Q3 基板の機械加工に欠陥があった場合、どのような不具合の原因になるのでしょうか?

1.観察のポイント

基板の機械加工で不具合として問題になるのが、ドリルによる穴あけ加工と金型プレスによる打ち抜き加工の精度です。いずれの場合も実体顕微鏡などによる穴の内壁の観察で、基板の良否の状態を把握することができます。

2.発生と原因

2.1  ドリルによる穴あけ加工

穴あけ後、両面スルーホール基板では無電解の銅めっきがかかります。写真aに示したようにドリルの刃が摩耗していると切れ味が劣り、めっき後は穴の内壁が凹凸になってガラス繊維がばらけます。

このような中にめっき液が浸透しますと、はんだ付け後浸透しためっき液で写真bに示したような腐食が発生します。

拡大した写真cではめっき夜の残留による腐食の激しさが分かります。 この断面の状態を写真dに示しますが、ばらけたガラス繊維の中に浸透しためっき液で、1本のガラス繊維の表面に銅がめっきされているのが分かります。

写真dの無電解銅めっきの厚さと写真bを比較すると分かりますが、写真dのスルーホール内はめっき厚が均一になっているので不具合にはならないでしょう。

2.2 金型プレス加工

せん断加工による破断切り口を図aに示します。

基板も同様の形態をとります。金型プレスで打ち抜いた場合、一見切断面は綺麗な状態と思いがちですが、実際には写真e、fのように切断面付近は著しい破壊跡が観察できます。

 

 

一般に間隙部は吸湿しやすく、乾燥しにくい箇所でもあるのて、吸湿により絶縁不良の原因にもなります。それだけに基板の良否は穴の観察が最優先になります。

写真gは、実体顕微鏡で普通に撮影したものです。なんの変哲もない穴ですが、光源を基板の下にして観察すると、写真hに示したクラックが観察できます。 このクラックは、レジストで発生しています。

穴あけによって発生したクラックが、仮に別々の導体に達していれば、穴を介して2つの導体間でリーク現象が起きることが考えられます。過去に恐らく、このようなクラックが原因の絶縁不良の事故は、あったものと推定します。このような現象を認識していませんと、原因不明で片づけられてしまいます。

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Q2 基板の表面処理に欠陥があった場合、どのような不具合の原因になるのでしょう?

A 1.観察のポイント

基板の信頼性は機械加工の精度とイオン物質の残留が重要な因子になっています。イオン物質はエッチング後の洗浄不足及びめっき処理後の洗浄不足にり、基板のパッド面、レジストの下の素材面、スルーホール或いはバイアホールの中に存在します。金めっきの場合、イオン物質は下地のニッケルめっきの界面にも残留します。

基板の製造では洗浄作業が重要な工程になります.スルーホール或いはバイアホールのような箇所は特に洗浄性が悪い箇所になります。これらの穴の内部は新鮮な水が通過して初めて洗浄ができます。

確実に洗浄水を通過させることはかなりの技術が要求されます。

2.発生と原因

2.1.エッチング液の残留

写真aの左側はエッチンダ後の洗浄不足で銅の変色した基板を示します。これを5%の硝酸溶液で超音波洗浄を行ったものが右側の基板になります。エッチング~洗浄~乾燥の工程後、そのまま10日位放置すると変色として目に付くようになります。ところが、乾使後はプリフラックスがコートされ、防湿効果でイオン物質が残留していても変色として確認できなくなります。これが実装ラインでリフローした場合、1回目の加熱で頑固な化合物となって、2回目のリフローで不濡江の主な原因になります。エッチンダ液として塩化第二鉄を使用した場合、残留した塩化第二鉄は酸化して酸化鉄となり、これがはんだ付け不良の原因とされています。

エッチング液として塩化第二銅を使用した場合は、残留してもはんだ付け不良にはなりません。それはステンレスのはんだ付け用フラックスの原料として塩化第二銅が使用されているからです。はんだ付け性は問題ありませんが、絶縁不良の事故は多々あります。

2.2 めっき液の残留

めっきとはめっき液の中で金属が析出する現象です。したがって、微視的にはめっき金属が析出する過程でめっき液を取り込むことはさけられません。写真Cはゴミの上にめっきされたものです。不具合として持ち込まれた中でめっきのトラブルで特に多いのは金めっきです。金属の中でもとりわけ金は抜群の耐食性があるので、少々めっき液が残留しても腐食としてめっき表面に現われません。それだけに洗浄がおろそかになるようです。金めっきの洗浄不足を起こす工場は、洗浄に対する認識に欠けているためか、前工程のニッケルめっきでも同じように洗浄不足を起こしている場合があります。

それがはんだ付け時の剥がれとして事故に発展します。

金めっきのパッドにはんだ付けした時に、簡単に剥がれることがある場合は、洗浄不足か密着不良のいずれかです。剥離面は麦藁色、褐色、紫などさ様々な色をしています。写真d、eは剥離の状態を示したものですが、ニッケル面の変色が著しいことが分かります。 これを約1000倍に拡大したのが、写真fになります。化学的に腐食していることが分がります。EPMAで元素分析をすると、図a、bで示したようにP(リン)とCo(コバルト)が検出されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金めっき基板では基板の銅箔の上に無電解銅めっき、ニッケルめっき、金めっきの順に3回めっきされます。過去に銅箔と無電解銅めっき、銅めっきとニッケルめっき、ニッケルめっきと金めっきのそれぞれの界面で剥離する不具合を経験しています。

これらのめっき液がスルーホール或いはバイアホール内に残留したのが原因で腐食を起こした事例もあります。

事故が発生した場合、クリームはんだ或いはやに入りはんだのフラックスのバラツキと誤解されることも珍しくありません。

今後、高密度でさらに穴の距離が狭くなります。写真g、hに示したように穴が近接していると、

基板内に浸透したエッチング液或いはめっき液などが使用環境の温度変化で膨張収縮し、亀裂が2つのスルーホール間で発生し、やがて貫通して絶縁不良の事故に発展することもあります。

不具合の事例で最も多いのは基板の穴あけ加工が悪く、洗浄不足が重なった場合です。はんだ付け技術の重要性を認識していないメーカーの基板に多いのが特徴です。大手のメーカーであっても油断して事故を出すことはけして珍しくありません。それだけ基板の製造は大変難しいと言っても過言ではないのです。

こうことは実装現場においても、基板メーカー同様その重要性を認識しておかなければならないことになります。


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Q1 基板樹脂の成分のバラツキがあった場合、どのような不具合になるのでしょうか?

ANSWER

1.観察のポイント

実装現場の立場から基板が原因の不具合を大別すると次の3項目に分類できます。

①樹脂の組成のバラツキ

②基板の機械加工(ドリル加工、金型プレスによる打ち抜き加工)

③表面処理後の洗浄不足(エッチング、めっき)

実装現場では、プリント回路基板の樹脂分の組成が原因の不具合を事前に感知することはほとんど不可能な状態です。一般的な銅積層基板の欠陥には、基板の樹脂内部の組成のバラツキ、脱泡不備による気泡の残留、銅箔を素材樹脂板に張り合わせる時のエアーの巻き込み、異物の巻き込みなどがあります。

 

2.発生と原因

写真aは、パターン間隙が0.2mmのガラスエポキシくし形基板を電圧印加耐湿性試験を実施した時のマイグレーションです(条件は60℃、95%RH、DC50V、1000Hr)。

拡大写真を写真bに示します。また、CuKα像(銅の面分析)を写真cに示します。写真dはマイグレーションの断面を撮影したものです。この箇所の銅の面分析の結果を写真eに示します。くし形基板のパターン間隙で成長したマイグレーションの銅が明瞭に確認できます。

写真fはBr(臭素)の分布を観察したものですが、高濃度のBrがマイグレーションの下で確認できます。マイグレーションの発生がなかった筒所の断面のCuKα像を写真gに示しますが、銅箔の断面がよく分かります。

これに対して同じ箇所の臭素の面分析を写真hに示しましたが、高濃度のBrが基板内部に存在していることが分かります。この臭素の化合物が難燃材として基板のエポキシ樹脂に添加されたものです。均一にミキシングされなかったためにマイグレーションの発生の原因になりました。

 

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Q21 ジャックのはんだ付け部で割れが発生しました。どのような点に注意してはんだ付けしたらよいでしょうか?

ANSWER

1.観察のポイント

ジャックのように使用者が頻繁に力を加えるような箇所は、構造的に力がはんだ付け部にかからない設計にしなければ、どのような方法ではんだ付けをしても保証できません。写真aは外観を示し、写真bはそのはんだ付け部の割れの状態で、フィレットに縞組織が確認できます。

噴流はんだ付けではアッセンブリ全体が加熱されるので、やに入りはんだの場合と異なり、冷却に時間がかかってフィレットの組織は、写真cに示したように魚のうろこのように大きくなります。この状態のフィレットに力が作用すると、写真dに示したように魚のうろこが剥がれるような状態から割れが発生します。写真dは繰返し荷重はかからず、じっくり割れたものです。cの状態のフィレットに繰返し荷重がかかるとうろこ状の組織が潰されbの写真に示した縞組織になります。

参考までにコネクタで発生したはんだ割れを写真e、fに示します。フィレットのはんだ量は少なく、はんだ割れに敏感になっているのが分かります。使用中に繰り返し荷重がかかった縞組織が確認できます。

2.対 策

コネクタのように人間の力が頻繁に作用する箇所は、はんだ付け部に繰り返し荷重が作用することは避けられません。したがって、はんだ付け作業は手抜きが許されない箇所になります。

(1)はんだ付け部の表面の清浄性の確保。

(2)温度管理の徹底。

(3)フラックス及びはんだバスの管理の徹底。

(4)リードの高さの確保。

(5)長いリードをカットした場合は、必ず再はんだ付けを行う。

(6)再はんだ付けの時のコテの形状、温度、はんだ付け時間などの適正作業の遂行、特にはんだが十分凝固するまでははんだ付け部は動かさない。

(7)はんだ付け後のフィレットの良否をチェック。

なお、このような箇所のはんだ付けは、アッセンブリの中でも強度的にはんだ割れの多発する箇所でもあるので、設計者は自ら現場に足を運んで実務者の意見に耳を傾け、自らコテを持ってはんだ付けしてみることは大切です。

 

 

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Q20 ICのはんだ付け部で割れが市場で発生しました。設計等に生かしたいと思いますのでポイントを教えて下さい。

ANSWER

1.観察のポイント

①基板の反り。

②放熱板の基板への固定状態。

③ビスによる放熱板への固定の状態。

④ICの接着の状態。

⑤ICのはんだ付け部のランドの大きさ。

以上のポイントが挙げられます。

はんだ付け前に放熱板とIC一式を基板のランド穴に挿入し、ボンドを介して写真aに示したようにICと放熱板を1本のビスで固定しています。放熱板にタップをたててねじを切り、そこに直接ビスで止めていますが、スプリングワッシャー、ナットは使用されておりません。時計回りの力により、ビスを境として右側の放熱板が強く基板面に押し付けられ、これが噴流はんだ付け時の熱で緩む原因となってしまいます。放熱板の基板への固定は、2つの端子を噴流はんだ付けで行なっていますが、写真aの左側の放熱板の端子は写真cに示したように大きく割れ、フィレットの高さも低く、はんだ量も少なくなっています。これに対し右側の端子は写真dに示したように、やに入りはんだで修正され、はんだの量も十分あってはんだ割れは確認できません。

ICのはんだ付け部は写真bに示したように13箇所あり、左側のフィレットほど割れは顕著なのが特徴です。割れは繰り返し荷重がかかった形跡はなく、時間をかけて割れた様相を呈しています。ICのはんだ割れを写真e、fに示します。フィレットの大きさからすると、写真eのフィレットより写真cのフィレットの方が大きく、それだけに写真cの端子のはんだ付け部は強度があるはずですが、実際にはcの割れ(割れという隙間)が最も大きい状態になっています。

2.発生のメカニズム

放熱板のビス止めの固定方法が適切でなかったために、噴流はんだ付けの熱影響で放熱板と基板とが緩むきっかけができてしまいました。噴流はんだ付け後、作業者はこの箇所のはんだ量が少ないことの持つ重要性を認識していなかったために、追いはんだを行う意識もありませんでした。これに対し写真dの端子は作業者の目から明らかに修正しなければならないはんだ付け不良が確認されたので、作業者は修正のため追いはんだを行っています。(やに入りはんだの修正ではんだ量が少ないと割れが起きます)

製品使用中にICが発熱し放熱板と基板の押さえ部が一層ゆるんで、左側の端子から割れが開始して、次にICのはんだ付け部に割れが転じ、さらに進行した訳です。

3.対 策

発熱する部品のはんだ付け部は強度低下の危険性を常にはらんでいます。この熱をいかに逃がすかは回路設計を含め重要になります。今回のはんだ割れは根本的には放熱板の固定の方法に欠陥があり、さらに作業者がはんだ付け性の持つ重要性を認識していなかった点にあります。

見直す点は以下の通りです。

(1)放熱板の大きさ、形状、底面の機械加工の精度(バリは厳禁)。

(2)基板への固定方法。

(3)放熱板へのICの固定方法。

(4)ランドの大きさとその導体巾(放熱効果)

このような事故を未然に防ぐためには、作業者のはんだ付け作業の重要性の認識、技量、集中力が要求されます。

特にはんだ付けでは、やに入りはんだによる追いはんだを実行することで強度が確保されます。

 

 

 

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Q19 電気めっきのはんだ付け部で、はんだはじきが発生しました。どのような原因なのか教えて下さい。

Answer

1.観察のポイント

写真aは、噴流はんだ付け後のはんだはじき(dewetting)を起こした外観です。さらに拡大したのが写真bで、この写真では小さな黒い斑点が無数観察できます。

写真cは未使用のめっき表面で、特に異常は確認できませんが、拡大すると写真dとなり、噴流はんだ付け後の顕微鏡写真と黒い斑点が一致します。

めっきの状態が悪いと写真eに示したようにガスが発生して界面に空洞を作ります。このような状態になっているめっき部を加熱すると、めっき部が溶融する前に写真fに示したように剥がれることがあります。

参考までに、噴流はんだ付けで発生したはんだはじきを写真gに示します。はんだはじきはパッド表面の酸化、汚染などにより発生したものです。

本はんだ付け部では、針状結晶が観察されています。この状態を写真hに示します。この針状結晶は、はんだバスの銅分の溶け込みが多くなると多発します。

2.予想される不具合

市場の温度サイクル、振動などによりはんだ剥がれが起きます。

3.原因と対策

はんだはじきはもともとめっきの状態が悪かったことに起因しています。これは一連のめっきの前工程の脱脂、酸洗い、洗浄などの不備、めっき工程では浴の老化が挙げられます。まれに素材の品質が悪い場合も起きることがあります。

実装ラインですずめっき、はんだ合金めっきの表面が白あるいは鼠色に変色している場合は、はんだはじきが予想されます。

4.めっき良否の判別法

抜き取りでリード線をめっき部にはんだ付けして引き剥がしてみます。簡単に剥がれた場合、同じ箇所を再度新しいリード線をはんだ付けして剥がしてみます。簡単に剥がれれば、めっき不良となります。剥がれなければ1回目のはんだ付け作業のミスとなります。

めっき不良の場合は地肌が出るまで砂消しゴムでこすって、その箇所にはんだ付けをします。室温に冷却した後、一般には引き剥がすのが困難になるほどしっかり付いています。これを判断基準とします。

めっき部の1回目のはんだ付けで、判断基準の強さが得られれば良い訳ですから、めっきメーカーに対して、この方法で満足しためっき品を納入していただくようにします。

この判別法は設備を必要とせず、手軽でしかも正しい判断ができます。電気めっき、無電解めっきに応用できます。

この方法で簡単にはんだ付け部が剥がれる場合は、市場においてもはんだ剥がれの事故が起きます。すずめっき、金めっき、はんだめっき、銀めっきに適用できます。

 

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Q18 部品のリードの腐植とはんだ付け後のスルーホール内の挙動を教えてください。

 

 

 

 

 

 

1.観察のポイント

写真aは、はんだ付け前の抵抗のリードを示したものです。よくリードの表面は部分的に腐食している場合があります。

噴流はんだ付けではフラックスが塗布されると、腐食部の水分とフラックス中の活性剤分とが結びつきます。

さらにこれが予熱ゾーンで加熱されるとこの結びつきは強固になります。

この状態ではんだバスに入るとこの箇所から盛んにガスを発生します。写真bでは、スルーホール内のリード線の周辺からガスが多数発生しているのが観察できます。さらに加熱が続くとガスは互いに融合して大きくなり、写真Cに示す大きなブローホールに発達することがあります。

2.予想される不具合

溶融はんだ中のブローホールははんだが凝固するとその容積は小さくなります。このことはブローホールがただの空間ではなく、圧縮された空気が詰まっていると考えることができます。したがって、この空間は膨張しようとする力を持っています。写真bのフィレットに存在する大きなブローホールは、使用環境の温度サイクルを受けて膨張収縮を繰り返すことにより、はんだ割れの原因となります。

3.対 策

日頃、実作業に従事している人なら、リードの汚れは目視で識別できます。正常品と比較して一瞬のうちに目に付くようなら、これは要注意です。メーカーに連絡することが第一優先となります。部品メーカーでは、リード線はメーカーから購入しているのがほとんどです。アッセンブリの現場から苦情が出たのであれば、部品メーカーは社内在庫品を確認した上でリード線メーカーに改善してもらわなければなりません。

リード線メーカーでは抵抗などに使用されるリード線は、最終線径まで線引すると鋼線をフラックスの中を通し、次に溶融はんだ(或いは溶融すず)中に自動浸漬し、はんだめっき線を作ります。無洗浄タイプのフラックスを使用しているので残流は普通洗浄しません。一般にはリード線の腐食は斑点状が特徴です。はんだめっきした時のフラックスがはねて付着し、それが吸湿した可能性があります。リード線のメーカでは、フラックス中の水分量とイオン物質の量を測定します。この結果によって、フラックスを交換するか否かを決めなければなりません

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Q17 SOPでブリッジが発生しています。原因と対策を教えてください。

ANSWER

チップ混載のアッセンプリにはQFP、SOPのような表面実装部品が搭載されており、はんだ付け不良としてブリッジがよくみられます。原因にはいろいろな因子があって、どの因子が最も強く出たかは一つひとつ検証しなければなりません。本アッセンブリにおいては下記の理由によるものでした。

 

 

 


 

 

 

 

1.観察のポイント

①本SOPはフェノール基板の端に近い所に搭載され、しかもSOPが搭載している側では基板の厚み分の反りが発生し、基板の割る箇所ですでに基板割れが起きている(写真a)。

②写真bに示すブリッジが基板を流す頭側で発生している。

③写真Cに示したブリッジのないSOPは基板の中央に位置している。

④写真bの側面のリード形状を写真dに、写真cのリード形状を写真eに示す。

⑤基板上その他のフィレットでは、基板に対しほぼ真上にツノが発生している(写真f)。

⑥ツノの多発は基板割れの周辺に集中している。

本SOPの基板搭載位置はコンベアの爪の付近にあり、その近くで基板の厚み分の反りが発生しています。アッセンブリ全体からみるとコンベアの爪が支えている基板の高さは正常ですが、基板割れを境として、反対側は基板の厚み分かはんだバスに深く浸漬したことになります。この基板割れは、写真gに示したようにケースの端子をひねって基板に固定したことにより発生したものです。

SOPのブリッジとその他の部品でのツノの発生に共通していることは、フィレットのはんだ切れに有効なフラックス量が減少している点です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.発生のメカニズムと対策

基板にケースをひねって取り付ける時に、何らかのミスで基板に大きな応力をかけることになってしまった。フラックス塗布後アッセンブリは予熱ゾーンに入りますが、この時ケースが熱変形し、その力で基板を割っています。この割れによりコンペアの爪の位置を基準とするとヽはんだ付け面は基板の厚み分下がったことになります。

このまま噴流はんだバスに侵入したので、噴流する溶融はんだの基板面に対する当たりが強くなり、フラックスは洗い流され、さらに二次噴流でもフラックスは洗い流されてしまいました。この結果、フイレットを形成するのに必要なフラックスが減少し、ブリッジの発生に至っています。当該SOPのリードの形状は写真dに示したように、写真eと比較して外観が異なり、パッケージとの隙間も狭い状態にあるので、溶融はんだの通りが阻害されやすい傾向にあります。他のはんだ付け箇所でもフラックスは洗い流され、ツノが多発しています。ツノは基板面に対しほぼ垂直なので、コンベアスピードと噴流の落ちるスピードが良好な状態にあったことを裏付けています。

ここでは、ケースの基板への固定法について設計段階に戻り検討しなければなりません。このような固定の方法は、基板にストレスを与えるばかりでなく、振動を拾って緩むと、再び固定することはありません。はんだ割れ、導体破断などの事例もあります。作業者ははんだ付け部に目が行きがちですが、全体の状態を観察することで目視でも分かりますから、はんだ付け後の基板割れに注意されると良いでしょう。その他の条件は良好なので噴流はんだ付け条件をいじってはなりません。

〈参考〉

「ひねり」による固定方法のほかに、「かしめ」も同じように基板に与える影響はあります。いずれの固定方法も、一度ゆるむと二度と固定はできなくなるので、ゆるんだときに力がはんだ付け部にかからないような構造にしておかなければなりません。

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Q16 穴あきと、はんだボールとは関係があるのでしょうか?

ANSWER

1. 観察のポイントと発生のメカニズム

穴あきの原因にはいろいろな因子によるが因果関係があります。片面基板及び両面基板いずれの場合もあります。写真aは片面基板で上のフィレットからはんだボールが発生しています。はんだボールはランドの穴の中でも確認できます。この写真の穴あきは、むしろランド穴に対してリードが細すぎ、さらにクリンチしているのも原囚に挙げられます。この穴の内部に水分が存在していると、予熟ゾーンを過ぎても水分は蒸発しきれず、はんだバスの中で一気にガス化して、穴あきとなっています。

写真bは中央のフィレットから発生したはんだボ-ルです。これは穴あきではありません。写真cはこれを側面から撮影したもので、フィレットの中腹部にこれからまさに飛敗しかかった半球状の突起が4点確認できます(対策の項を参照)。フィレットは自らの噴

出で光沢がないのが特徴です。

一般には正常なフィレットは肌が滑らかであるのに対し、写真cのフィレットでは表面が滑らかではなく、がさついた状態となっています。これはアッセンブリが二次噴流面から離脱する時にも、穴の内壁から水蒸気が出て爆発し、フィレットになる溶融はんだを吹き飛ばした、その勢いで基板面にはんだボールとして付着したものです。

スルーホール内部から発生したガスはさまざまな創造物となり目を楽しませてくれます、写真dはドームとなった屋根部が欠損した姿、写真eは太鼓状にふくらんだ姿、写真fは風船がつぶれた姿を見せてます。基板の反対側がレジストで閉ざされていると起きやすくなります。

2.予想される不具合

水分がスルーホール内に存在していたことが原因になります。基板スルーホールの中は水分単独ではなく、洗浄不足による基板エッチング液の残留あるいはめっき液の残留があります。噴流はんだ付けで水分が一時的に蒸発することはありますが、スルーホール内に残留しているイオン物質がやがて吸湿すると、両面基板あるいは多層基板では、スルーホールの壁面を腐食し、導通不良の事故へ進展することがあります。

3.対 策

同じロットの基板の同じ穴径のスルーホールにやに入りはんだでコテ付けしてみます。この時、実体顕微鏡で観察しながらはんだ付けをします(できればビデオで撮影しますと良く分かります)。はんだが付いてもしばらくコテを当てた状態で観察すると、火山の噴火のようにガスが出て来るのが確認できます。このガスがはんだボールの発生の引き金となります。さっそく基板メーカーに改善を要求することになります。

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Q15 部品をクリンチしていますが、問題点を教えて下さい。

ANSWER

クリンチは部品を基板に固定することにより,はんだ付け時の部品のブレ防止と接合部の強度補強の目的で行われます。普通片面基板が主流ですが、両面基板でも噴流はんだ付け時のブレ防止のために行われます。部品配置ミスあるいは基板の流す方向を誤ると、写真aに示したように、ブリッジの発生原因になることがあります。写真bは同じ箇所を側面から見た状態で、溶融はんだは手前から奥へ向かって流れます。写真a、bの状態から溶融はんだの流れはクリンチ部で乱れ、フラックスの効果が半減するようです。この部分に限定してブリッジを防止するのであれば、フラックスの塗布量を増やせば改善できますが、写真cに示したように他の箇所で穴あきの原因になります。

写真cの場合の穴あきはランド穴が大き過ぎるのも原因ですが、基板の流す方向も原因に挙げられます。

写真では右から左へ流していますが、逆方向から流せばブリッジの発生確率は減少し、フィレットは形成しますが、写真dに示したようにフィレットのはんだ量が減少して割れの原因にもなります。

外観では分かりにくいのですが、断面図で検討した場合、クリンチしたりードが基板面から離れていると、図aに示したようには部品を支える箇所のはんだ量が少なくなり、使用環境の振動、ピートサイクルなどにより割れに敏感となります。

 

 

 

 

 

クリンチの時の力が強すぎると、はんだバスには入ってからの熱衝撃で、クリンチ下の導体破断が起きることがあるので、十分検討した上でクリンチ時の力を決定すべきです

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