昇に差が生じる場合は、セルフアライメントの効果が出やすくなるはずです。

3.対策

①チップを取り外して、フラックス及びはんだを取り除き、新しいチップをはんだ付けします。

②コンベアスピードを遅くして条件出しをします。

③クリームはんだの量を増やすことで条件出しをします。

④パッド間距離が広すぎます。セルフアライメントで最大ずれても、電極部がパッドに充分載っ

ているようにします。

〈参考〉小さな穴が部品を浮かす

部品の浮きは第一に力が関与しています。その力は些細なものでも、タイミングが合うとまるで倍の効果を出すことがあります。今回の解析内容もこんなに小さな箇所で温度差が生じることは信じられないかもしれません。しかし、チップ部品が小さくなれば、さらに些細な現象が不具合の全体を支配することになります。

写真cはパッド間に小さな穴があいています。この穴は裏面でレジストでクローズになっています。

リフロー炉の中でここに吸湿していた水分が蒸発して、チップ浮きの原因になったものです。吸湿で

あっても汚れがあれば、蒸発は高温側にずれ込みます。水は100℃で蒸発します。だから100℃を通過すれば存在しないと思いがちですが、汚れは蒸発温度を高くする点を認識すれば、例え微小な穴であってもあなどれません。

 

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