Q4 リフロー後チップコンデンサが割れましたはんだ付け技術に問題があるのでしょうか?

1.観察のポイント

写真のようなチップ割れははんだ付けとは関係なく、部品そのものに起因しています。チップを構成する材料の欠陥が主因になっています(写真a、b)。

この場合もアッセンブリ全体のはんだ付け性は良好で、他の部品にはんだ付け不良は発生していません。本はんだ付け部でもパッドの濡れ性は良好で、使用されたクリームはんだのはんだ付け性は良好でした。フィレットの肌も光沢があり、表面に残留しているフラックスの状態も透明で、オーバー加熱の様相はありません。はんだボールはありますがチップ割れとは関係はありません。

左右両パッドの位置のずれもなく、リフローの温度プロファイルもこのチップに関してはミスはありません。

チップ電極は酸化されていますが、チップコンデンサの酸化としては一般的なレベルと言えます。

しかし、電極表面には半球の突起が多数確認できます。これはチップのはんだめっき前の状態に欠陥があったことが想定できます。ただし、これが直接チップ割れには関係ありません。

割れを起こした箇所を観察すると、破面のはんだは鋭いエッジになっているので、凝固した後で割れが発生したことになります(チップ内部の水分による蒸気爆発で、しかもフィレットのはんだが溶融状態で発生すれば、はんだ付け部周辺に微小はんだボールが多数確認されるはずです)。

割れた箇所の樹脂がめくれるような形態(樹脂が膨張したからめくれるようになっている)をしているのは樹脂そのものの変形であって、単に水蒸気爆発を起こしただけではこのような変形はありません。樹脂の変形は樹脂そのものの組成に関係すると判断します。

部品の樹脂が原因の不具合は、樹脂に侵入した水分が原因の場合、樹脂を構成する成分の偏析が原因の場合、気泡(空洞)の介在が原因の場合、樹脂の内部応力が原因の場合、あるいは写真c、dに示したように製造工程で付加された外力が原因の場合があります。

〈参考〉マナー

母親の胎内から赤ちゃんはこの世に生命が授けられます。同じようにリフロー炉からフロー槽からあるいは電気コテからアッセンブリは生命を授けられます。チップ部品と言えども血の通った生き物です。私達は血の通った生き物を世の中に送り出しているのです。そして、私達の生活はその上で成り立っています。

 

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Q3 セラミック基板ではんだ割れが発生しました。どのような因子が作用したのでしよう か?

1.観察のポイント

①写真aに示したように部品の傾きは大きい。

②写真aに示したように、基板の隅に部品が配置されている。

③写真bに示したように、フィレット側のはんだ破断面が鋭い。

④写真bではリードの厚みの約1/2ははんだが濡れていない。

⑤写真bに示したようにリードの上にもはんだは上がっている。

⑥写真bに示したように、フィレットのかかとの部分の肌が粗れている。

⑦写真cではフィレットとリードの相対的位置関係からすると、リードは右にずれている。

2.原因と発生のメカニズム

セラミックは熱容量が大きいために温度が上がりにくく、温度が上がるとさめるのに時間がかかります。本はんだ付け部は基板の外側に位置しており、温度上昇は写真aに示したように右側のリードが早く、不具合を起こした側は遅れています。

写真bから分かることは、割れが発生する直前にはリードはすでに浮いている状態になっていたということです。

ここでセラミック基板の性質から、写真aの右側のリード側は先にはんだが溶けますが、普通のガラエポ基板のようにピーク温度領域に入って基板が急に温度が上がるのではなく、徐々に上がります。

そして、炉がピーク温度から冷却が開始されても、急激に温度が下がるのではなく徐々に下がるので、冷却過程に入ってもはんだの濡れは持続しています。そしてクリームの量は多く、当然フラックスの量も多かったので、はんだの濡れは持続することになります。

一方、写真aの左のリード側は温度上昇が遅れて到達温度も低くなるので、ピーク温度が過ぎると凝固の体勢に入ります。その時点では右側のリードはまだ濡れを続行しています。ここではピークゾーンを過ぎても、溶融はんだはリードの上部にさらに這い上がりながら、リードをパッド側に引きつけるので、部品は徐々に傾くようになります。反対側は凝固直後ですが、ほとんど強度はありません。

そして割れが発生したことになります。

この過程が分かったのは写真bのフィレットのかかとの部分が粗れていること、そして左側がこれほど派手に割れたにもかかわらず、右側のフィレットが何もない綺麗な肌をしていたことに気付いたからです。

左側のフィレット全体はリードの先端の温度が低く、かかとの部分が最後に固まっています。本来かかとの部分はフィレットの強度を確保すべき所でもあるのですが、凝固直後であったために強度がないことを証明しています。

最終的に右側のリードは凝固しますが、フィレットのはんだ量が多いことから、凝固時の体積変化で(収縮力で)、割れてからもさらに左側を持ち上げていることが想定できます。

3.対策

セラミック基板は熱容量が大きいために、温度上昇は遅れ、加熱時の温度差はガラエポ基板より顕著に出ます。それだけに均一加熱と均一冷却がより求められるから温度プロファイルを再検討しなければなりません。さらに治具を作って基板の外側の温度上昇を押さえます。例えば金属ブロックを配置することによって内側と同じ温度上昇にになるよう検討する、などです。

同時に、リードの酸化対策、クリームはんだの合金成分の見直しなど、1つひとつの因子を潰すことを実施しなければなりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

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Q2 はんだ付け後の外観で温度を知ることはできるのでしょうか?

写真aは、携帯電話に搭載されていたQFPのリード表面です。本リードには90Sn-10Pbが表面にめっきされています。この組成のはんだの凝固混度は183℃になります。写真bの矢印1で示した箇所は綺麗な肌をしています。これはフラックス作用を受けた時のはんだの溶融状態になります。したがって、ここは183℃よりは高い湿度です。

これに対して、矢印2で示した箇所は酸化物の下であっても、溶融した跡が確認できます。合金組成からここが183℃になります。

 

同様に写真cはチップ部品の電極部の状態です。これもはっきりと温度を見ることができます。このような現象はSn-Pb合金にのみに限定されます。微小部分の温度測定は、熱電対の線をセットしただけで、加熱時には熱が奪われ犬変難しいと言えます。

願わくば、表面実装部品のはんだ付け部はすべてSn-Pb系の表面にしてほしいものです。

(※1998年初版発行の文章をそのまま掲載しております)

 

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Q1 はんだ付け後の外観ではんだ割れの危険性のある個所を予測できないでしょうか?

 

1.観察のポイント

フラックス残渣は力に対してはんだより敏感に反応します。フィレットのはんだは金属ですが、粘土のような性質があるので、力が作用して少々伸びても変形は観察できません。ところがこれに密着したフラックス残渣は軟化温度より低温ではほとんど伸びません。

したがって、はんだのわずかな伸びに対して追従することができず、簡単にクラックの発生につながります。

写真aはQFPのはんだ付け部で発生したフラックス残渣のクラックで、右から2番目のリードに顕著に出ています。この箇所を側面から観察したのが写真bになりますが、リードが浮いた状態が確認できます。

写真cはQFPのリードの端の近辺です。この写真の右端と4番目とを比較すると、右端ほどフラックス残渣のクラックの程度はきつくなっています。フラックス残渣のクラックの発生の位置は3番目と4番目に興味ある現象が顕著に出ています。それはリードのかかと部のクラックが著しいという点です。これはリードのはんだ付け部ではフィレットのかかとから力が作用し、この部分で変形を来しているという事実です。

 

 

 

2.原因と発生

では、なぜここでこのような力が作用するかになります。 QFPの樹脂に内在した力がリフロー炉の中で開放し、それが市場でさらに長い期間を経て開放したことによります。

これを解析するには中性子ラジオグラフィーの手法で、QFPの製造時の金型に侵入して行く樹脂の挙動を解析しなければ分かりません。 TSOPのリードのはんだ割れが多いのは、金型の薄い空間を樹脂が圧入される時の挙動(金型と樹脂の界面で発生する摩擦)がQFPより一層不確定なためと考えます。

参考までに写真dはポリエステル樹脂の内部空洞で、この組織からしても空洞部周辺の樹脂が収縮した状態を示しています。したがって、圧力で成形された樹脂及びその中の密閉空間は、膨張しようとする力をもっていることが容易に分かります。圧力の高い樹脂の一部或いは空間がリフロー炉で膨張してもおかしくありません。薄い空間に粘性の高い樹脂をきちんと入れる場合、他のどこよりも角の部分は強い力が必要となります。このような理由でパッケージの角は暴れやすく動きやすい状態にあるので、この箇所がはんだ割れに敏感になります。

写真eはパッケージ内部の空洞です。

写真fもパッケージ内部で発生したクラックです。

写真9は電解コンデンサの底部の樹脂のクラック群です。

写真hは微小ですが、矢印に示した箇所で気泡跡が確認できます。

このように、パッケージ樹脂の内部に欠陥があると、はんだ付け部に作用してはんだ割れの原因となります。写真i、jはパッケージ樹脂が原因で発生した割れです。

3.対策

はんだ量が少ないのもはんだ割れを加速したことになります。リフローソルダリング後は写真i、jで示した箇所のはんだ付け部は、これらの箇所を重点的に検査しはんだ量が少ない場合は追いはんだをして補強します。また、設計に際してはパッドの面積を大きく取ってはんだ量を増し、強度を確保しなければなりません。

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Q3 基板の機械加工に欠陥があった場合、どのような不具合の原因になるのでしょうか?

1.観察のポイント

基板の機械加工で不具合として問題になるのが、ドリルによる穴あけ加工と金型プレスによる打ち抜き加工の精度です。いずれの場合も実体顕微鏡などによる穴の内壁の観察で、基板の良否の状態を把握することができます。

2.発生と原因

2.1  ドリルによる穴あけ加工

穴あけ後、両面スルーホール基板では無電解の銅めっきがかかります。写真aに示したようにドリルの刃が摩耗していると切れ味が劣り、めっき後は穴の内壁が凹凸になってガラス繊維がばらけます。

このような中にめっき液が浸透しますと、はんだ付け後浸透しためっき液で写真bに示したような腐食が発生します。

拡大した写真cではめっき夜の残留による腐食の激しさが分かります。 この断面の状態を写真dに示しますが、ばらけたガラス繊維の中に浸透しためっき液で、1本のガラス繊維の表面に銅がめっきされているのが分かります。

写真dの無電解銅めっきの厚さと写真bを比較すると分かりますが、写真dのスルーホール内はめっき厚が均一になっているので不具合にはならないでしょう。

2.2 金型プレス加工

せん断加工による破断切り口を図aに示します。

基板も同様の形態をとります。金型プレスで打ち抜いた場合、一見切断面は綺麗な状態と思いがちですが、実際には写真e、fのように切断面付近は著しい破壊跡が観察できます。

 

 

一般に間隙部は吸湿しやすく、乾燥しにくい箇所でもあるのて、吸湿により絶縁不良の原因にもなります。それだけに基板の良否は穴の観察が最優先になります。

写真gは、実体顕微鏡で普通に撮影したものです。なんの変哲もない穴ですが、光源を基板の下にして観察すると、写真hに示したクラックが観察できます。 このクラックは、レジストで発生しています。

穴あけによって発生したクラックが、仮に別々の導体に達していれば、穴を介して2つの導体間でリーク現象が起きることが考えられます。過去に恐らく、このようなクラックが原因の絶縁不良の事故は、あったものと推定します。このような現象を認識していませんと、原因不明で片づけられてしまいます。

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Q2 基板の表面処理に欠陥があった場合、どのような不具合の原因になるのでしょう?

A 1.観察のポイント

基板の信頼性は機械加工の精度とイオン物質の残留が重要な因子になっています。イオン物質はエッチング後の洗浄不足及びめっき処理後の洗浄不足にり、基板のパッド面、レジストの下の素材面、スルーホール或いはバイアホールの中に存在します。金めっきの場合、イオン物質は下地のニッケルめっきの界面にも残留します。

基板の製造では洗浄作業が重要な工程になります.スルーホール或いはバイアホールのような箇所は特に洗浄性が悪い箇所になります。これらの穴の内部は新鮮な水が通過して初めて洗浄ができます。

確実に洗浄水を通過させることはかなりの技術が要求されます。

2.発生と原因

2.1.エッチング液の残留

写真aの左側はエッチンダ後の洗浄不足で銅の変色した基板を示します。これを5%の硝酸溶液で超音波洗浄を行ったものが右側の基板になります。エッチング~洗浄~乾燥の工程後、そのまま10日位放置すると変色として目に付くようになります。ところが、乾使後はプリフラックスがコートされ、防湿効果でイオン物質が残留していても変色として確認できなくなります。これが実装ラインでリフローした場合、1回目の加熱で頑固な化合物となって、2回目のリフローで不濡江の主な原因になります。エッチンダ液として塩化第二鉄を使用した場合、残留した塩化第二鉄は酸化して酸化鉄となり、これがはんだ付け不良の原因とされています。

エッチング液として塩化第二銅を使用した場合は、残留してもはんだ付け不良にはなりません。それはステンレスのはんだ付け用フラックスの原料として塩化第二銅が使用されているからです。はんだ付け性は問題ありませんが、絶縁不良の事故は多々あります。

2.2 めっき液の残留

めっきとはめっき液の中で金属が析出する現象です。したがって、微視的にはめっき金属が析出する過程でめっき液を取り込むことはさけられません。写真Cはゴミの上にめっきされたものです。不具合として持ち込まれた中でめっきのトラブルで特に多いのは金めっきです。金属の中でもとりわけ金は抜群の耐食性があるので、少々めっき液が残留しても腐食としてめっき表面に現われません。それだけに洗浄がおろそかになるようです。金めっきの洗浄不足を起こす工場は、洗浄に対する認識に欠けているためか、前工程のニッケルめっきでも同じように洗浄不足を起こしている場合があります。

それがはんだ付け時の剥がれとして事故に発展します。

金めっきのパッドにはんだ付けした時に、簡単に剥がれることがある場合は、洗浄不足か密着不良のいずれかです。剥離面は麦藁色、褐色、紫などさ様々な色をしています。写真d、eは剥離の状態を示したものですが、ニッケル面の変色が著しいことが分かります。 これを約1000倍に拡大したのが、写真fになります。化学的に腐食していることが分がります。EPMAで元素分析をすると、図a、bで示したようにP(リン)とCo(コバルト)が検出されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金めっき基板では基板の銅箔の上に無電解銅めっき、ニッケルめっき、金めっきの順に3回めっきされます。過去に銅箔と無電解銅めっき、銅めっきとニッケルめっき、ニッケルめっきと金めっきのそれぞれの界面で剥離する不具合を経験しています。

これらのめっき液がスルーホール或いはバイアホール内に残留したのが原因で腐食を起こした事例もあります。

事故が発生した場合、クリームはんだ或いはやに入りはんだのフラックスのバラツキと誤解されることも珍しくありません。

今後、高密度でさらに穴の距離が狭くなります。写真g、hに示したように穴が近接していると、

基板内に浸透したエッチング液或いはめっき液などが使用環境の温度変化で膨張収縮し、亀裂が2つのスルーホール間で発生し、やがて貫通して絶縁不良の事故に発展することもあります。

不具合の事例で最も多いのは基板の穴あけ加工が悪く、洗浄不足が重なった場合です。はんだ付け技術の重要性を認識していないメーカーの基板に多いのが特徴です。大手のメーカーであっても油断して事故を出すことはけして珍しくありません。それだけ基板の製造は大変難しいと言っても過言ではないのです。

こうことは実装現場においても、基板メーカー同様その重要性を認識しておかなければならないことになります。


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Q1 基板樹脂の成分のバラツキがあった場合、どのような不具合になるのでしょうか?

ANSWER

1.観察のポイント

実装現場の立場から基板が原因の不具合を大別すると次の3項目に分類できます。

①樹脂の組成のバラツキ

②基板の機械加工(ドリル加工、金型プレスによる打ち抜き加工)

③表面処理後の洗浄不足(エッチング、めっき)

実装現場では、プリント回路基板の樹脂分の組成が原因の不具合を事前に感知することはほとんど不可能な状態です。一般的な銅積層基板の欠陥には、基板の樹脂内部の組成のバラツキ、脱泡不備による気泡の残留、銅箔を素材樹脂板に張り合わせる時のエアーの巻き込み、異物の巻き込みなどがあります。

 

2.発生と原因

写真aは、パターン間隙が0.2mmのガラスエポキシくし形基板を電圧印加耐湿性試験を実施した時のマイグレーションです(条件は60℃、95%RH、DC50V、1000Hr)。

拡大写真を写真bに示します。また、CuKα像(銅の面分析)を写真cに示します。写真dはマイグレーションの断面を撮影したものです。この箇所の銅の面分析の結果を写真eに示します。くし形基板のパターン間隙で成長したマイグレーションの銅が明瞭に確認できます。

写真fはBr(臭素)の分布を観察したものですが、高濃度のBrがマイグレーションの下で確認できます。マイグレーションの発生がなかった筒所の断面のCuKα像を写真gに示しますが、銅箔の断面がよく分かります。

これに対して同じ箇所の臭素の面分析を写真hに示しましたが、高濃度のBrが基板内部に存在していることが分かります。この臭素の化合物が難燃材として基板のエポキシ樹脂に添加されたものです。均一にミキシングされなかったためにマイグレーションの発生の原因になりました。

 

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Q21 ジャックのはんだ付け部で割れが発生しました。どのような点に注意してはんだ付けしたらよいでしょうか?

ANSWER

1.観察のポイント

ジャックのように使用者が頻繁に力を加えるような箇所は、構造的に力がはんだ付け部にかからない設計にしなければ、どのような方法ではんだ付けをしても保証できません。写真aは外観を示し、写真bはそのはんだ付け部の割れの状態で、フィレットに縞組織が確認できます。

噴流はんだ付けではアッセンブリ全体が加熱されるので、やに入りはんだの場合と異なり、冷却に時間がかかってフィレットの組織は、写真cに示したように魚のうろこのように大きくなります。この状態のフィレットに力が作用すると、写真dに示したように魚のうろこが剥がれるような状態から割れが発生します。写真dは繰返し荷重はかからず、じっくり割れたものです。cの状態のフィレットに繰返し荷重がかかるとうろこ状の組織が潰されbの写真に示した縞組織になります。

参考までにコネクタで発生したはんだ割れを写真e、fに示します。フィレットのはんだ量は少なく、はんだ割れに敏感になっているのが分かります。使用中に繰り返し荷重がかかった縞組織が確認できます。

2.対 策

コネクタのように人間の力が頻繁に作用する箇所は、はんだ付け部に繰り返し荷重が作用することは避けられません。したがって、はんだ付け作業は手抜きが許されない箇所になります。

(1)はんだ付け部の表面の清浄性の確保。

(2)温度管理の徹底。

(3)フラックス及びはんだバスの管理の徹底。

(4)リードの高さの確保。

(5)長いリードをカットした場合は、必ず再はんだ付けを行う。

(6)再はんだ付けの時のコテの形状、温度、はんだ付け時間などの適正作業の遂行、特にはんだが十分凝固するまでははんだ付け部は動かさない。

(7)はんだ付け後のフィレットの良否をチェック。

なお、このような箇所のはんだ付けは、アッセンブリの中でも強度的にはんだ割れの多発する箇所でもあるので、設計者は自ら現場に足を運んで実務者の意見に耳を傾け、自らコテを持ってはんだ付けしてみることは大切です。

 

 

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Q20 ICのはんだ付け部で割れが市場で発生しました。設計等に生かしたいと思いますのでポイントを教えて下さい。

ANSWER

1.観察のポイント

①基板の反り。

②放熱板の基板への固定状態。

③ビスによる放熱板への固定の状態。

④ICの接着の状態。

⑤ICのはんだ付け部のランドの大きさ。

以上のポイントが挙げられます。

はんだ付け前に放熱板とIC一式を基板のランド穴に挿入し、ボンドを介して写真aに示したようにICと放熱板を1本のビスで固定しています。放熱板にタップをたててねじを切り、そこに直接ビスで止めていますが、スプリングワッシャー、ナットは使用されておりません。時計回りの力により、ビスを境として右側の放熱板が強く基板面に押し付けられ、これが噴流はんだ付け時の熱で緩む原因となってしまいます。放熱板の基板への固定は、2つの端子を噴流はんだ付けで行なっていますが、写真aの左側の放熱板の端子は写真cに示したように大きく割れ、フィレットの高さも低く、はんだ量も少なくなっています。これに対し右側の端子は写真dに示したように、やに入りはんだで修正され、はんだの量も十分あってはんだ割れは確認できません。

ICのはんだ付け部は写真bに示したように13箇所あり、左側のフィレットほど割れは顕著なのが特徴です。割れは繰り返し荷重がかかった形跡はなく、時間をかけて割れた様相を呈しています。ICのはんだ割れを写真e、fに示します。フィレットの大きさからすると、写真eのフィレットより写真cのフィレットの方が大きく、それだけに写真cの端子のはんだ付け部は強度があるはずですが、実際にはcの割れ(割れという隙間)が最も大きい状態になっています。

2.発生のメカニズム

放熱板のビス止めの固定方法が適切でなかったために、噴流はんだ付けの熱影響で放熱板と基板とが緩むきっかけができてしまいました。噴流はんだ付け後、作業者はこの箇所のはんだ量が少ないことの持つ重要性を認識していなかったために、追いはんだを行う意識もありませんでした。これに対し写真dの端子は作業者の目から明らかに修正しなければならないはんだ付け不良が確認されたので、作業者は修正のため追いはんだを行っています。(やに入りはんだの修正ではんだ量が少ないと割れが起きます)

製品使用中にICが発熱し放熱板と基板の押さえ部が一層ゆるんで、左側の端子から割れが開始して、次にICのはんだ付け部に割れが転じ、さらに進行した訳です。

3.対 策

発熱する部品のはんだ付け部は強度低下の危険性を常にはらんでいます。この熱をいかに逃がすかは回路設計を含め重要になります。今回のはんだ割れは根本的には放熱板の固定の方法に欠陥があり、さらに作業者がはんだ付け性の持つ重要性を認識していなかった点にあります。

見直す点は以下の通りです。

(1)放熱板の大きさ、形状、底面の機械加工の精度(バリは厳禁)。

(2)基板への固定方法。

(3)放熱板へのICの固定方法。

(4)ランドの大きさとその導体巾(放熱効果)

このような事故を未然に防ぐためには、作業者のはんだ付け作業の重要性の認識、技量、集中力が要求されます。

特にはんだ付けでは、やに入りはんだによる追いはんだを実行することで強度が確保されます。

 

 

 

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Q19 電気めっきのはんだ付け部で、はんだはじきが発生しました。どのような原因なのか教えて下さい。

Answer

1.観察のポイント

写真aは、噴流はんだ付け後のはんだはじき(dewetting)を起こした外観です。さらに拡大したのが写真bで、この写真では小さな黒い斑点が無数観察できます。

写真cは未使用のめっき表面で、特に異常は確認できませんが、拡大すると写真dとなり、噴流はんだ付け後の顕微鏡写真と黒い斑点が一致します。

めっきの状態が悪いと写真eに示したようにガスが発生して界面に空洞を作ります。このような状態になっているめっき部を加熱すると、めっき部が溶融する前に写真fに示したように剥がれることがあります。

参考までに、噴流はんだ付けで発生したはんだはじきを写真gに示します。はんだはじきはパッド表面の酸化、汚染などにより発生したものです。

本はんだ付け部では、針状結晶が観察されています。この状態を写真hに示します。この針状結晶は、はんだバスの銅分の溶け込みが多くなると多発します。

2.予想される不具合

市場の温度サイクル、振動などによりはんだ剥がれが起きます。

3.原因と対策

はんだはじきはもともとめっきの状態が悪かったことに起因しています。これは一連のめっきの前工程の脱脂、酸洗い、洗浄などの不備、めっき工程では浴の老化が挙げられます。まれに素材の品質が悪い場合も起きることがあります。

実装ラインですずめっき、はんだ合金めっきの表面が白あるいは鼠色に変色している場合は、はんだはじきが予想されます。

4.めっき良否の判別法

抜き取りでリード線をめっき部にはんだ付けして引き剥がしてみます。簡単に剥がれた場合、同じ箇所を再度新しいリード線をはんだ付けして剥がしてみます。簡単に剥がれれば、めっき不良となります。剥がれなければ1回目のはんだ付け作業のミスとなります。

めっき不良の場合は地肌が出るまで砂消しゴムでこすって、その箇所にはんだ付けをします。室温に冷却した後、一般には引き剥がすのが困難になるほどしっかり付いています。これを判断基準とします。

めっき部の1回目のはんだ付けで、判断基準の強さが得られれば良い訳ですから、めっきメーカーに対して、この方法で満足しためっき品を納入していただくようにします。

この判別法は設備を必要とせず、手軽でしかも正しい判断ができます。電気めっき、無電解めっきに応用できます。

この方法で簡単にはんだ付け部が剥がれる場合は、市場においてもはんだ剥がれの事故が起きます。すずめっき、金めっき、はんだめっき、銀めっきに適用できます。

 

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