Q5 銅スルーホールに黄銅のリードをロボットではんだ付けしたところ穴あきが発生しました。原因が分かりません。

Answer

1.観察のポイント

①導体の広い面積の銅箔にレジストをかけてランドとなっている。

②ランドの形状は四角。

③フィレットからレジスト表面に流れ出たフラックス残渣は広がっているが、フィレットの穴あき部に存在しているフラックス残渣は水飴が中から出てきたような状態をしている。

2.原因と発生のメカニズム

観察のポイントの中ではんだ付不良の原因は、③のフラックス残湾の形態によります。レジスト表面に存在しているフラックス残置は明らかにはんだ付け部から「流れ出た」と言う表現が正しいという状態です。これはランドの表面は適切な温度であったことを証明するものです。これに対し、フィレットの穴の中から出で来たフラックスは「さらっと」としてなく、まるで水飴のような状態です。これはスルーホール内の温度が低かっかことを証明するものです。天然ロジンであれば100℃をわずかに越えた温度かと言えます。

温度が下がった原因には3つの因子があります。まず、①のランドの熱容量が大きい点は温度が上がりにくい結果を招き、②のランド形状が四角であることはコテの当たる面積が狭く、コテの熱が伝わりにくい結果を招きます。これに加えてリードの材質が銅の1/3の熱伝導率を有する黄銅が使用されていた点はリードの温度が上がりにくいことを意味しています。温度が上がりにくい材質と言うことは熱をどんどん奪うことになります。

ロボットが起動してランドの上にコテが降りてくるのと同時に、やに入りはんだがコテに供給されます。コテの温度は十分高いため、フラックスは流れ出てレジスド面に移動します。さらにはんだが

供給されると、溶けたはんだは銅のランドとリードに触れて、急速に溶融したはんだから、熱を奪います。 溶融はんだはランド表面を濡らし、ついでスルーホールの中に入りますが、黄銅から熱を奪われてしまい、スルーホール内は溶融はんだの凝固体勢に入ります。はんだ付け時間が長ければコテからの熱が連続して供給されるので、再び溶融はんだは温度が上昇してフラックスはフィレットの外に溢れ出ます。本はんだ付けでは、その時間まで加熱が続けられなかったことにより、フラックスがまだ温度が低い状態でフィレットにとどまり、穴あきとなったものです。

3.対策

現状ではコテの当てる位置を変更します。それでも改善できない場合はコテの容量を大きくして、温度降下の防止をします。この2つの因子を基本として、温度とコテの移動速度を振って最適条件を決めます。

本はんだ付け部は基板の回路設計に問題があるから、設計を見直す場合、ランドの熱容量を大きくしないこと、熱の伝達面積をかせぐ上で、レジストの印刷を変更することが挙げられます。

●不具合解析でのポイント‥簡単なことに気付く難しさ

本はんだ付不良の解析では、穴あき部のフラックスの状態がポイントになります。ここのフラックスが温度の低い状態だったことに気付くか否かで決まりました。低い状態であったことに気付いたから、スしーホール内の熱不足が原因と断定できたのです。熱というのは繊細であり魔物です。この箇所のはんだは僅か数ミリの送り量です。その中のフラックスは微々たるものです(はんだ使用量 0.015g、フラックス量 0.000525g)。その微々たる量でこれだけの温度差が生じるのです。

このフラックスの温度による状態の違いについては、はんだ付け作業者であれば誰でも知っていることです。その誰でも知っている現象に気付くかどうかで、今後の生産性が変わるのです。ネタを証せば「なんだぁ」というそれだけのことにすぎません。

This entry was posted in やに入りはんだ付け編Q1-5. Bookmark the permalink.